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アーロン達が見張っていると、出入りの業者が入って行った。
「イリス、何処かの商人が来たみたいだよ」
「うん、出てきたら後をつけるよ」
2人で待機していると、先程の業者が出て来た。
「アーロン、行って来るね」
「気を付けてね」
「うん!」
イリスは、商人の後を付けて行った。
商人は、他の貴族の屋敷もまわってから、店に戻った。
「フリッツ商会・・・」
イリスは、今日、回った貴族を覚えておいた。
翌日も商人の後を付けようと思っていたが、店主が店から出る事はなかった。
次の日も店から出なかったが、見た事のある男が商店に入って行った。
「あれって薬師のヨシュアとか言う人だよね」
イリスが、そのまま店を見張っていると急に声を掛けて来た人がいた。
「イーリス!」
「サリー!」
「此処を見張っているの」
「うん、この店の商人が噂の貴族の屋敷から出て来たの」
「そうなんだ」
「うん、他にイングラム家とドズル伯爵家を回って戻って来たんだ」
「そうなんだ。
今、私達が見張っているヨシュアも入って行ったでしょ」
「うん、見たよ」
「この男も接触したとなると怪しいね」
「私もそう思うけど全体像が見えないと残党を作り出す事になるからね」
「それが問題だね」
サリーと会話をしているとヨシュアが出て来た。
「あっ来た!私行くね」
「うん、またね」
サリーは、ヨシュアの尾行に戻った。
その日も店主が店から出る事は無かったが、深夜、フリッツ商会に入って行く者達がいた。
イリスは、隠れて様子を伺っていたが、会話を聞く為に接近する事にした。
屋敷の屋根に上り、中の様子を伺ってから中庭に下りてから屋敷の下に潜り込んだ。
「クラリス姫はどうするんだ!」
「フリッツ様、今は、動かない方が良いと思います。
それよりも王を亡き者にしてからお家騒動にした方が良いと思います」
「コステロ伯爵は何と言っておるのだ」
「クラリス姫の件は放置で良いと・・・・
それから、先程の件を承認して頂いております」
「そうか、他の方々は?」
「ヘイゼル様には、まだ伝えておりませんが、トーマス様には同意を頂いております」
「わかった、今後もコステロ伯爵にお任せ致します」
「有難う御座います。
我が主にお伝えいたします」
「宜しくお伝えください」
「はっ!」
深夜、訪れた者達が居なくなってからイリスは屋敷から出て行った。
「うわ~コステロ伯爵も繋がった」
イリスは、少し離れて見張りに戻った。
一方、アーロンは、ホールデン子爵の家を見張っていたが何も変化がなかった。
翌日、領主のヘイゼル ホールデンが出掛けて行ったので尾行を始めた。
ヘイゼルが向かった先は、イングラム家の屋敷だった。
アーロンは、魔法で姿を消して屋敷の中までついて行った。
「トーマス、話があるそうだな」
「ああ、メイド達から連絡があってな」
「それは・・・」
「第1王子のサイモンが怪しんでいるようだ」
「バレたのか?」
「いや、疑っているだけで、証拠は掴まれてはいない」
「確かな情報か」
「間違いない、あの王子のお付きのメイドは我の仲間だ」
「ハハハ、それは、間違いはないな」
「ああ、だが用心するに越したことは無い」
「そうだな、気を付けるよ。
でも、その女は大丈夫なのか」
「あの2人は、私の女だから裏切る事は無い」
「ハハ、それを知らずに王子はメイドに相談でもしているのかな」
「そうかも知れんな」
「それよりも今後の計画はどうなっているのだ」
「それは、コステロ様から通達があってな、
陛下が亡くなってからお家騒動に紛れ込ませて実行するそうだ」
「わかった。
では、戻るとするか」
ヘイゼルは、イングラム家を去り、屋敷に戻って行った。
その後、アーロンは屋敷を出てから姿を現し、ヘイゼルの監視の役目に戻った。
それから、数日間の監視をしていたが、この商人と3貴族以外の接触は無かったので
一度、ギルドに戻り、イリスと共に報告をすることにした。