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変動1

「止まれ。」

 まただ。確かに多い。ガーの言う通りバケモノの数がおかしい。昨日までは多いときでも3日に1回、山を登ったときなんかは下り切るときまでバケモノには1度も会わなかった。なのに今日は2回。

 ガーは別段気にしていないみたいだけど、少し疲れてる様に見えるし、心配だな。


「幸先悪いなぁ。」

 折角の海だというのに、なんで邪魔されなきゃいけないんだろ。マトモな獲物もいないからリュックの中身もすっからかんだし、小動物も見かけないままお昼が近づいてる。

 バケモノの鳴き声が聞こえる。悲鳴みたいだ。

 ガーはバケモノをあまり殺さない、それは私達が食べるもの以外は極力殺さないようにしてるから。命を借りる、狩り、と違って食べもしないバケモノを殺すことは相手が明確な殺意を持って襲い掛かってきたとき以外しない。私はバケモノと直接戦ったことはないけど、ガーがよく言ってたから私もそれに倣ってる。


「駄目だった。」

 ガーが帰ってきた。手は赤く汚れていて、服にも幾らか斑点ができている。こうゆうとき、ガーは大体相手を殺してる。

 でも、生きるためには襲い掛かる危険を払わなくてはいけないから、仕方ない。私が襲われたら矢の1本も当てられずに殺されてしまうだろうから。生きる為には狩り以外の命のやり取りも必要なのだ。


「じゃ、さっき見かけた泉に行こうか…汚れた服で歩き回ると下手に動物を刺激しちゃうかもだから。」

「…そうだな。泉は確かあっちだったよな、覚えてる。ついでに水辺に集まった動物がいたら仕留めよう。」

 ガーは強い。いつもバケモノ相手に1対3以上で戦ってる。仕留めた回数こそ少ないが、今まで1度たりともかすり傷以外の傷を負ったことがない、それは私達の中で当たり前。

 戦えない私は何故かガーに生かしてもらっている。理由は分からないが、私達の血が繋がっていないことは流石に分かる。聞いた話によると12年間私達はこんな感じで生活をしているらしい。私が一人で歩けなかったときは背負いながらこの生活をしていたのだからガーは凄い。

 そんな事だから何故私達がこんな生活を送っているのか尚更分からないのだけど。

 因みに私の様なバケモノはよく見るがガーの様な形の生き物は見た事が無い。これも謎。今度聞いてみよ。


「ねぇねぇガー、あそこにいるのってさ…」

「ああ、まただ。1日にこれだけの数に出会うのは初めてかもな。」

「洞穴にもどる?泉とは逆だし、予備の服もあるから。ガーも疲れてるし、洞穴にはまだご飯も残ってるから、狩りはまた明日にしない?」

 泉には3体のバケモノ、水を飲みながら休憩してる。手には…弓?と長い棒。見た目は違うけど先端が尖ってるから多分ガーの槍と同じだと思う。弓に見えるのは私のとは似てない。木じゃ無いのかな?

 私がバケモノを見たのはこれで多分10数回目だけど、武器までしっかりと見たのは初めて。私達が使ってるのよりも良く出来てる。ガーは相手を倒した後、道具を全て置いてきているのかな?ちょっと勿体無いかも。


「いや、行ってくる。」

「じゃあ、待ってる。」

「すぐに戻るから、終わったらさっさと服を洗って狩りに戻る。」

「分かった、待ってるね。」

 ガーが、大丈夫と言うなら大丈夫。いつもみたいにリュックを抱いてまるまる。この体勢のまま耳をすましていると、そのうちバケモノの喚き声が聞こえてきて、更に待つとガーが帰ってくる。


 ・


『殺したか?』

『ああ、多分心臓を抜いた。それにしても変異体とは…』

『アレだろ?どっかの実験の副産物。』

『私も初めて見たけど、最近話に聞く型落ちじゃないかしら?』

『痛めつけるだけ痛めつけて最後にはどこかに逃げていくってやつか…』

『変なのもいたもんだな。』

『可哀想よね。幾ら戦争兵器だからって言ってもこうして殺されていくのは。』

『戦争兵器ねぇ…東の帝国のか?』

『そ、何故か野を超え山を越え遥々ここを目指してくる。戦争相手は近隣国家だというのに、迷惑な話よね。』

『もしかして、コッチに喧嘩を売ってるのかね?』

  ………


 ・


 バケモノの声がしなくなってから結構経った。ガーは服を洗っているのかな?帰って来るまでは隠れてろって言われてるから隠れてるけど、流石に気になるよね。

 ガーは普段の水浴びも早いし、取り敢えずなんでも手際がいいからもう終わってると思うけど。

 私はなんでもヘタだからなぁ…弓が打てるようになったのは大体4年前ぐらいだし、それからは対して腕も上達しないから普段の狩りもガーのオマケみたい。歩くのは得意になっちゃったけどね。

  ………




 遅い!

 ガーは何してるの?もう流石に気になるよ。

 ちょっとだけ、覗いて見ようかな?


「いた!」

 寝てるし…

 流石に1日に何度もバケモノの相手をしてたら疲れるよね。

 だからって地面に直接寝っ転がるのは…?


 ???


 ???


「ガー、どうしたの?」

 ここから呼んでも返事をしない。寝てるから返事しないのは当たり前だけど、なんか違う。おかしい。


 私は恐る恐るガーに近づいた。


 そして、血に濡れたガーを見て、なにか言葉にならない事を叫んで、その場に倒れ込んでしまった。

 分かりきっていたスタート。

 物語の前書きが終わって本文が始まりました。

 それにしても12年、それだけ歩いていれば正直どこに楽園があろうと辿りついてしまう気がしますね。

 私はそれだけ合っても県外に出ることは出きなさそうですが…

 因みに現段階では最後と途中の展開程度しか考えていないので、これから増えるであろう登場人物すらも考えておりません。

 その最後にしても、どうしても想像が付いてしまう様な気がするのでもっと構想を練らなければなりませんね。

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