休日
休日。
クラリスのお願いから始まった転移者との戦闘が終り、
数日後の休日にアーロンとイリス、アンネ、エレノアは、イツキの遺体を埋葬する為に
王都から遠く離れた見晴らしの良い場所に来ていた。
「此処にしよう」
アーロンは、穴を深く掘り、そこにイツキを埋葬した。
「安らかに眠って下さい」
手を合わせ祈った後、その場を立ち去った。
「アーロン、今日はこの為に此処まで来たの？」
「他に用事があると思っていたの？」
「うん・・・」
「もしかして、この間の戦利品の事？」
その言葉を聞くと、3人はニコニコとしていた。
「えー！その為に付いて来たの」
「うん！」
「わかったよ、俺も試したいから広い場所に出てからね」
「「「はーい」」」
その後、アーロン達は、草原に着くと前回の戦闘で
イツキから奪った物を取り出し、テストを行った。
アーロンは、アイテムボックスから車を出した。
その瞬間、歓声が上がった。
「おー！」
「今のは、何ですか」
「あれは、アイテムボックスって言うんだって。
あの中に何でも入れられるらしいわよ」
「凄いですね」
「欲しい・・・」
「うん、私もアーロンに交渉したけど、駄目だったわ」
「イリスさんが無理なら、無理ですね」
「そうだね」
そんな会話が行われている最中にアーロンは、車に乗り込んで車内を確認していた。
前世の記憶を頼りに、色々探って見たが、動く気配がなかった。
だが、前世で呼んだラノベを思い出し、車に魔力を流しこんでみると
ハンドルの横にあったランプが次々に点灯していき、fullと書かれた場所まで到達した。
「これでいいのかな？」
そう思いながら、アーロンは、スタートと書かれたボタンを押した。
すると、エンジンが掛かり、車が動き出した。
運転は、オートマ車と同じだったのでアーロンは、そのまま草原を走ってみた。
「これは、いい！」
アーロンは、試運転を終えるとドアに付いていたロック機能を使って見た。
ロック機能は、個人の魔力に反応するらしく、
ロックした本人しか開けられない仕組みになっていた。
「イツキは、ロックしていなかったんだ」
そう思いながら、バイクの試運転を始めた。
バイクにもロックはしていなかったので、車と同じ様に魔力を流しこむと
正面にあったメーターが、ドンドン上がり始めて針がfullの所までいったので
エンジンをかけてみた。
バイクと言っても大型スクーターに近かったので簡単に運転する事が出来た。
アーロンは、先程と同じ様に軽く走ってからバイクから降りてロックした。
その後、銃を取り出した。
銃は短銃とライフルがあったのでどちらも確認してみると
弾倉が無く、戸惑ってしまった。
アーロンは、もしかしてと思い、魔力を流して見ると、トリガー横の5つのランプが
点灯していき、全てのランプが点いてから、的を決めてトリガーを引いてみると
魔力弾が飛び出した。
「すげー！」
アーロンも驚いていたが、その様子を黙って見ていた3人は、それ以上に驚いていた。
「あれ、使わせなくて良かったね」
「うん・・・・今となっては、あの作戦で良かったと思うよ」
「胸のやつ？」
「五月蠅い！！」
「自分から振ったくせに・・・・・」
次にアーロンは、ライフルも同じ様に試したが問題なく撃つことが出来た。
「これは、使えるな、でもメンテナンスも考えないと駄目だな・・・」
1通りのテストが終り振り向くと、3人が笑顔で待っていた。
「アーロン、終ったの？」
「無事に終わったよ」
「なら、私達の番だね」
「わかったよ」
アーロンは、イリスに車の運転、魔力の注ぎ方、ロックの仕方を教えてから
助手席に乗り込んだ。
「走ってみようか」
イリスは、エンジンを掛けて車を走らせると上手く走らせることが出来た。
「簡単でしょ」
「うん、それに便利だね」
アーロンは、車から降りて、バイクに向かったが、イリスはそのまま車に乗っていた。
バイクに近づくと、既にアンネとエレノアが待っていたので、2人に乗り方を教えてから
走らせた。
エレノアは、直ぐに理解しバイクを乗りこなすと、後ろにアンネが乗り出した。
「エレノア、走って！」
「アンネ、貴方はいいの？」
「エレノアが運転、私が後ろ」
「ハイハイ・・・」
エレノアは、エンジンを掛けて草原を走り回った。
その時、アーロンはイリスの姿が見えない事に気付いた。
「イリスがいない！」
何処を見渡してもイリスの姿が見えず、不安になりかけた時、
遠くからエンジンの音が聞こえて来た。
イリスの運転する車がアーロンの前で止まると、中からイヴとタバサが出て来た。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。
