54話 奴隷商
エリティアとの一悶着はあったが、取り敢えず王都へ帰る事になった。
王都へは行きと同じ転移魔法で帰ることになるが、王都には転移を邪魔する結界が張られているので直接は飛ぶ事が出来ない。
そもそも魔王ブローは転移魔法の適性は無いので転移魔法で帰ったりなんかしたら怪しまれてしまう。
だから王都に直接転移するような事はせず多少距離の離れた地点から徒歩で王都に向かった。
距離にして2~3キロ程度であったが、精神障害者十人以上を引き連れての帰還は相当大変な作業で思わぬところで時間が掛かってしまった。
そんな苦労をしつつようやく王都の入場門の前まで到着した。
魔族に落とされる前まで王都の入場門は長い列を作っていた。
それが今では簡単に素通り状態になっている。
身体検査も通行料も身分証確認も必要ないんだから当然か。
門へと近づくと流石に魔王の姿を見た門番達が集まってきた。
「おかえりなさいませ、魔王様」
「ああ、今帰った。グロウリーの先触れをだせ。『少し寄り道して帰る』との伝言もつけてな」
「ハッ」
門番は全部で三人。
指示を聞いて一人が王城に向かって走っていく。
「……して、その女達は?」
「今回の戦利品だ」
「なんと!? この辺りはすでに調べ尽くしていたと思っていましたが、たった数日足らずでこれだけの女を集められるとは」
「世辞はいい。散歩をしていたら偶々隠れていた人間を発見しただけだ。それよりもこの女共を奴隷商人に売りたいと思っているんだが、お前『狐の嫁入り』という看板を立てている奴隷屋を知らないか?」
「『狐の嫁入り』ですか? ……すみません。存じ上げませんね」
「その店だったら知っていますよ」
話していた魔族は知らなかったが、後ろにいた魔族は知っていた。
「その店なら昔行った事があります」
「そうか。では案内を頼む」
「分かりました」
案内させる事も取り付けに成功。
こんなに早く見つかるとは幸先がいいな。
門番に先導してもらい奴隷屋へと向かう。
「しかし奴隷屋ってこの女達を売られるんですか?」
門番の魔族は突然質問をしてきた。
どうやら女達の事が気になるようだな。
自分達の王に対してかなりフレンドリーに話しかけてくるな。
「そうだ」
「勿体無くないですか。今の奴隷商は金欠でどこも金がないって言います。どうせ売るなら上位魔族の方々に直接会った方が間違いなく高く買ってくれますよ」
「そうかもな」
「……金が目的ではないんですか? なんなら俺が買い取りましょうか?」
そういってチラチラと後ろの女性達へと視線を向ける。
物欲しそうな目で見てくる。
こいつ完全に調子乗ってるな。
返事の代わりに【絶対者のオーラ】を発動した。
すると魔族は震え上がると「失礼しました」と一度謝罪をしたのち、黙って案内役に集中した。
そうそう、お前は仕事に集中してろ。
「あ、あれが『狐の嫁入り』です。それでは俺は仕事に戻ります」
暫くして魔族は立ち止まり指を指した。
指した方を見ると確かに『狐の嫁入り』の看板が見える。
それを確認し「案内ご苦労」とねぎらいの言葉をかけようとしたら、その前に魔族は早足で去っていった。
終始萎縮した様子に【絶対者のオーラ】の効き目が相変わらず凄い威力だと実感する。
(さて、奴隷商売を行う店に入るとしようか)
奴隷を売買するというからもっと路地裏にある不気味で汚い店を想像していたんだが、大通りの高い酒場のような外観だった。
