イヴとタバサ
事件から1週間後、ギルドに集合したメンバー達は、ギルマスの提案を聞いていた。
「皆、すまんな。
今回の事件で、仲間を失ったチームが多いので新しくチーム編成をしようと思う。
その中には、養成所で使い物になる人物を探す事も視野に入れて欲しい。
後は、仲間内でのトレードや新規に入った者などもいるので今日から5日後に
メンバーを決めて返事をしてくれ。
勿論、相談には乗るから、遠慮なく訪ねてくれて構わない」
ギルマスの説明を聞いた後、アーロン達は、ギルマスに呼ばれ執務室に来ていた。
執務室には、ギルマス、アーロンイリス、タバサの他、いヴも同席していた。
「時間の無い時にすまんな。
だが、今回のトレードで、イヴがタバサのチーム入りを願っているのだが
少々、込み入った事情があるようなので本人とお前達にも来てもらったんだ」
「それで、事情とは?」
「それは・・・・・」
ギルマスが、話そうとしたが、イヴが止め、イヴ自らが話す事になった。
「私の両親の名前は、父がコルト、母がサバナと言う。
そして、私が10歳の時に、妹が生まれた。名前はタバサと言うのだ。
だが、妹が生まれて半年経った頃、村が盗賊に襲われて多くの民が殺された。
その時に私と妹と両親は、なんとか逃げ延びる為に森に入ったのだが、
私は途中で両親達と離れ離れになってしまい、私は1人で逃げ延びて生活することになったの」
その話を聞いて、イリスは、タバサの両親と同じ名前だという事に気付いた。
「タバサの両親もコルトとサバナと言うんだよ」
イヴの話を聞いて、タバサは、驚いていた。
「私、小さい時に、お父さんとお母さんから生き別れたお姉さんがいた事は聞いていたけど・・・」
「なぁ、イヴさん、他に何かないかな?」
「あるわよ、私がタバサの魔力が安定するまで魔力を封印した紋章が腰についているはずよ」
その言葉を聞いて、イリスがタバサの腰に紋章がある事を思い出した。
「その紋章、タバサの腰にあるわよ」
タバサ自身も紋章の事は両親から聞いていたので、イヴが姉だと思い始めた。
「本当にお姉ちゃんなの?」
「タバサちゃん、その紋章を私が解いてあげるよ」
イヴは、そう言ってタバサに近づき、自分の指に傷を付け、紋章に血を垂らした。
すると、執務室に風が吹き荒れた。
風が止むと同時にタバサの紋章が消えていた。
「消えた・・・」
「あの紋章は、私が付けた物ですから、私の血で解除できるのよ」
「って事は、イヴがタバサのお姉さんだったんだ」
「本物のお姉ちゃん・・・・・」
「タバサちゃん、確信するまで言えなくてごめんね、それから魔法が使える様になったからね」
「お姉ちゃん!!」
タバサは、喜び、イヴに抱き着き、イヴは、抱きしめ返して涙を流していた。
「ところで、タバサは、イヴさんのチームに移動で良かったのよね」
「お姉さま・・・申し訳ございません。
あの・・・イヴお姉さまの所に行っても構いませんか?」
「勿論だよ、タバサ、お姉ちゃんに会えて良かったね」
「はい!有難う御座います」
「アーロン、イリス、本当に有難う。
感謝しているわ」
「ううん、イヴさんも妹と一緒の方がいいと思いますから」
「ありがとう」
そして、タバサのイヴチームへの移動が決まった。
自宅に戻ってからは、サリーとナディアにイヴが報告し、そのまま歓迎会になり、
夜遅くまで騒いだ。
翌日、全員がギルドに集合した後に、養成所の村に向かった。
村に着くと、村の全員が集まっていてギルマスからの説明を受けていた。
「いいか、今日は、お前たちの訓練の成果を見せる時だ、
そうすれば、直接、スカウトされチームに入るか、
それとも試験での合格でチームに入る事が出来るから精々頑張ってくれ」
その言葉を聞き、養成所で練習してきた者達は、気合を入れた。
そして、皆が見守る中、公開練習が始まった。