長椅子と一組のオブジェ
食事を食べ終わった。
そのあと一時間ほど彼女と話をした。
主に冒険者ギルドについてだ。
冒険者ギルドに加入するには書類に必要事項を書いてそれで完了らしい。
といっても名前とステータスとスキルの3つだけだそうだ。
さてと、満腹感がいい感じに落ち着いてきたところであれを始めようか。
「ちょっとベッドに行っててもらえるかな」
彼女はビクリと震えた。
「は、はい」
「言い方が悪かった、これから床の上にいろいろな物を出すからベッドに邪魔にならないようにベッドに行っていてくれ」
「し、失礼しました!」
いいよ、いいよ、そんなに気を使わなくても・・・といっても無理か。
ドスン、ゴン、ゴン
僕は彼女を買った後、僕は2つの物を買った。
長椅子と、一組のオブジェだ。
長椅子は家具屋で見つけた。
店主曰く、この長椅子はとある我儘な貴族が注文して作ったものだそうだ。
ある日
「頑丈で、背もたれのない長椅子を作ってくれ」
という注文を受けたそうだ。
店主は注文通りに椅子を長椅子を作り上げた。
ところが、注文した貴族は長年の不正が見つかったため一族もろとも処刑されてしまったようだ。
それによって、頑丈さだけが取り柄の長椅子が売れ残ってしまったという。
一組のオブジェは雑貨を売っている露店で見つけた。
店主曰く、親友の借金の担保として預かったものだそうだ。
ある日
「これはとてもいいモノだ。これを担保にお金を貸してくれ」
と言われたそうだ。
人のいい店主は親友にオブジェを担保として、決して少なくはないお金を貸したという。
ところが、親友はお金を貸した次の日に夜逃げをしてしまったそうだ。
しかも、担保のオブジェはただ重いだけのガラクタだったそうだ。
さて、僕はなぜこんなものを買ったかというと・・・
筋トレをするためだ。
異世界に来てから1日もたっていない。
生活の基盤もできていない。
そもそも生活していけるのかもわからない。
何をすればいいかもわからない。
だけど、
僕の体は、心は、魂は筋トレを求めた。
そんな時僕は出会ってしまった。
ベンチとダンベルに、この異世界で出会ってしまった。
これは運命だ。僕はそう直観した。
後悔はしていない。
たとえ所持金があと金貨10枚であろうとも。
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・・・反省はすべきだろう。
もし、異世界に来ることがなければやるはずだった筋トレをしよう。
今日は胸の日だ。
最悪、腕立て伏せだけでなんとかしようと思っていた。
しかし、僕は幸運にもベンチとダンベルを手に入れた。
期待は高まるばかりだ。
まずはダンベルプレスから始めよう。
「あ、あの・・・ご主人様」
「なんだい」
「ご主人様は何をしようとしているのでしょうか?」
「何って・・・筋トレ」
「き、きんとれ?」
そうだ、ここには僕だけじゃない。
彼女もいるんだ。
少し手伝ってもらおう。
「よし、一緒に筋トレをしよう」
もう少しで終わるはずです。
たぶん