(いや、これ完全に元酒場だろ。三階建てだから宿屋の可能性も捨て切れないけど、一階は間違いなく元飲食店の装いだ)
エリティアに一度視線を送ると意図をくみ取ってエリティアがその場で立ち止まった。
ここで彼女達の見張りとして待ってもらい、一人でまずどのような所なのかを偵察するために音が立つ錆びの入った扉を開いた。
「邪魔するぞ」
店内に入ると内装は予想通り酒場の風景であった。
テーブルや椅子が大量にあるが左右に分けて置かれている。
掃除をしていないのか多くの家具は埃を被っているし、照明も所々切れていてだいぶ暗い。
唯一カウンターとその周囲だけ整備されていた。
自分の必要な所だけしか気にしない室内の様子に「魔族らしい状態だ」と受け入れた。
カウンターにはイタチの外観をした魔族が酒瓶片手に呑んだくれていた。
この魔族天下になったにしてはもうこの世の終わりみたいな感じになっている。
そのイタチの外観をした魔族はカウンターの前まで来るとようやく気付いたのか顔を上げた。
「お客さんよ。悪いが、ウチにはもう年頃の性奴隷は売ってないぞ」
開口一番の言葉にも商売する気なんて微塵も感じられない。
そうなっている理由は知っているから理解はできるがあまり気分のいい物ではない。
奴隷商について簡単に説明すると奴隷商も盗賊と同じ状況になっている。
最初の頃は敗者である人間の女を売り飛ばして大儲けしていた。
魔族側だったので盗賊以上に女回りは良かっただろう。
相当ぼろ儲けしたはずだ。
だが補充は有限なので次第に数が減っていき、気づいた時には女が一人も置けない状態になっていた。
女が足りなくなれば残るのは子供と男だけ奴隷商は売り物がなくなり、開店休業状態ですることが何もない。
それが今のこのイタチ魔族の状況だ。
今の言葉も客足が遠のいてから女を求めて入店した魔族に何度も言い続けた言葉なんだろう。
寝ていなかっただけマシだと思って叱るのは止めて置く。
「奴隷を売りにきた」
「人間の子供や男じゃあ安値しかつかねえぞ」
「成人している女性だ」
そう告げた瞬間、イタチ魔族の瞳が血走ったものに変わった。
「嘘じゃないな」
「そう思うなら自分の目で確かめてみるがいい。女達は店の前に連れてきている」
言うが否や呑んだくれていたとは思えない俊敏な動きで店の外へと出て行った。
そしてすぐに戻って来て必死な形相で詰め寄ってきた。
「幾らだっ!! 幾ら出せばあの女達を売ってくれるっ!?」
もう今にも襲いかかられそうな勢いで詰め寄ってくるイタチ魔族。
その尋常な迫り方に鬱陶しさを感じて【絶対者のオーラ】を発動した。
「キャンッ!?」
掴んでいた手を離し、犬みたいな鳴き声を上げて崩れ落ちる魔族。
そして自分の身に起こったことを自覚して足を震わせ顔は青ざめながら立ち上がって媚を売る接待に変わった。
「ま、魔王様であらせましたか。とんだお見苦しい所を見せました。どうか命だけはご勘弁を」
「少しは落ち着いたようだな。二度目はないぞ」
「はい。ありがとうございます」
「分かったらすぐに表に待機している女性達を中に入れて査定を始めろ。それと間違っても鎧をつけている女を査定に入れるなよ」
「分かりましたっ!」
イタチの魔族は再び外へと飛び出していった。
近くに置かれていた椅子に腰掛けて、その作業を眺める。
全員を中へと誘導し、観察。
正直何をどう見て判断しているのかさっぱり分からない。
本当にちゃんと査定できているのだろうか?
