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そして、翌日、アーロンは、全員に昨日の事と敵のアジトと
冒険者ギルドの情報を流した者の名前を話した。
「アーロン、決めて」
「わかった、これから説明するよ」
「敵のアジトは、宿屋こはく亭だ」
「え!」
「あんなに大きい所がアジトなの?」
「そうだよ、あの宿の裏にある3つの蔵の全部に地下室があって、そこにアジトがあるんだ。
だから、探しても見つからなかったんだよ」
「なら、兵士に見つからない事も理解できるね」
「でも、どうやって攻めるの、正面から戦う約束したんでしょ」
「客の少ない昼に襲撃を掛ける、その為の仕掛けもするさ」
「それで、襲撃はいつ掛けるの?」
「その返事は、今晩まで待って欲しい」
「わかったよ」
「有難う、それからクラス、頼みがある」
そして、翌日、クラスは馬車でクロード邸に向かった。
クロード邸に着くと直ぐにニルスに面会を求めた。
ニルスが出て来るとクラスは、あるお願いをした。
「ニルス様、今日はお願いがあって参りました」
「どういう事でしょうか」
「野盗のアジトがわかったのですが、手の出しにくい場所でして
その為に1つ実行して欲しい事があります。
もし、お聞き頂けるのならば残りの支払いは
これからの経費と手伝って頂いた謝礼として無かった事にさせて頂きます」
「それは、本当か?」
「私は、嘘は付きません」
「わかった、何をすればいいのだ」
「こはく亭はご存知ですか」
「知っているが」
「そこを明日の夜、貸し切りにして下さい」
「それで良いのか」
「はい、それと宿の横に馬車を置いといて下さい。
その馬車は夕刻に取りに来て下さい、ただ、その時にはニルスさんも来てくださいね」
「わかりました、必ず成し遂げて見せましょう」
そして、クラスは帰って行った。
その後、ニルスは、パトリシアを呼んだ。
「パトリシア!おらぬかパトリシア!」
「騒がしいですね、貴方なにかありましたの?」
「ああ、今、クラス様がお見えになっていただろ」
「はい、存じておりますが」
「それで、この間の未払い金が無しになる話を持ってきてくれたのだ」
「まぁ、でも、危険な事ではありませんか?」
「いや、詳しくは言えないが、全く危険のない話だ」
「貴方、頑張って下さい」
「ああ、任せろ、それと明日の夜はお祝いにしよう」
「はい、皆も喜びますね」
2人が喜んでいると、近くを通り掛かった娘達は不思議そうな顔をしていた。
翌日、クラスにギルドの見張りを任せ、アーロン達はこはく亭に向かった。
こはく亭に着くと裏の壁を乗り越え、3組に別れて同時に忍び込んだ。
1つ目の蔵に入ったアンネとエレノアは、地下室に向かって魔法を放った。
「ファイヤーストーム」
地下室に突然吹き込んだ高温の熱風に中にいた者達は、逃げ場も無く、
倒されていった。
魔法の効力が消えると室内に入り、中を確認してから出て来た。
「終了だね」
「そうね」
2つ目の蔵に入ったダリルとジョゼも地下室にはいらず、入り口から魔法を唱えた。
「ウインド ストーム」
地下室に吹き荒れる竜巻に敵は蹂躙され、効力が切れる頃には
立っている者はいなかった。
その後、2人は地下室に入り、生き残りがいない様に止めを刺して回った。
3つ目の蔵に入ったアーロンとイリスは、ゆっくりと中に入って行き、
襲い来る敵を次々と切り倒し、生き残っていた者に人質や財宝の在りかを聞くと
宿にある事が分かったので、残りを倒してから宿に向かった。
宿の中には、亭主と従業員がいたので在りかを聞き出し、
インビシブルで姿を消してから人質に近づき、目隠しをしてから救出した。
そして、財宝をアイテムボックスに収納し、人質を解放した後、
亭主と従業員を倒してから、宿を爆発させた。
その後、全員で人質を連れて裏から抜け出し、横に置いてあった馬車に人質を乗せ、
そのままで待つように伝えてからアーロン達が戻ろうとすると
クラスが、ギルドの情報を流していた者が街の外に逃げたと聞き、アーロンが行こうと
すると、バイクと叫びながら手を上げる者が現れた。
「アンネ・・・・」
「時間が無いです!」
「はいはい」
アーロンがバイクを出すとエレノアが前に乗り込み、急いで発信した。
ただ、発信する時に、アンネは、クラスを捕まえていたので
3人で向かう事になった。
「3人乗り・・・・」
「アーロン、考えちゃ駄目だよ」
「そうだね」
アーロン達は、諦めて屋敷に戻った。
それから暫くして、3人は戻って来た。
エレノアは疲れていたが、何故かアンネとクラスは、大はしゃぎだった。
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