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結局、1番大切なもの  作者: 魔法の杖
1章 非日常との出会い
6/6

第6話 カフェタイム

二宮は駅前のカフェで止まった。

「は、速すぎる…」

真心は目を回しながら言った。

「流石ね、光」

優奈は嬉しそうに言う。

「次…走るなら…車道…」

琴葉も目を回している。

「検討しておこう」

二宮は誇らしげに言った。

その輪から少し離れたところで白井はうずくまっていた。

「どうしたの!?白井さん!」

真心が見つけて駆け寄ってくる。

「気に…すんな…乗り物…酔い…だ」

白井が答えると、四人は笑った。

「まあ、こんなところで話していても仕方ないしカフェに入りましょう」

優奈が言った。


四人掛けの席に通された。三人側と二人側がある。

白井は三人側の壁側に閉じ込める形になった。

不思議と狭くない。隣の二宮を見ると、ちょっと平べったくなっていた。

「ひぃっ!」

白井は驚いて跳び上がる。

顔の大きさくらいに体の横幅が縮小されている人間は異様である。

「光ちゃん!そんなこともできるの!?」

真心がワクワクしながら聞く。驚かないのか、化け物め。

「まあね」

二宮はまた誇らしげである。

「光は体を思い通りに動かす能力を持っているわ。このくらい朝飯前ね」

優奈が解説する。自分の体に関してはなんでもありらしい。

「実は」

優奈が話し出す。

「白井さんと光の能力はシナジーがあるわ。行きたい先を光が思い浮かべて、白井さんが時間を止めれば、光の体がその場所に移動するわ。瞬間移動みたいなものね」

「無茶苦茶だな」

白井は苦笑した。だから、二宮は白井が逃げても追いかけることができたのである。


飲み物が届いた。

真心はオレンジジュース。優奈と白井はアイスコーヒー。琴葉はウインナーコーヒー。二宮はアイスティーを頼んでいた。

白井はコーヒーの良さがわからない。でもコーヒーは大人っぽいから好きであった。

優奈はコーヒーを一口飲んだ後、

「実はコーヒーってあんまり好きじゃないのよね。苦いじゃない」

と言った。白井は驚いた。

「お前もか?私も実はそんなに得意ではない」

優奈はふふっと笑い、

「嘘よ」

とさらりと言ってのけた。

「なっ!お前!騙したな!」

白井は顔を真っ赤にして怒った。みんなは楽しそうに笑った。


五人は一時間ほどトークに花を咲かせた。

白井は気になることがあった。

「なあ、あのバカと優奈はわかるが。なんで琴葉、お前はずっと参加してたんだ?私を攻略したいなら二宮を使えばいいじゃないか」

「それは…私の…意思…」

琴葉は答えた。

「意思って、どういうことだ?お前は、私に会ったことがあるのか?」

「昔から…世界が止まることがあった…私が能力を自覚したのも…これがあったから…」

「それは理由になってるのか?私がお前に能力を自覚させたから、その恩で、ってことか?」

「ちょっと…違う…」

琴葉はゆるゆると首を振る。

「じゃあなんでだよ」

「時間が止まっているとき…悲しそうな顔をしている女の子が…いたから…」

うつむきながら琴葉は言った。

「それは、私か?」

「…」

琴葉は無言で首を縦に振った。

「私とあなた…二人の世界…あなたは…悲しそう…だった…」

白井は言葉に詰まった。

この世で一人きりの三秒。その間はどんな顔をしていても誰にも知られないと思っていたのに。

「それは、悪かったな」

「別に…責めてない…でも…二人しかいないなら…笑ってくれる方が…嬉しい…」

琴葉はふわっと微笑んだ。

「時間を止めなくても…悲しい顔…していいよ…」

驚いた。そんなことを言われたのは初めてだった。

両親は完璧な白井しか愛してくれなかった。だから心に波が訪れた時、時間を止める癖がついていた。

いつしか白井の瞳からは涙が溢れていた。

誰も白井の涙を咎めなかった。


「そういえば、白井さんの下の名前はなんて言うの?」

白井がひとしきり泣いた後、真心が問うた。白井は恥ずかしそうに下を向く。

「名前は私に似合わねえから」

「そんなのわかんないじゃん!教えて!」

白井は学んでいた。真心相手に押し問答する無駄さを。

「…美姫っていうんだ。似合わねえだろ?」

白井は顔を上げずにそう言った。

「似合ってるよ!時間を止められるお姫様。シンデレラでも敵わないじゃん!」

真心は言った。白井の顔が赤くなる。

「これからよろしくね!美姫ちゃん!」

真心が美姫を真っ直ぐ見つめて笑う。

「お、おう。よろしくな」

やはり真心の前では調子が狂う。「悪い子」の仮面が剝がれてしまう。

まあ、悪くないかな、と白井は考えた。

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