王女の護衛です。
ワイバーン討伐から数日が過ぎた。
アーロンとイリスは、ギルマスと闇ギルドの広間で雑談をしていた。
「ワイバーン討伐には、闇ギルドからの出動は無かったんですね」
「いや、あったぞ」
「え?」
突然、横から声が掛かり、アーロンが驚いていると
レスリーが笑いながら近づいて来た。
「アーロンは、出立の時は居なかったんだな」
「はい・・・」
「そうか、ならば仕方ないな」
「どういうことですか?」
「はは、俺達は冒険者ギルドにも登録していてな。
それで、王宮からと冒険者ギルドからの依頼があったので俺達は行って来たぞ」
「大丈夫なのですか?」
「それは、問題ない。
俺達の事を知っているのは、冒険者ギルドのギルマスと王宮だけだ」
「ハハハ・・・」
「それと俺は”風牙”のリーダー、ランスという名で動いているから覚えておけよ」
「はい・・・」
その後、アーロンとイリスは、ギルドを出て街を散策していた。
「なんか、落ち着いてこうしているのも久しぶりの様な気がするね」
「そうだな、前は休みなのに呼び出されたしな」
「そうね」
「イリスは、何処か行きたい所はある?」
「んー、このままブラブラしているだけでいいよ。
アーロンは?」
「俺は、イリスの尻尾をモフモフしていれば満足だから」
「・・・・ばか」
2人は腕を組みながら街を歩き、市場で食糧を買い、家に戻った。
家に戻り、アーロンは、イリスの手料理を食べていた。
「アーロン、実はね、お金が溜まったらもう少し大きい部屋を借りたいと思っているの」
「そうだな、この部屋は思い出は沢山あるけど、2人だと少し狭いかもな」
「うん、元々私だけだったからここでも良かったけど
最近はね・・・・・」
「そうだな、俺が、居候しているからなぁ」
「ううん、アーロンはいて欲しいの、だから2人の家が欲しいなって思うの」
「えっ!部屋じゃなくて、家なの」
「そう、本当は家が欲しいの、でも現実は部屋かなって思っているよ」
「なら、目標は家にしようよ」
「いいの?」
「いいよ」
「ありがとう!」
イリスは、アーロンに抱き着いた。
「イリス、頑張ろうね」
「うん!」
その後、2人は、一緒にシャワーを浴びて、ベッドに入った。
翌日、2人がギルドに顔を出すと、ギルマスに呼ばれ、執務室に顔を出した。
「来たか、座ってくれ」
「依頼ですか」
「そうだ、今回は、王宮からの指名だ」
「ってことは・・・・」
「ああ、第2王女のクラリス様関係だ」
「やっぱり・・・」
アーロンとイリスは以前、王宮からの依頼で第2王女の護衛を務める事があった。
その時は、イリスはお側付きのメイドでアーロンは、第2執事として側近を務めた。
そして気に入られ、第2王女は、護衛依頼を闇ギルドに出すときは必ず、
アーロンとイリスを指名してくるようになった。
「ただ、今回は、いつもと違うぞ」
「どうゆう事ですか?」
「護衛は、お前たちだけではない、他にも影(別動隊)が付く。
なのでお前達は、王女だけを何があっても守れ、他は捨てて構わない」
「何かあるのですか?」
「そうだ、最近、一部の貴族に怪しい動きがあってな、
それで、今回の王女の視察の間に襲ってくる可能性が高いのだ」
「視察を止めなかったの?」
「そう言う意見もあったが、王女は、農家の人達が待っているからと
行く事を取り止めにはしなかったのだ」
「無茶な!」
「まぁ、それで今回は警備を強化して送り出す事にしたらしい」
「アーロン、あの王女だもん、仕方ないよ」
「そうだな、やんちゃなくせに良くも悪くも真面目だからなぁ」
「それで、出発は2日後だから頼むぞ」
「はい、わかりました」
ギルマスと話を終え、武器屋と防具屋を回ってから家に戻った。
それから2日後、第2王女クラリスの農耕地視察が始まった。
続けて投稿します。