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5

屋敷を飛び出したダリルとジョゼは、スラムに足を運び、散歩しながら辺りを見渡していた。

古びて壊れた教会に近づくと、中から人族や獣人の子供達が現れ、ダリルとジョゼを囲んだ。


「お前達、見ない奴だな、何処から来た?」


「お父さんとお母さんとはぐれたの」


「なんだ、迷い子か」


リーダーの少年が、ダリルとジョゼに近づいて来た。


「俺達が、案内してやってもいいけどただじゃないぜ」


「お金?」


「そうだ、金を出せば何処でも連れて行ってやるよ」


ダリルとジョゼは、ここから一番遠い場所を指定する事にし、顔を見合わせてから答えた。


「市場に行きたい」


その言葉にリーダーの少年は、頷き返事を返した。


「いいぜ、案内してやる」


ダリルは、ポケットに入れていた銅貨を取り出した。


「これで足りる?」


リーダーの少年は、ダリルの手の中にある銅貨の中から5枚を貰った。


「これでいいぜ、ついて来な」


リーダーの少年が歩き出すと、後ろに隠れていた子供達もついて来ていた。

ダリルとジョゼもその中に紛れて歩き出した。

暫く歩くと、ジョゼがリーダーの少年に話し掛けた。


「お兄ちゃんは、あそこで何をしてたの?」


「お兄ちゃんじゃねえよ、俺は、ビガーって言うんだ」


「ビガーは、何していたの?」


「あそこは、俺達の家だ、皆であそこに住んでいるんだ」


「そうなんだ、でも、怖い人とか来そうだね」


「来たら、追い払ってやるぜ」


「ビガーは、強いんだね」


「ああ、俺が皆を守るんだ」


「でも、最近、皆騒いでいるよ、泥棒が出たとか言って」


「知っているさ、俺達の住む所にも夜になると時々、

 大勢の大人が走っている姿を見るけどよ、

 あんな所に何の用があるのか俺には分からねえな」


「そうなんだ」


ジョゼは、野盗の可能性があると思い、ダリルを見ると

ダリルも頷いたので、今晩から見張る事にした。


「お前らも、迷い子なら仕方ないけど、あんまり来るんじゃねえぞ、

 俺達の住んでいる所よりもっと奥に行くと、危ない奴しかいないからな」


「そんなに怖い所なの?」


「そうだ、悪い事して逃げている者達の溜まり場で巡回の兵士も近寄らない場所だからな」


「お姉ちゃん、怖いね」


「うん、気を付けようね」


その時、急にビガーが、話を変えて来た。


「お前ら、兄弟にしては、種族が違うよな」


「うん、違うよ、新しいお父さんとお母さんだから」


「なんだ、そうか、お前らも苦労してんだな」


そして2人は、市場の近くまで送って貰い、ビガー達と別れた。


「ダリル、この後どうする?」


「夜になるまで待って隠れて見張ろう」


「うん、じゃぁ屋敷に戻って夜に備えようね」


「その前に、市場で買い物してビガーの家の前に食べ物を置きに行こうよ」


「そうだね、気付いてくれるかなぁ」


「分かる様にすればいいよ」


「そうだね」


ダリルとジョゼは、市場で買い物をし、夜に備えて屋敷に戻り、仮眠を取った。

夜、袋を抱えたダリルとジョゼは、昼に立ち寄った教会に行き、食べ物の入った袋を置き、

教会の中に向かって小さな石を投げてから隠れた。

すると、教会の中から、棒を持ったビガーが現れ、

辺りを見渡していたが、食べ物の入った袋を見つけると、驚いていたが

出て来た子供達と一緒に、袋を抱えて教会の中に戻って行った。


「上手く行ったね」


「うん、情報料だね」


「そうだね」


2人は、その場を去り、少しスラムの奥に入った場所に隠れた。

そして、深夜、遠くから足音が聞こえて来た。


「ジョゼ、足音が聞こえるよ」


「近づいて来ているの?」


「うん、結構な数だよ」


「これが、ビガーの言っていた集団かな」


「様子を見ようよ」


そして、2人が隠れている目の前を、荷物を抱えた集団がスラムの奥に向かって走って行った。


「後を付けよう」


2人は、後を追いドンドンスラムの奥に進んで行った。

猫人と狸人の2人には、暗闇は関係なかったので途中で隠れている者達に気付いた。


「ジョゼ、不味いかも」


「離れて倒そう」


「うん」


2人は、分かれ、隠れていた者達を倒していき、先程の集団の匂いを追跡した。

匂いを辿って行くと、古びた屋敷に辿り着いた。


「間違いなくここだよね」


「うん、でも中途半端に倒したから逃げられる可能性が高いよ」


「なら、アーロンに聞いてみる?」


「そうだね、ならジョゼ、伝えて来てよ」


「残った方が危険だからここは僕が残るよ」


「いいの、お姉さんの言う事を聞きなさい、それに私が心配なら急いでね」


「ダリル、イリスさんに似て来てない?」


「それ、誉め言葉よ」


「だよね・・・」


結局、ジョゼが行く事になり、ダリルが見張る事になった。



不定期投稿ですが宜しくお願い致します。


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