「終わりました」
「は、早かったな」
「はい。魔王様のおっしゃる通り年頃の女でした。しかし全員精神が破壊されていますね。これでは上位魔族には売れないでしょう。そうなると価格は少し安く……こんなものでどうでしょう」
俺は書かれている紙の値段を見てその紙を破り捨てた。
そしてドンッと机を叩いた。
「な、何か、ご不満でも」
「確かに俺の連れてきた女達はすでに殺した盗賊団に精神を崩壊させられている。そいつは間違いない」
「そ、そうです。ですから割安に」
「だがそれで値段が下がるのは奴隷の首輪をつけた後に精神崩壊が起こった場合だ。つける前に精神状態の崩壊が起こっても関係ない。それは奴隷商人であれば知っていて当然の知識だよな。まさか俺を騙そうと考えているか?」
「……滅相もございません。大変失礼しました。それは私の見落としです。お、お詫びに正規の2倍……いえ3倍出させていただきます」
「10倍だ」
真っ青な顔で挽回するイタチ魔族は俺の提示額に腰を抜かした。
悲鳴をあげて下からアンモニア臭を漂わせる。
「む、無理です。そんな金はウチにはない」
「ならこの女を魔族に売りつけた値段の5割。それと売る魔族は人体実験や向こう5年殺すようなことがない魔族に厳選しろ。そしたら5倍で許してやる」
「ぐっ……それでも少し足りないです」
「……なら仕方がない。奴隷商は他にもいくつかある。ここに無理して売る必要はないな。この店には後でお礼参りとして不快の罰をよこすとしよう」
「待ってくれ。俺の所有する物ならなんでも渡します。それで不足分が補えたら助けて下さい」
土下座して誠心誠意の謝罪をするイタチ魔族を見る。
(……落ちたな)
土下座して命乞いをするイタチ魔族の姿に完全優位な立場になったと笑みを浮かべた。
「そうか。ならそれを見てから判断しても遅くはないな」
「本当ですかっ!?」
「ただし俺が欲しい物があればだ。無ければ消す」
「……分かりました。どうぞ、こちらです」
イタチ魔族は絶望しながらも奥へ勧めてきた。
このまま黙って罰を受けるぐらいなら奇跡が起こる事を信じて賭けに出る事に覚悟を決めたのだろう。
店の奥に消えていくイタチ魔族をを追う前にエリティアへと視線を向けた。
「エリティアはここで女達を見ていろ。もし盗もうとする不届き者が来たら殺しても構わないからな」
この建物の外にいる気配にも伝わるように言う。
先程街を歩いている間も良からぬ目で女達を見る者がいたから一応釘をさしておく。
それでも襲ってくる分には自業自得って事で経験値になっても仕方ないよね。
この酒場、地下に巨大な貯蔵庫があったようでかなり広い空間が広がっていた。
照明がないので見えにくいが、仄かな腐敗臭に獣の香りが強く、盗賊の部屋程ではないが、あまりいい環境ではない。
「ここが奴隷の檻って事か」
「その通りです」
この広さからして無理に押し込めば60は入れられそうだ。
「王都陥落当初は腐る程奴隷がいましたからね。このぐらいの広さがないと奴隷を置き切れなかったんですよ」
「しかし今はほとんどが無人か」
「はい。残っているのはこの檻にいる者だけです」
奥に進むにつれて視界が暗くなっていき、案内された檻の中を見るがよく見えない。
だから【暗視】を使って覗いてみると確かに檻に人が存在した。
イタチの魔族は懐から鍵を取り出して、その檻の扉を開けた。
「こちらが当店の所有している奴隷です」
中に入って確認してください、と勧められるがままに中の様子を確認する。
何人かの人影が動いている。
一人目が人間の成人した男性。
元貴族だそうだが、太っていて戦闘も駄目、頭も悪い。
そのくせやたらと文句ばかり言っていたので買い手がなく残った売り残り。
二人目は少しやせ気味な獣人。
自分が見られていることを感じてこちらに視線を向けると怯えた目をして震えてしまった。
白い色の毛に犬のような耳と太い尻尾を生やした10歳ぐらいの女の子。
三人目も同じ檻に入れられていて警戒しているのか鋭く睨んでくる獣人。
二人目の女の子と知り合いの様で彼女の前へと守るように移動していた。
黒い猫耳と長い尻尾を生やした10歳ぐらいの女の子。
