3
態と逃がした男を魔法で姿を消した状態で尾行していた。
暫く走った後、男は1件の屋敷に入って行った。
「お頭!イツキのお頭、大変です!イザヤの兄貴たちがやられました」
「お頭って、まぁいいや、それで一体何があったんだい」
「はい、市場でいい女を見つけまして、お頭の所へ連れて行こうとした時に
突然、現れた者達に、攻撃をされまして・・・」
「へぇ~、まだ俺に逆らう奴がいたんだ」
その会話を聞いていたアーロンは、初めてイツキ ハクショウと出会った。
(こいつが、イツキなんだ)
心の中で、そう思いながら、イツキ達の様子を伺っていた。
「お頭、どうしますか?」
「そいつらの顔を覚えているなら、俺の兵を使って探させろ」
「勿論、覚えています。
早速、皆に伝えます」
「ああ、そうしてくれ、そして必ず見つけ出すのだ!」
そう言って、イツキは、何も無い所から日本刀を取り出し腰に差した。
(もしかして、アイツはアイテムボックスを持っているのか・・・)
その後、市場で逃がした男は、敷地内にある兵舎に向かい、全員に出動を伝えた。
「うぉぉぉぉ!出陣だぜ、久しぶりに暴れられるぜ!」
「アハハ、ついでに、街から女を攫おうぜ!」
「俺は、酒だな」
男達は、それぞれに身勝手な思いを抱きながら、街に出掛けて行った。
アーロンは、男達の後を追って、コッソリと付いて行き、
彼らが、捜索の為にバラバラになった所を1人づつ確実に倒していった。
それから暫くしてから男達も気付き始めた。
「おい、仲間が減っているぞ、これはどういう事だ、何が起こっているんだ!」
男達は、困惑しつつも、辺りを見渡していた。
「どうするんだ」
「一度戻ってお頭に相談しよう」
男達は、戻る事を決めて、イツキの屋敷に向かった。
アーロンは、全滅させたかったが、今、能力を知られるのは不味いと思い、
これ以上の追跡は諦めてホーネット家から借りている屋敷に戻った。
「ただいま」
「お帰りなさい、アーロン、彼らの様子はどうだったの」
「うん、イツキという男は、異世界からの転移者だと思う」
「え、異世界・・・」
「冗談のように聞こえると思うけど信じて欲しい」
「そうじゃなくて、アーロン、この世界には異世界からの召喚は、ずっと昔からあるの」
「そうだったんだ」
「うん、でもね、召喚された者達は、必ず最後には、
国が無くなるような災害を起こしてしまうの」
「どうしてそんな事になるんだ」
「詳しくは、分からないけど、彼らがこの世界に与える恩恵は余りにも大きいから、
その分、彼らが手にする儲けも莫大な物になるの。
そうすると、皆我儘になって来るし、国も他国に行ってほしくないから
悪い事をしても大目に見るようになって、最後には好き放題にされて
利権争いの戦争になったり、暗殺が横行する世界になってしまうの」
「それって・・・」
「分かっているわ、悪いのは、莫大な金を手に入れようと思って
動いた貴族や商人、王族も全て悪いと思っている。
でも、町の中で、強引に人を攫ったり、殺したりしていたのは転移者だったの」
「そんな事が、今迄にあったんだ・・・・・」
「うん、だから召喚魔法で異世界人を呼ぶことは禁忌とされている筈なのに
一体、誰が使ったのだろう」
アーロンは、その話を聞いて、自分が転生者だと打ち明けない方が良いのではと考えてしまった。
「でも、アーロンは、よく異世界人だと分かったね」
「うん・・・」
アーロンは、嘘を吐く事は簡単だが、仲間には、正直にありたいと思い、
イリスに、素直に話した。
「イリス、俺、転生者なんだ・・・」
「・・・そうだったんだ」
「うん、ただ、何の能力も無かったから、誰にも言う必要は無いと思っていたけど
こんな事があったから、話した方がいいかなって思ったんだ」
「ううん、話してくれて嬉しいよ。
でも、転生者なんて聞いた事が無いよ」
「え?」
「転移者は、記録に残っているけど転生者については何ものこっていないから分からないよ。
それに、アーロンって何もないよね、しいて言うなら消える魔法だけだものね」
「ハハハ、そうなんだけど・・・」
「まぁ、今は、この事は置いておいて、彼らを倒す事を考えようよ」
「そうだね」
アーロンとイリスは、頭の中を切り替え、イツキ達を倒す事を考える事にした。
ブックマークの登録、有難う御座います。
また、評価、ブックマークの登録を宜しくお願い致します。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。