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「タバサ、どういう事?」
「実は、里を出てから、お姉さまの行方を捜していました。
そうしたら2年も掛かってしまい、お金も無くなってしまいました。
でも、やっと見つけたんです。
ですから、どうか、お側において下さい」
「でも、アーロンにも聞いてみないと返事はできないわ」
「はい、わかっています」
イリスは、アーロンに聞いてみる事にした。
「アーロン、聞いて欲しいのだけど・・・」
「あの子の事?」
「うん・・・お願いがあるの」
「いいよ」
「え?」
「一緒に住ませたいって事でしょ」
「うん、そうだけど・・・」
「イリス、君が俺を助けてくれた時の事、覚えている?」
「スラムで出会った時の事でしょ、覚えているわよ。
闇ギルドの仕事で敵を追って行き、そいつが貴方の住処に逃げ込んで
貴方が、倒したんだよね」
「そうだね」
「でも、貴方は何も見返りも求めず、虚ろな目をして倒した敵の横に座ったままだった。
話し掛けても返事もせず、食事を与えても全く食べなかった」
「そうだね、あの時の俺は、そのまま消えたいと思っていた。
でも、誰かに殺されるのは嫌だったから襲って来た敵を殺した。
おかしいだろ、死ぬつもりなのに殺されるのは嫌なんて・・・」
「うん、今聞くとおかしいね、でも、毎日通ったら話をしてくれるようになったね」
「そうだね、毎日話もしないのにずっと隣に座っているだけだったから
気になって俺から話し掛けたんだよ、何をしているのかってね」
「うんうん、嬉しかったよ。
それでなんかね、話をする度にこの人いいなぁって思って来たの。
だから、助けたし、一緒にいようと思ったんだよ」
「それで俺は救われた訳だから、今回もイリスが、一緒にいようと思ったのなら
それでいいと俺は、思うよ」
「アーロン、有難う」
「俺は、いつも君に感謝しているよ」
「・・・・・ばか・・」
イリスは、アーロンと話をしてタバサも一緒に暮らす事を決めた。
「タバサ、今日家を買った所なの、それでこれから契約をするところだけど一緒に来る?」
「それって・・・」
「そうだよ、これから3人で暮らす事になるからアーロンとも仲良くしてね」
「はい、勿論です」
アーロンとタバサは、握手をした。
「タバサ、これから宜しく」
「はい、こちらこそです」
3人は、揃ってアンソニーの店に向かった。
アンソニーの店に入り、先程決めた家の契約を結び、代金を支払った。
「これであの家は、貴方の物です」
アンソニーは、そう言って証書をイリスに渡した。
証書を貰ったイリス達は店を出て、建築ドワーフの店に行き、家の修理を頼んだ。
「それで、わしに修理を任せて貰えるんだな」
「はい、お願いしたいと思っています」
「よし、ならば、家を見にいこう」
アーロン達は、ドワーフを連れて家を見に行った。
家に着くとドワーフは、色々と調べて回り、費用と日数を割り出し、アーロンに伝えた。
「修理には一週間、費用は金貨2枚だな」
「構いません、お願いします」
「よし、わしの名は、グラントじゃ、宜しく頼む」
「こちらこそ、お願いします」
「それから、必要な物があったらついでに作ってやるぞ」
イリスは、欲しかった物とか風呂を大きくして欲しいなどの要望を伝えた。
「わかった、任せておけ」
代金を払い、全てをまかせてから住んでいる自宅に戻った。
ただ、今の部屋は、大きくないのでタバサには、宿を勧めたが
イリスの傍ならどこでもいいと言って来たので自宅に招く事にした。
「なぁ、イリス、俺は、床で寝るから、2人はベッドを使ってよ」
「アーロンさん、それは申し訳ないので私が床に寝ます」
「それは、無理だよ。
女の子を床に寝かせる事なんて出来ないから言う事聞いてね」
「はい、有難う御座います」
翌朝、アーロンとイリスは、仕事の準備をしていると
起きて来たタバサは、自分も手伝うと言って来たが断った。
ただ、イリスはタバサの強さを知っていたので
ギルマスに掛け合う事にしていた。