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日常2

 疲れた。ガーに新しい服を作ってもらって、そこからまた歩いた。暗くなっても安心できる寝床が見つかるまではコソコソと進む。

 夜の森は静かで落ち着く。歩いてさえいなければ…

 暗いから前がよく分からないけど、ガーが手を繋いでくれるから進むのに支障はない。ガーはちゃんと見えてるのかな、見えてなかったら進めないから見えてるはずだけど。

 どうやって暗い森を見てるのかな?魔法かな?今度ガーに聞いてみよ。


「よし…」

「いいとこあった?」

「ああ、横に広がった洞穴。他の生き物が住んで無い、運が良かったな。」

 それは良かった。食べる以外で寝てる生き物を殺すのは気が引けるから。


「進む、奥まで行ったら灯りを付けるから転ばないように。」

「分かった。」

 灯りがあるなら初めから使えばいいのに、そう言ったら、わざわざ目立つ必要は無いって言われた。確かに、でも夜はバケモノもいない。この森に来てから夜に活動している大型の動物は見てないし、ちょっとだけだったらいいのにって思う。


  バッ


 と、音がして小さな火が浮かんだ。ガーが手早く枝を組んで火を灯す。夜になって冷えた身体が少しだけ温まった。煙は洞穴の天井を伝って入口に流れていく。

 水とか、火とか、煙とか。そうゆうのを見てると頭がぼんやりして、眠くなる。ガーは天井にお昼食べた肉の残りを吊るしてる。明日の朝ご飯は燻製を噛じらせてもらえるかな?


「ねぇ、ガー?」

「なんだ、ジーン」

「久しぶりにジーンって呼んでくれたね。」

 ホントに久しぶり、ジーンって呼んでくれたの。森に入ってからほ呼んでもらってないし、そもそもガーは私の名前をあんまり呼ばない。


「そうだ、ジーンって、私の名前ってガーが付けてくれたんだよね。」

「そうだってなんだよ、名付けはそうだけど。」

「なんでジーンなの?」

「たまたまだ、たまたま。見つけて、名前を付けるときににふと思い浮かんだのが、ジーンとグーガだったから、ジーン。」

 グーガって…

 それならジーンで良かったのかな?

 それ以前になんでガーの名前を呼んだんだっけ?

 理由はないか…

 あと、魔法も聞きたいな。

 でも、眠い。


 そうだ、寝よう。聞きたいことは明日また聞けばいい。


「ガー、おやすみ。」

「ああ、おやすみ。」

 毛皮のマットに骨の枕、そして毛皮の布団。

 あったか。


 ・

 ・

 ・


「おはよー。」

「おはよう。」

 新しい、朝。何ら変わりない、今日。昨日と、更にその前と特に変わらない、今日。

 今日がやってきた。


「今日はどうするの?」

「特にどうするって訳はないけど、強いて言うなら今日か明日辺りにこの森を抜けるぞ。」

「ホントに?」

「ああ、お前が起きる前に木の上から確認した。」

 …どうやら昨日とは違う今日がやってきたみたい。


「ねぇねぇ、森の先は?どうなってた?」

「見える訳ないだろ。ただ、海岸沿いか原っぱの2択だと思う。」

 海岸かー、砂浜あるかな?原っぱは、飽きた?かも。この前の原っぱは水が少なかったから、ちょっとやだった。雨も降らないし、美味しいお肉も少なかったし。草も美味しくないし。だから原っぱはもういいかな?


「だからと言って今すぐに森を抜けても食べるものが無いかもしれないからな。取り敢えず今日は狩りをするぞ。」

「分かった!」

「…元気がいいな。」

「そう?」

 そうかな?ちょっと楽しみだけど、そんなにわかるかな?


「ただ気をつけろよ、最近はバケモノをよく見かける。随分前に通ったバケモノの巣より大きな巣があるかもしれない。」

「わかったよー。」

「ホントに分かってるのか…」

 ガーがなんか言ってるけど、まあいいや。海、うみ!


「海!」

「いや、海じゃ無いかもしれないだろ。」

「そう?」

「まぁいいか、支度しろ。弓と…矢は持てるだけ持ってけ。」

 分かってるよ。

 昨日と今日が同じに見える間は幸せ。

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