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王都に戻ったポール達は、ギルドで全チームに事の経緯と捜査への協力を求めた。
「今回の事件の生き残りが潜伏していることが分った。
それで、皆に協力を求めたい」
「ポール、手伝う事は問題ないが、その前に隣の人達を紹介して貰えないか」
「そうだな、ギルマスの了解を得ているので改めて紹介しよう。
まず彼女は、メルティ、それと男の方はヤードだ。
俺の昔からの知人だ」
メルティは、不貞腐れた。
「違います!私は、ポール知人じゃなくて・・・・恋人です!!」
「「おお!」」
ポールは、驚いてメルティを見たが、メルティはニコニコしているだけだった。
「ポール、式には呼んでね」
「五月蠅い!それより話を続けるぞ」
「そうだな、頼む」
「わかった、それで前回の事件の死者は4人、だが、逃亡者は5人」
「1人を探せと言いたいんだろ」
「ご名答」
「それで手掛かりはあるのか」
「いや、ただ、今迄の他の者達の行動を考えると
王都近郊に潜伏している可能性が高いと思っている」
「ならば、手分けして探そうか」
そして、全員で近隣の町や村を捜索する事になったが
何処の町にもそれらしき人物は見当たらなかった。
その頃、アーロン達は町から町へ空を飛んで移動中に廃村に入っていく1人の男を発見した。
「アーロン、廃村に入っていく人影を見たんだけど」
「うん、俺も見たよ」
「私も見ました」
3人は、廃村の1件の家に入っていった男の様子を空から伺っていたが
家の中に入ったまま男が出て来る気配が無かったので
地上に降りて、男が入っていった家に近づいてみたが人のいる気配がしなかった。
「お姉さま、誰も居ないみたいですが・・・」
「そうね、なら中に入ってみましょう」
イリスの言葉に、全員が賛同し、家の中に入っていったが家の中には誰も居なかった。
「消えた・・・の」
「しっかり探してみよう」
3人は、家の中を隈なく探していると床に扉を発見した。
床の扉を開け、中に入っていくと奥から明かりが漏れてきたので
ゆっくり近づいた。
すると、中には1人の男が生活していた。
タバサは、一気に詰め寄り、男を拘束した。
「動かないで下さい、貴方が暴れなければ危害を加えるつもりはありません」
「お、お前ら、ギルドからの刺客か?」
「え?違いますけど」
「・・・違うのですか」
「はい、俺達は、ある事件を追っていたのですが、その中の1人が王都の近郊に
潜伏している可能性があったので探していました」
「その事件とは・・・」
「2件の夫婦と2人の男が殺された事件です」
男は、暫く考えていたが、諦めたようにゆっくりと口を開いた。
「多分、私は、その事件の関係者だと思います」
「話してくれますか?」
「はい」
男は、自分の知っている全ての事を話した。
「私は、ロイドと言います。
帝国の闇ギルドで働いていました。
ある時、第3王子から同じ王族の第5王子の暗殺の依頼を私のチームが受けました。
ですが、我々のチームは、依頼に失敗し、ギルドに戻ったのですが
証拠隠滅の為に第3王子は、私達の暗殺を依頼して来ました。
ギルドがその依頼を受けた事を知った私達は、帝国から逃げ
この国の近郊に住み始めたのですが、何処からか私達の所在がばれてしまい
次々と殺されてしまいました。
それで私は、恐ろしくなって住んでいた場所を捨て、
この廃屋の地下室を見つけて隠れて住み始めました」
話を聞いた後、アーロンは、1つの提案をした。
「ロイドさんは、今後どうするのですか?」
「・・・・・何も考えていません。
ただ、奴らから逃げる事だけを考えています」
「そうですか、なら、私達が保護しますよ」
「え!本当ですか」
「はい、ご心配なく」
「わかりました、宜しくお願いします」
アーロンは、保護を約束してギルド近くの茶屋に案内し、そこにギルマスに来てもらった。
そこで、ギルマスは、ロイドから今回の詳しい事を聞いた後、今後の事について質問をした。
「それで、貴方はこちらで保護をするという事でいいですか」
「はい、お願いします」
「わかった、ただ仕事はして貰う事にはなるし、
当分は、そこからの外出は控えてもらいたい。
それでもいいか?」
「はい、うろついて奴らに見つかるのは嫌なので構いません」
「なら、今から行こうか」
ギルマスは、茶屋を出て、ロイドを連れて元廃村の養成所に向かった。