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夜になり、親善大使の歓迎パーティーが開催された。
出席している来賓は、商人、貴族の力のある者達だけで
明日からの商談に差し支えてはいけないのでジェイクとエイミーは、
しっかりと挨拶をして回った。
その中に、アロー王国筆頭の商人、クトク商会のクトクがいた。
「お初にお目にかかります、私、商人のクトクと申します」
「これはご丁寧にありがとうございます。
フローランド王国、第1王女エイミーと申します」
「そうでしたか、貴方がエイミー様なのですね、噂通りの綺麗なお方だ」
「お褒め戴き光栄ですわ」
「ところで、エイミー様は、ご結婚は成されないのですか」
「そうですね・・・・・お父上の意向もございますが
そのようなお話は来ておりません」
「そうでしたか・・・ならば、私の息子も候補の一端を任せていただけばと思います」
そう言って、クトクは近くにいた息子を呼んだ。
「エイミー様、この者が我が息子のジェフリーで御座います」
「初めまして、ジェフリーと申します、どうぞ、宜しくお願い致します」
「エイミーですわ、こちらこそ宜しく」
エイミーは、差し障りのない挨拶をしてその場を離れようとしたが
クトクが、間に入り、話を途切れさせなかった。
「エイミー様、良ければ我が息子を護衛として、ご同伴頂けないでしょうか」
「ごめんなさい、護衛は十分ですわ」
エミリーは断って、その場を後にした。
エミリーが去った後、クトクは苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。
「この私に逆らうとは・・・・・生意気な女め」
クトクは、そう呟くと近くにいた男を呼んだ。
「おい!あの女のこの街での予定を調べろ、
それから、襲撃で来そうな場所も調べておけ」
「襲撃ですか?」
「そうだ、あの周りにいる女共も奴隷にして売り払ってやる」
クトクの話が終わると、男もその場から姿を消した。
「小娘よ、怖い思いをしてもらうぞ・・・
そして私の物にしてやる・・・」
クトクは、エイミーを息子の嫁として考えていたが
気が変わり、自分の物にする為に動き出そうとしていた。
その後、パーティーは無事終了し、ジェフリーとエイミーは
お互いの部屋に戻り休んだ。
翌日、ジェフリーとエイミーは王都の視察をして
市場や商人ギルドに顔を出し、商品の説明を受けた。
そしてその日の夜は、商人ギルド主催のパーティーに参加したが
やはりここにもクトク商会の会長クトクが参加していた。
「エイミー様、この国の商人ギルドは如何ですか?」
「はい、活気があるし、取り扱っている商品にも興味が湧きました」
「左様でございますか、お気に召した商品があれば何時でもご用意致しますので」
「有難う御座います」
エイミーは、きびつを返しジェフリーの元に向かって歩こうとしたが
クトクに呼び止められた。
「エイミー様、昨日の話ですが、良い返事をお待ちしております」
エイミーは、振り返り、クトクに言った。
「クトク、分を弁えなさい、昨日からの再三の無礼な態度、度を越えています。
今後、この様な態度を取るのであれば、それなりの処置を持って対処させて頂きます」
エイミーの声はパーティー会場の中に響き渡り、その場にいた商人や貴族、王族にまで聞えた。
エイミーに拒絶されたクトクは、立場を失い、エイミーを睨みつけてその場を去った。
会場を後にしたクトクは屋敷の戻ってから部下に命令を下した。
「兵を集めよ、そして明日、この街を去った後、襲って捕らえよ」
「宜しいのですか?」
「構わん、捕らえたら他の奴隷たちの所へ連れて行け」
「畏まりました」
クトクは、兵が去った後1人呟いていた。
「あの女、絶対に許さん、この国で一番は、王ではなく私なのだから・・・」
部屋の中でその言葉を魔法で消えていたアーロンは聞き、クトクが部屋を出た後に脱出した。
不定期投稿ですが、宜しくお願い致します。