最後に完全に殺気を放って目の逝ってしまっている中年男性。
ただ身体はかなり引き締まっていて風格も感じられる。
イタチ魔族曰く一度売れたが主人を殺して戻って来て売れ残ったのだと。
「どれも微妙な奴らばかりだな」
「これが私が魔王様に出せる限界です。これよりも低い奴隷はいますが……」
そう言ってチラリと隣の檻に視線を向けるイタチの魔族。
それにつられて視線を向けるとこの距離からでもわかる程奴隷の状態は悪かった。
この先にいる奴隷達は金を払う必要もないほど劣悪なのだろう。
「なるほど、よく分かった」
その言葉にイタチ魔族は奇跡は起こらなかったと項垂れた。
「そこの獣人二人を貰おう」
「はっ?」
「聞こえなかったか。そこの獣人を寄越せば不足分は勘弁してやると言っている」
イタチ魔族はようやく俺の言っている事が伝わったのか何度も頭を下げた後、檻に繋がれた鎖を外した。
その鎖をリード代わりにするようにして檻の中から連れ出した。
「「ヒィッ!?」」
地下牢から出されて明かりのある場所に出ると獣人二人が魔王ブローの姿を鮮明に見る事が出来たからか怯えた様子で短い悲鳴を上げた。
それを聞いて安堵する。
別に女の子に怖がられたことに喜んでいる訳ではない。
ただ魔王ブローの姿は普通であれば恐怖する姿だ。
悲鳴を上げるのは他種族からしたら当たり前の普通の感情だ。
つまりこの二人はまだ正常な判断が出来るだけの精神状態である事を示している。
そこから元のカウンターへと戻り、イタチ魔族から一応の奴隷所持の説明を受けて奴隷契約の道具を準備してもらう。
事前に首輪は魔王ブローの特性ものではなく普通の奴隷の首輪を頼んだので通常の首輪が渡される。
「契約内容は知られたくない。個室はないのか」
「それでは奥に」
奥は調理場だった。
個室ではないが、扉は一つ。
窓はないので一応密室空間になっていた。
怪しい個所はないし、問題ないだろう。
「契約は俺一人で出来る」
「はい。私は出ております。終わったらお呼びください」
イタチ魔族が部屋から出ていき、部屋にいるのは奴隷だけとなる。
改めて二人を向き直ると二人とも暗い面持ちで見ていた。
正常な反応だがこの状態だと話が切り出しにくい。
何から話せばいいか……。
「さて、まずは俺がどういう存在なのかを理解してもらおうか」
俺は擬態を解除して元の姿に戻った。
いきなり人間の姿に戻ったのを見て二人とも目を見開いた。
「驚いたか? 俺は人間なんだ。さっきの姿で魔族の社会に溶け込んで生きている」
「魔族じゃないですか」
「そうだ。だからお前達の味方だと信じて欲しい」
「……私達をどうして助けるの?」
「今は人員不足でな。お前達のような子供でも使えるなら使いたいんだ。これから俺の元で強くなってもらい将来的な戦力として働いてもらう為に買った。他に聞きたいことは?」
一応どのように潜入しているのかを話をしておく。
本当に理解できているのか分からないけど二人は頷いたので続ける。
「分かると思うが、この事を魔族に知られる訳にはいかない。この事は絶対に他言無用にしないといけないんだ。でも君達をまだ信用できない。だから奴隷の制約を持って秘密を喋られないようにする。だがそれ以外の自由を奪うつもりはない。美味しい食事も寝室も約束するし、無暗に傷つけたりもしない。だから俺について来てくれないか?」
ここでこんな確認は不要だ。
強引に結んでも何の問題もない。
だが俺は敢えて二人にも選択させる事にした。
「あ、あなたの奴隷になるです」
「……なります」
暫く二人で話し合わせると二人は俺の奴隷になることを望んだ。
「そうか。じゃあ髪を上げて首輪を着けるぞ」
使用人三人に施したように首輪を装着して契約魔法を発動した。
用意されたインクと俺の血が二人の首輪へと注がれて一瞬光輝く。
これで二人の獣人の女の子は俺の奴隷となった。
◆
王城に着くと大勢の魔族達に出迎えられた。
「お帰りなさいませ、魔王様」
その先頭に立つグロウリーが挨拶をしてきて、俺はああ、と返した。
心なしかグロウリーの奴、王都を出た時よりも血色がよくなっているんじゃないか?
