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お祭り

王都護衛依頼より、数日が過ぎた頃、アーロン、イリス、タバサの3人は、

ギルドで待機していた。


「イリス、何時まで待てばいいの?」


「う~ん、ギルマスが来るまで・・・かな」


「えっ、もしかして呼ばれた内容をイリスも知らないの?」


「うん、だから待とうよ」


「わかった、大人しく待つよ」


それから、暫くしてギルマスが現れた。


「よっ、来ているな」


「ああ、それで何の用事なんだ」


「前回の依頼の代金を渡そうと思ってな」


ギルマスは、懐から小袋を取り出し、アーロンに手渡した。


「金貨2枚と銀貨50枚だ」


アーロンは、中身を確認した後、懐にしまい込んだ


「確かに頂いたぜ、でも、珍しいな、呼び出してまで渡してくれるなんて」


「それなんだが、もうすぐ祭りだろ、だから、皆に依頼料を早めに渡しているんだ」


「そうか、感謝する」


「まぁ、年に一回の祭りだ、楽しんでくれ」


「そうさせてもらうよ」


アーロン達は、挨拶をしてギルドを出て市場に向かった。

市場を歩いていると、いつも買い物をする野菜売りのモリーに声を掛けられた。


「イリスちゃん、イリスちゃん、ちょっと来てくれないかい」


「モリーさん、どうしたの?」


「今度の祭りの事なんだけどね、私達野菜売りの代理として出てくれないかい」


「ん?どうしたの?」


「私達は。皆高齢でね、それで誰かに頼もうと思ってたんだよ。

 勿論、商品はイリスちゃんの物だよ。

 私達は、商人ギルドとの約束でどうしても出場者を出さないと行けなくてね、

 どうだろうか、出てくれないかい」


「いいよ、うちのアーロンがでるよ」


「え!!俺なの・・・」


「うん、頑張ってね」


「私、3位の肉がいいです」


「タバサ・・・・・」


「まぁ、おばちゃんの頼みだ、頑張ってみるよ」


「ありがとね」


「ああ期待しないで待っていてくれよ」


アーロン達は、市場で買い物を済ませ、自宅に戻った。



それから数日が経ち、祭りの日がやって来た。

アーロンの出場する競技は借り物競争。


「アーロン、あれを見て!」


アーロンは、イリスの指を指した方向を見て驚いた。


「ケリーさん、ミハルさん!」


「おお!アーロンか、お前も出るんだな」


「はい、野菜売りのモリーさんに頼まれまして・・・」


「そうか、俺達も似たようなものだが、今年の借り物競争は

 面白くなりそうだな」


「え、お手柔らかにお願いします」


「無理だ、全力でやらないと面白くないじゃないか、そうだろミハル」


「ああ、手なんか抜いてみろ、あそこの集団に何をされるか分かったもんじゃぁない!」


ミハルの顔の向けた方向を見ると、イヴ達が酒を片手にミハルを応援していた。


「ミハル!分かってるだろうね!酒だよ、酒!」


「ミハル!お姉さまの期待を裏切ったら殺しますわよ!」


ミハルに対する応援(脅し)を聞いてアーロンは、苦笑いをした。


「凄い応援ですね」


「昨日、どこからか聞きつけて来て、俺の商品を横取りする事に決めたらしい」


「ハハハ・・・」


3人で会話をしていると、遠くで手を振る一団を見つけた。


「あれって・・・ライアン、ポールさんも!」


ミハルもその言葉に気付き、振り向くと遠くに2人を発見した。


「おい、あんまりハードルを上げて欲しくないのだが・・・」


「ミハル、いいじゃないか、こんな機会も中々無いぞ」


「要らないよ!俺が、勝たないといけない事をケリーさんは知っているでしょ」


「だから、俺も応援してるよ」


「なら、優勝を譲って下さい」


「それは出来ないなぁ~」


ミハルの切羽詰まった表情を見て、笑いながらケリーは答えていた。

アーロンは、先輩達が出た事で優勝は諦めて、のんびりと行こうと決めた途端、

応援席からの突き刺さる視線を感じ、その先を見るとタバサが呪文のように

肉、肉、肉と唱えていた。


「タバサ、恐ろしい子・・・」


そうしているうちに時間になり、高台の上から商業ギルドの職員がスタートの合図を送った。



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