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アーロンとイリスは、王宮薬師のヨシュアの家族を消した後、
王城に向かっていた。
「アーロン、狙うメイドって第1王子付きだよね」
「うん、そこが面倒臭いと思うけど・・・・」
「どうするつもりなの」
「おびき出すよ。
彼女達が、深夜に城の外に出ないといけない状態をつくる」
「どうやって?」
「トーマスイングラムの使いとして手紙を送るよ。
疑われてもいいんだ、外に出て来てさえくれたら問題ないよ」
「そうだね、まずは潜入しよう」
2人は、王の寝所に入った時と同じ手口で城内に侵入し、
第1王子のお付きのメイドの部屋に手紙を置いて来る事に成功した。
「後は、城の外で待とう」
「うん」
深夜、城を抜けだす2人の姿があった。
ラルとリリスである。
「ねえ、これからどうなるんだろう?」
「知らないわよ、貴方だって危険な事はわかっていて参加したんでしょ」
「そうだけど・・・・・」
「私だって、今日の城内の様子がおかしい事はわかっているわ、
だから、こうして逃げて来たのよ」
「じゃぁ、トーマス様の事がばれたの?」
「わからないけど、まだ、大丈夫なんじゃないの、だって手紙が来たんだし」
「そうね、待ち合わせの場所まで急ぎましょ」
2人は、藁にも縋る気持ちで急いだ。
しかし、待ち合わせ場所到着したが、誰も待っていなかった。
「誰も居ないじゃない!どうなっているの!」
「うん、でも待つしかないわね」
その時、強い風が吹いたかと思うと2人の首を刎ねた。
2人が地面に倒れた後、姿を現したのは、魔法を放ったアーロンとイリスだった。
「2人共死んでいるわ」
「わかった、戻ろう」
「うん」
2人は、確認した後、その場を去った。
ギルドに戻ると全員が戻っていた。
「アーロン、君達で最後だ。
仕事は、終わったんだね」
「はい、任務は無事に終えました」
「そうか、お疲れ様」
「はい」
ケリーに報告を済ませ、広場で待機しているとギルマスが現れた。
「皆、任務を無事に達成できたことに感謝する。
それから、全員が揃ったので解散でいいだろう。
お疲れさん」
ギルマスの終了の挨拶で皆が解散し、それぞれが帰宅した。
アーロンとイリスは、並んで歩いていたが、アーロンの様子が可笑しかったことに気付き、
イリスは声を掛けた。
「アーロン、どうしたの?」
「うん、大した事じゃないのかもしれないけど
此処まで大掛かりな依頼は初めてだったからちょっとね」
「わかる気がするよ、だって主犯だけじゃなくて
家族やそこで働いていた人達も対象になったからね」
「うん・・・・・」
「でも、禍根を残さない為にも、そうするしか無かったんじゃないの」
「そうだね、誰が何処で繋がっているかなんてわからないからな」
「それに、今回の事件は国家転覆を目論んだ者達だから自業自得だわ」
「確かに・・・・・此処で止めておかないと大勢の市民が死ぬ恐れもあったかも
知れないから仕方ないよな」
「そうだよ、だから悩まないで、ね」
「わかった。
イリス、有難う」
「はいはい、どういたしまして」
アーロンの気持ちも落ち着き、いつもの日常に戻る為に2人は家ひ向かって歩いた。
翌日、ヒューゴは王に面会し、事の顛末を伝えた。
「そうか、ヒューゴよ、ご苦労であった」
「はっ、有難き幸せ」
「それから、こちらの事じゃが、あ奴らは火事でなくなった事などにしておいた
まぁ、表の体裁を繕っただけだが、頭の良い者達なら気付いて、これ以上の無茶はして来まい」
「そうですね」
「ああ、それと、これを渡しておく」
王は、ヒューゴに袋を渡した。
「陛下、これは・・・・・」
「なに、薬の礼じゃ、あの面白い奴にでも渡してやってくれ」
「畏まりました」
「うむ、頼んだぞ」
ヒューゴは、一礼をして王の前から去っていった。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。