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アーロンは、イヴに会う為に王城に行った。
「・・・イヴさん、・・・イヴさん」
「アーロン、夜這いか?」
「違います!」
「冗談だ、それより報告を」
「あっはい、クトクが襲撃と王女誘拐の計画を企てています。
明日、王都を出てから狙って来る事までは分かっているのですが・・・」
「十分だ、こちらは準備を整える時間が貰えただけでも有難い」
「はい、では周辺警備に戻ります」
「ああ頼む」
アーロンが戻った後、イヴはチームの者達を呼んだ。
「お姉さま、お呼びですか」
「アーロンから連絡があった。
明日、あの馬鹿商人が王都を出てから襲撃に来るとの事だ」
「うわぁ~本当に来るんだ」
「痛い奴だなぁ~」
「騒ぐな!ともかく王都を出てからは警戒を怠るなよ」
「はーい!」
そして、襲撃予定の朝、ジェイク達はアロー王国の首都を出発した。
港町に向かう途中の草原まで来ると、クトク商会の手の者が、待ち伏せをしていた。
「お姉さま、敵の待ち伏せです。
数は50人程度と思います」
「分かった、馬車を止めろ!」
イヴの指示で、馬車を止め、1人の兵が敵軍に向かって歩いていった。
「貴様達は、何者だ! この馬車はフローランド王国の一行だ、
分かれば道を開けよ」
道を塞いでいる一団は、口上を聞いてもニヤニヤしているだけで
道を開ける気配は無かった。
兵が、もう一度口上を述べようとしたが敵より矢が放たれた。
放たれた矢が、兵を倒したと同時に敵が襲い掛かって来た。
「敵襲!」
「お姉さま、来ましたわ」
「よし、放て!」
イヴの号令を合図に、チームの全員が魔法を放った。
「エクスプロージョン」
「サンダーレイン」
「アイスエッジ」
「ライトバレット」
「ライトカッター」
放たれた魔法で、敵の一団はほぼ壊滅したが
馬車の横から別動隊が襲い掛かった。
「敵襲!横からです!」
横からの襲撃に護衛兵は焦ったが、イヴ達は笑みを浮かべていた。
「来るよ・・・」
イヴの言葉が合図の様に横から襲って来た一団が弾け飛んだ。
「間に合いましたね」
「アーロン、良いタイミングだ」
爆風が止んだ後、アーロンが現れた。
現れたアーロンは、生き残っていた残党を全て倒し、イヴ達に合流した。
「イヴさん、こちらは終わりました」
「ああ、ご苦労。
今は、ここで護衛を頼む」
「はい」
イヴは、アーロンに護衛を任せて、自身は正面から攻めて来た敵に向かって行った。
「さぁ、全滅だ」
「はい、お姉さま!」
「はーい!」
イヴの元にチームが集合し、合成魔法を放った。
「サンダートルネード」
四方に発生した雷を纏った竜巻が敵を挟み込み、
徐々に範囲を狭めて生き残っていた敵を空に巻き上げ、雷が貫いた。
仲間が敗北し、文字通りの全滅に敵の指揮官は驚きを隠せず、戸惑っていると
近くを守っていた兵達が倒れて行き、最後に立っていたのはイリスとタバサだった。
「貴方が、指揮官ね、大人しく捕まって頂戴」
「お前達は、どこから現れた!」
「何処からでもいいでしょ、それより、時間が勿体ないから捕まってね」
そう言って、イリスは、指揮官に近づき一撃のもとに意識を狩った。
「さあ、戻りましょ」
「はい、お姉さま!」
イリスとタバサは、イヴの元に合流し、捕縛した敵の指揮官を渡した。
「イリス、タバサちゃん、ありがと!
後は、任せてね」
「はい」
アーロン達は、本隊から離れ、影としての行動を再開した。
その後、本隊は無事王都に戻り、王にこの度の訪問の成果を報告した。
「ジェイク、エイミー、この度の任務、ご苦労であった。
成果については、書状にて受けているので問題ない」
「はい、有難う御座います」
「後は、ゆっくり休んでくれ」
「はい」
王子と姫は、陛下の前から下がり、部屋に戻った。
一方、ギルドに戻ったイヴとアーロン達は、ギルマスに依頼完了の報告と、
襲撃班について詳しく報告を上げた。
「ご苦労。
それから、クトク商店の件は、もう動いているので心配ない」
「え?」
「そう・・・ケリー達が行ったのね」
「ご名答だ」
「誰でもわかるわよ、どうせ張り切って行ったんでしょ」
「それも正解だ」
ケリーのチームは、アーロン達と入れ違いでアロー王国に向けて
旅立っており、アーロン達がギルドに戻った頃には、アロー王国に到着していた。
「ケリーさん、配置はどうしますか」
「今回の任務は殲滅、突撃班は、俺とヤン、
逃げて来た者達の処分をミハルとベニーに任せる。
忘れるなよ、1人残らず消せ」
「了解」
「行くぞ」
ケリーとヤンは二手に別れ、屋敷に忍び込み確実に敵を倒していった。
屋敷を進むと隠し扉があり、その中にはこの屋敷の主のクトクが隠れていた。
「クトクさんですね、今日までお疲れさまでした」
ケリーは、そう言って、クトクの首を切り落とした。
「さて、残党狩りをしますか・・・」
ケリーがクトクを倒した頃、他のメンバーも残党を狩り終えていた。
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