盗賊壊滅作戦
王都から伯爵領までは2日掛かるが、今回はその間の時間もケリーとイヴによる新人研修が
行われていた。
研修は、昼食後と夕食後の2回行われて、1日が終わると新人達はぐったりしていた。
「今日は、此処までにしようか」
ケリーの言葉を聞き、全員が近くの川へ行き、体を洗った。
それから、彼らはテントに入り睡眠についた。
深夜の火の当番は、アーロン達が請け負っているので新人はテントで寝れるのだ。
2日後、目的通り伯爵領、ルロの街に到着した。
アーロン達は人数が多かったのでケリーの指示に従い、4件の宿に分散して泊まる事にした。
宿の手配が終り、チームリーダーだけが酒場に集まり、明日からの方針を話し合った。
「ケリーさん、明日は全員で分散して、盗賊の情報を調べますか?」
「いや、依頼書を読んでみても分かる通り、相手は冒険者ギルドからの依頼を5回も潰している。
それに、そのチーム全員が死体で見つかっている状態からして、新人だけで回らすのは
危険かも知れないから、必ず俺達の中から2人が付いて行動させよう」
「分かりました、それで組み分けは?」
「ああ、宿の手配通りだ。
俺とミハルの所に、ヴィクドール、ミカルイ、キッド、イルマ。
イヴとタバサでチルド、ニス、クライン。
サリーとナディアにボードンとナオミ、エイリーク。
アーロンは、チームで動いてくれ」
「分かりました」
その後、明日の探索と聞き込みの場所を決めてから解散した。
翌日、アーロン達は昨日の話し合い通りに決められた場所の捜索を開始した。
伯爵領は、思ったよりも広く、1日で回れる量ではないので野宿をしながら
調べて回ったが、アーロン達は成果が出せなかった。
しかし、ルロの街の周辺を調べていたサリー達は、初日にして盗賊達と遭遇した。
サリー達は、ルロの街を離れた日の深夜、村の近くで野営をしていると
突然、村の方の夜空が赤く染まりだしたので、慌てて皆を起こし、村に駆けつけると
家には、火が放たれ、人々は殺されている真っ最中だった。
「行くよ、私達から離れないでね」
「はい!」
サリーは、魔法を放ち、村民に襲い掛かっていた盗賊を倒した。
その間に、他の者達も盗賊と戦闘を始めていたが、盗賊がサリー達に気付くと
踵を返して逃げ出したのであった。
サリーは、ナディアに新人とこの場の戦闘を任せ、自分は盗賊の後を追った。
サリーが盗賊を追った後、残ったナディアは、新人と共に逃げ遅れた残党の処理を行い、
生きていた者達の救出をした。
殆どの村人が殺されており、助け出せたのはたったの13名の女と子供だけだった。
ナディアは、エルフのナオミを呼んだ。
「ナオミ、ケリーさんに連絡して来て貰える?」
「はい、急いで行ってきます」
「現状の報告と救援を頼んでね」
「わかりました、行ってきます」
ナオミは、ケリーに連絡を取る為に夜の闇に消えていった。
そして、朝日が昇る頃、ナオミは、ケリー達を連れて戻って来た。
「ナオミ、お疲れ様。
早かったね」
「はい。
急いだほうが良いと思い森を抜けました」
「流石、エルフちゃんだね」
ナオミは、ナディアのエルフちゃん呼びに照れてしまった。
そこに、ケリーがやってきた。
「ナディア、初日から大変だったね」
「はい、村の近くで野宿していましたから気付く事が出来ました」
「ところで、サリーは?」
「盗賊を追って行きましたからアジトの場所を確認してから戻って来ると思います」
「上手く見つけてくれるといいですね」
「大丈夫です、サリーならきっと見つけてくれると信じていますから」
「相変わらず、仲がいいね」
「はい、今は部屋も一緒ですから」
ケリーは、ナディアとの話が終わると他のチームの者達にも連絡を取り、集合を呼び掛けた。
その後、仲間達は村に集まり、サリーを待っていたが
その日は、サリーが帰って来る事は無かった。
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