終わっていなかった依頼
お祭りが終わった翌日、アーロン達は、ギルドに集合していた。
「今回、集まってもらったのには、ちょっとした理由がある。
前回、猫人族を助けた件だが、あれは、敵の一部であることが判明した」
「おい!それじゃぁ俺は、任務に失敗したのか?」
「ポール、落ち着くんだ、お前は失敗をした訳ではない。
ただ、敵がまだ居たという事だ」
「・・・・・」
ポールは、自分が騙されたと思い、奴らの殲滅を誓った。
「ギルマス、今回は、俺達に攻撃の先陣を切らせてくれないか」
「わかった、お前達に任せるとしよう」
「感謝する」
「話を戻すぞ、今回は、王都近郊で誘拐事件が起きていて、冒険者ギルドに依頼がでていたが
携わった者達が、全員行方不明となった。
それで、こちらに回って来た依頼なんだ。
なので、アーロン、情報を頼むぞ、それから、ポールのチームはいつでも出れるように
ここで待機だ」
「了解」
ギルマスの話が終わり、アーロン達は直ぐに行動を開始した。
アーロン達は、王都近郊の街や村を隈なく回ったが、相手の消息を掴むことが出来ずにいた。
しかし、街から離れ、廃村の様な村に寄った時に怪しい人物を発見した。
この男は、1人だけ綺麗な身なりをしていて、各家々を回り、子供や女を売らないかと
訪ねていた。
「アーロン、アイツを見張ってみる?」
「そうだね、取り敢えず見張って見よう」
それから、男を見張っていると、近郊の村々を回るが、怪しい者と合流することも
無かったが、アーロン達を見張る者が現れていた。
「アーロン、私達、見張られているね」
「うん、わかっているよ、相手が尻尾を出さないから見つかる様に尾行した甲斐があったね」
「アーロン、どうしますか?」
「タバサ、このまま相手の出方を待とう」
「はーい」
しかし、翌日もアーロン達を監視する者達に動きは無く、ただ相手の出方を伺っている様だった。
「ねぇ、アイツらの目的は、なんだろうね」
「多分、何を探っているのかを確かめているんじゃないかな」
「それじゃぁ、お互いに動けない状態がこれからも続くの」
「いや、そろそろ動くと思うよ。
アイツらは、俺達を捕らえて尋問すればいいから。
そこで、俺達も動くよ、イリスとタバサ、俺の二手に分かれて行動しようと思う」
「大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。
それで、明日、この街の広場で合流しよう。
それまでは無茶をしない事」
「わかったわ、でも、アーロンアイツら先に襲ってきたらどうするの?」
「襲って来たら、倒しちゃって構わないよ」
「それじゃぁ、また明日ね」
そう言ってイリスとタバサは離れて行った。
そして、残されたアーロンもその場を去り、人通りの多い商店街に向けて歩いた。
アーロン達が去った後、尾行を行っていた敵も二手に別れて追いかけた。
アーロンは、追手を撒く為に相手から見えない位置に素早く入り、魔法を唱えた。
「インビシブル」
姿を消したアーロンが尾行していた者達の姿を確認していると、
彼らは焦り、バラバラになってアーロンを探し始めたので、1人を捕らえて気絶させてから
ギルドに持ち帰った。
ギルドに到着するとアーロンは、一旦魔法を解除して姿を現した。
「ポールさん、俺達を尾行していた者を捕まえたので連れて来ました」
アーロンは、気絶した者を床に転がした。
「そうか、よくやった!
尋問は俺達に任せてくれるのだな」
「はい、お願いしてもいいですか?」
「任せろ、こいつらには借りがあるから、しっかりと全部話してもらうさ」
「わかりました。
俺は、任務に戻りますね」
「アーロン、有難う」
「いえいえ、では・・・」
アーロンは、再度姿を消して尾行をされていた街に戻っていった。
そして、尾行していた者を渡されたポールの周りには、ポールのチームの者達が集まっていた。
「ねぇポール、こいつ何処で尋問するの?」
「決まっているよ、俺達のアジトに連れて行くよ」
「うはっ、可愛そうに・・・」
「リーナ、笑いながら言うなよ、その顔、引くから・・・」
「女の子に向かってなんてことを言うの!」
「そうです!お姉さまに失礼です、ポールさんに謝罪を要求します!」
「まぁまぁ、ポールさんも、姉さんもそれくらいにして、さっさと尋問しましょうよ」
「モーセ、お前は尋問という遊びをしたいだけだろ」
「ハハハ・・・否定はしませんが、前回の事があるので根に持っているだけですよ」
「俺も、同意します」
「じゃぁ、行こうか、俺達のアジトに・・・・・」
ポールのチームは、尾行していた者を抱えてギルドから姿を消した。