クラリスのお願い
エルフの一件が落ち着き、久しぶりの王都での生活を満喫していた。
そんな時、第2王女のクラリスから連絡が入った。
アーロンとイリスは、王城に向かい、クラリスと面会を求めると直接クラリスが表れて
部屋に案内をしてくれた。
「アーロン、イリス、好きな所に座ってよ」
アーロンとイリスは、適当にソファーに座った。
クラリスは、メイドにお茶を持って来させてから、
手に握りしめていた手紙をイリスに渡した。
「クラリス、この手紙は?」
「取り敢えず読んでよ」
イリスは、手紙を読むとアーロンに渡した。
「アーロンも読んで」
アーロンは、イリスの言葉に従い手紙を読んだ。
内容は、最近、成り上がって来た男と強引に結婚させられそうなので
助けて欲しいという事だった。
「クラリス様、それで俺達に何をさせたいのですか?」
「あのね・・・助けてあげたいの」
「もしかして・・・」
「その、もしかしてよ!」
「自信満々で言う事ではありませんよ」
「でも、なんとかしてあげたいの」
「クラリス様は、どうしてこうなっているのかご存じですか?」
「うん、この男は、セント教国に突然現れたの。
それで、不思議な武器を作って財を成していたのだけど
1年過ぎた頃から、人が変わった様に我儘になり、
欲しい物はどんな手を使ってでも手に入れる様になったの」
「なんて名前の人なの?」
「確か、イツキ ハクショウだったと思うわ」
その名前を聞いた時に、アーロンは、前世の名前に近い事を思い出していた。
もし、転生者や転移者ならどうしたらいいのだろうと思いながら話を聞いていた。
「ところで、クラリス、それで私達は、その子をこの国に連れて来ればいいの?」
「うん、でも難しいと思っているのよ」
「どうして」
「イツキは、馬より速い鉄の箱で追いかけて来るし、遠方からでも不思議な武器で
相手を倒すらしいのよ。
だから、難しいと思うのよ」
ここまでの話を聞いてアーロンは、転生者か転移者だと思い始めた。
だが、このままでは、埒が明かないと思い、一度行ってみる事を約束して
クラリスを納得させた。
「アーロン、イリスお願いね」
「わかったわよ」
その後、アーロンは、自宅に戻るとチームの仲間を呼び、ソファーに座ってから
話を始めた。
「今回の任務は、公爵家の娘、アリア ホーネットの脱走だ」
「え?」
「アーロンさん、脱走のお手伝いですか」
「そうだよ、でも、この依頼は、思ったよりも難しそうなんだ」
「どういう事ですか?」
「うん、この子、首都で力のあるものに見初められて、
強引に嫁にされそうなんだって」
「そんなの絶対阻止しましょう」
女の子達は、助ける事に盛り上がっていた。
そして翌日、アーロン達は王都を出発してセント教国に向かった。
セント教国までは、船で2日間、掛かった。
教国に着くと直ぐに首都に向かって馬車を走らせた。
首都に着くと、ホーネット公爵家を探したが、時間も遅かったので
この日は宿を取る事にした。
翌日、アーロン達は、公爵家を探して回り、見つける事が出来た。
アーロン達は、門兵に伝え、アリアを呼び出して貰った。
暫くすると、執事が出てきて、アリアの部屋に通してもらった。
「お嬢様、お客様を連れて参りました」
「入って貰って下さい」
アーロン達は、部屋に入り、改めて挨拶をした。
「お初にお目に掛かります、アーロンと申します」
「ホーネット公爵家の娘、アリアと申します。
どうぞ、お座りください」
挨拶が終わると、アーロンは、クラリスからの手紙を渡した。
クラリスは、手紙を読み終えると、アーロンに向き直った。
「クラリスからのお手紙を読ませて頂きましたが、
本当に力を貸して頂けるのですか」
「はい、ですが、先に色々と調べさせて頂けませんか」
「わかりました、貴方達の泊まる屋敷を準備しておりますので
そちらを滞在中は、お使いください」
「有難う御座います」
その後、ホーネット公爵家を後にして、宿泊用の屋敷に案内して貰った。
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