考えられるとしたらそれだけ勇者の穴を……。
「変わりないな」
「はい。王都に異常はありません。あの後、再度ギルド職員の処遇については全魔族に通達し、二度とあのような事が無いようにしました」
そう言えばそんな事があったか。
なるほど、この御大層な出迎えはグロウリーの不安の表れか。
貰った翌日に問題が起きれば取り上げられないか不安だもんな。
「もう一度言っておくが、街の管理が出来ているから与えた褒美だ。また同じことがあった時は分かっているな?」
「心得ております」
今回の件で勇者を取り上げる事はないと伝えるとグロウリーは再度一礼をして、一度だけ俺の後ろにいる三人に視線を向けた後、去って行った。
「お前達行くぞ」
幹部魔族グロウリーの姿に固まっている二人を金縛りから解いて王座の間へと向かう。
豪華絢爛な王城を歩いていると改装したアジトと色々と比べてしまう。
せめて使用する部屋の地面だけでも石畳とかにしておけばよかっただろうか。
そうして玉座の間に着くと俺は脱力して擬態を解いた。
「ふぅ~」
「お疲れ様」
久し振りの魔王ブローの擬態と魔族達の対応に少し疲れた。
「二人ももう楽にしていいぞ。よく声を出すのを我慢したな」
「こ、この位余裕なのです」
「……怖かった」
「うん。偉い偉い」
俺は二人をよくやったと撫でる。
右手で撫でている猫耳少女の方が、『黒豹』の獣人で名前を"オルガ"といい。
左手で撫でている気弱そうな犬耳少女の方が、『白狼』の獣人で名前は"ウルカ"だ。
奴隷と交換で受け取ったが、別に愛玩奴隷として買った訳ではない。
はっきりと断っておくが、俺のストライクゾーンはエリティアのような女性であり、まだ未成熟な二人に手を出すようなロリコン趣味はない。
彼女達にも説明したが、戦力増強に期待してだ。
しかし計画では彼女達を助けるなんて入ってなかった。
最初から彼女達を買う予定だったのは向かう奴隷商を名指しした時点で分かるだろう。
だが彼女達に特別な力がある訳でもない。
正直現段階では足手纏いだ。
ではなぜ助けたのか。
それは全てあの球体から送られてきた依頼が原因だ。
【絶対者のオーラ】の取り忘れを神の加護で助けてもらった代わりに送られてきたいくつもの依頼。
その内の一つに『"狐の嫁入り"という店にいる黒豹と白狼の獣人を救い出せ!』という依頼があったのだ。
内容には狐の嫁入りは王都に存在し、店は奴隷商である事も書かれていた。
態々球体の依頼なんて聞いてやる必要なんて無い。
だからといって恩を仇で返すほど落ちぶれてもいない。
今回は助けられたから助けただけである。
どういう理由で助ける必要があるのかも書かれていないので助けた後の事も全部こちらに投げやり。
……しかし一番気に食わないのはこの依頼は依頼表の一番上に書かれていた事だ。
なんか球体に操られてる気がしてくる。
「それじゃあ二人はゆっくりと休んでくれ。ここは……一応安全だから安心して寝ていいよ。それと起きたら食事にしよう。何か食べたい物はあるか?」
「お肉がいいです」
「……私もお肉……骨付きがいい」
二人とも肉食だな。
「分かった。起きたら美味しい肉を用意しておこう」
そう言うと二人は一度抱き付いてきた。
嬉しそうな顔で抱き付いてくる2人に自然と顔が綻ぶ。
横ではエリティアが我慢できなくなって二人の後ろから抱き締める。
こんなに可愛いのだから助けるのは正義である。