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ジョゼは全力で走り、屋敷に戻った。
屋敷に到着すると、直ぐにアーロンを探したがまだ戻っていなかった。
「ジョゼ、どうしたの?」
「深夜、スラムの奥に駆け込んで来た者達の後を付けたのです。
だけど、途中で、隠れて者達の襲撃を受けてしまい、
中途半端に倒したから逃げられると思って、今、ダリルが1人で見張っているんです。
でも、相手に見つかるとダリルが危なくて・・・」
「じゃぁ、急がないといけないね」
「え?」
「皆で行こうよ、それに何人かを捕らえれば問題ないよ」
「そうだよ、急ごう!」
その時、後ろから声が掛かった。
「私も行きます!」
振り向くと、クラスが立っていた。
「クラス、本気?」
「勿論本気です」
「わかった、行こう」
そう言って、エレノア、アンネ、クラス、ジョゼは急いでダリルの元に向かった。
皆が、ダリルの所に向かっている頃、ダリルは、1人で死体を隠していた。
その時、見張っていた屋敷が騒がしくなり、中から大勢の人達が現れた。
「おい、荷物は準備できたか、そろそろ合流の時間だ」
男達は、急いで大量の荷物を荷馬車に積み込んでいた。
そして、3台の荷馬車と共に男達はダリルの方に進んで来たので覚悟を決め、
ダリルは前に進み出た。
「お嬢ちゃん、何の用だ?」
「道に迷ったんですけど」
「はぁ、まぁいいか、こいつも捕まえて持って行こう」
男は、ダリルを捕まえようとしたが中々捕らえる事が出来なかった。
「このガキ!」
男は、剣を抜きダリルに襲い掛かった。
しかし、ダリルは躱し、先程から指示を出していた男がリーダーと決めて
銃で撃ち抜いた。
突然の攻撃に敵のリーダーは、何も出来ず撃ち抜かれた。
「おい、団長が倒れたぞ!」
「全員、戦闘態勢!」
男達は、急に戦闘方法を変え、集団で襲い掛かって来た。
だが、ダリルは、冷静に銃で撃ち抜いて倒していった。
その頃、遠くから騒ぎを聞きつけたジョゼが、皆に戦闘が始まっている事を伝え、
到着と同時に戦う事になると伝えた。
そして、皆が到着すると予想通り、戦闘が行われていたので、一斉に周囲に広がり
各個撃破していった。
だが、エレノアだけは、殺さず、捕虜にしていった。
そして、荷馬車の荷物と捕虜を抑えておき、屋敷の捜索に向かった。
すると、屋敷の中から、見た事のある名前が見つかった。
「コール王国の騎士団・・・」
荷物を纏めると皆は、エーリカとエイダの待つ屋敷に向かった。
「クラス、初戦闘はどうだった」
「はい、練習よりも緊張しました」
「だよね、私達も養成所の時に出来た事が実践では出来なかったよ」
「そうなんですか」
「そうだよ、でも、ここで諦めたらギルドに入るチャンスは、
もう無いと思って頑張ったんだよ」
「皆、それぞれの思いがあったんですね」
「そうだよ、ケリーさん達は、私達を助けてくれたばかりか、
食事も家も家族もくれたんだよ、だから私は、家族を守る為に頑張れる」
「エレノアの家族は私だね」
アンネは、そう言ってエレノアに抱き着いた。
「ほんとに甘えん坊なんだから」
そう言って、エレノアはアンネの頭を撫でていた。
「仲がいいのね」
アンネは、笑顔で頷いた。
「ところで、ダリルとジョゼも養成所の時から仲がよかったの?」
「僕達は、此処に来てからだよ」
「そうでしたの」
「はい、養成所の頃は、顔を知っている程度でしたけど、
ギルドに入ってからは部屋が一緒だったんで、
それから一緒にいるのが当たり前になったんです」
「此処でも、一緒の部屋だよね」
「はい、なんか今更分かれると気持ち悪くて」
「良く言うわよ、ジョゼは、私に抱き着いて寝ているから
1人だと寝れないのでしょ」
「ダリル!言わないでよ!」
「え!抱き着いて寝ているの」
「・・・・・はい」
ジョゼは、顔を赤らめながら返事をした。
そして、屋敷が見えて来たので、静かに進みながら屋敷に到着した。
屋敷に着くと、玄関に荷馬車を付けて、荷物を運び込んだ。
その音に戻っていたアーロンとイリスは気付き、皆の元に行った。
そして皆に事情を聞いた後、捕まえていた者達の尋問を行った。
「貴方達は、コール王国の騎士団の方々ですね?」
「お前は、我が騎士団を知っているのか」
「はい、フローランド王国にいましたし、現場も見てきましたから」
「そうか、我々はあの後、コール王国に住み着く者達と
他国に流れる者達に別れたんだ」
「貴方達は、他国に流れた人達ですね」
「そうだ、だが、何処に行っても貧しい生活しか出来ず、仕方なく野盗になったんだ」
「よく話してくれますね」
「どうせ、殺すんだろ」
「そう思いますか」
「だってお前達、闇ギルドだろ」
「知っていたんですか」
「当然だ、コール王国でも有名だったからな、まぁ、本物を見たのは初めてだがな
それに、お前達と戦って敗れるなら、皆も本望だと思うぜ」
「なら、アジトを教えて下さい」
「わかった、条件がある」
「なんだ」
「正面から戦ってくれないか」
「いいよ」
「流石だな、感謝する」
その後、アジトの場所と人数を話した後、死ぬ事を希望した為、アーロンが介錯をした。
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