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アーロン達は、王城に忍び込み、王の寝室を目指した。
「やっぱりこの時間は、人が多いな」
「うん、でも行くんでしょ」
「当然!」
王の寝室の近くまで行ったが、入り口に兵士が待機しているので
中に入る事が出来なかった。
「どうするの?」
「上から行こう」
アーロン達は、1度引き返し、屋上に上がった。
しかし、屋上にも兵士が待機していたので、下りる事が出来なかった。
「ここも無理ね」
「最後の手段に出ますか」
「何かあるの?」
「うん、クラリスに頼もう」
「え? 巻き込むの」
「詳しい話はしないよ、王に用があるからと言って面会を頼むだけだよ」
「それなら、いいかも」
「よし、行こう!」
アーロン達は、引き返し、クラリスの部屋に向かった。
クラリスの部屋の前には、兵士も居なかったのでそのまま向かった。
扉を叩くと中から返事があったので、人が来る前に部屋に入った。
「イリス!」
「クラリス久し振り」
「どうしたの?」
「あのね、陛下に用事があって内密に面会したいのだけど
扉に兵士がいて入れないの。
それで、クラリスにお願い出来ないかなって思って此処に来たの」
「お父様に危害を与えたりはしませんよね」
「当り前です!陛下にそんな真似は出来ませんよ」
「わかったわ、私に任せて」
「有難う」
クラリスは、2人を隠した後、メイドを呼び、服を持って来させた。
「イリス、これを着て私に付いて来て」
「わかったわ、アーロンは、消えて付いて来てね」
「了解」
アーロンは、魔法を使った。
「インビシブル」
「あれっ、アーロンは消えたの」
「そうだよ、魔法で消えて付いて来て貰うの」
「凄いね」
「ありがとう」
「わっ!声だけ聞こえたわ」
「ええ、声は話すと聞こえるよ」
「私も消えてみたいわ」
「ハハハ」
イリスは、笑ってごまかした。
「では、お父様の所へ行きましょう」
アーロン達は、クラリスに連れられて王の寝所に入って行った。
「クラリス、有難う。
此処まででいいわ、詳しい話が出来なくてごめんね」
「ううん、いいよ。
でも、約束は守ってね」
「了解、また来るね」
イリスは、寝所から出て行った。
「陛下、突然すいません」
「誰だ?」
「アーロンとイリスで御座います」
「そなたたちか、どうしたのだ」
「はい、実は、陛下の薬に興味がありまして・・・・」
陛下は、アーロンの意図を汲み取った。
「そう言う事なのか」
「まだ、確定ではありませんが」
「そうか・・・・」
「それで、お願いがございます」
「わかっておる、持って行け」
「有難う御座います。
それと、確定するまでは、薬は飲まれない方がいいと思います」
「そうだな」
「もし、飲まなければ疑っている事が知られそうだったら、これをお飲みください」
アーロンは、毒消しポーションを持っていた5本すべてを渡した。
「これは?」
「毒消しのポーションです」
「よし、後は我に任せよ、お主たちの連絡が来るまで上手く振る舞って見せよう」
「有難う御座います。
それでは、失礼します」
アーロンとイリスは、王の部屋の窓から飛んで行った。
「面白い奴らじゃな」
王は、そう言ってポーションを隠してからベッドに横になった。
アーロン達は薬を持ってギルドに戻ると、イヴとイヴのチームが待っていた。
「イヴさん、お待たせしました」
アーロンは、薬を瓶ごと渡した。
イヴは、貰った薬の蓋を開け、匂いを嗅いだ。
「あらっ、ニーガヨモギだわ」
アーロンも名前を聞いて思い出した。
「あっ、そうです、あの匂いです!」
「フフッ、調べる手間が省けたわ、アーロン、後はこっちでやるから
他の事に行っていいわよ」
「わかりました、ではお願いします」
イヴは、アーロンに手を振って答えた。
その後、アーロンは、噂になっている貴族を調べる事にした。
「まずは、ホールデン家を見張って見るよ」
「わかったわ、私は、この貴族の周りを調べるわ」
「うん、宜しく」
アーロン達は、二手に分かれて調べる事にした。