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 外の世界はだだっ広い草原だった

 ところどころにカリフラワーのような森が見える

 周囲には寄り添うように木造の家が建っていて、小さい集落を形成していた

 俺たち親子の家はその小さい集落の端っこに建っていた

 この小さな集落のなかには、藁葺きの簡易な小屋も数件あったので、立派とは到底言えない家だったが、比較的新しく、多少は立派に見えた

 そして、その集落のそばには同じくみすぼらしい畑が申し訳程度にあった

 小麦と数種類の野菜が育てられているようだけど、集落全ての食料を補うには小さすぎる

 開拓途中の草原が畑と隣接していて、大人の男女入り混じって岩を掘り出したり、木を切り倒したりしていた

 集落を挟んで草原の反対側には、チョロチョロと小川が流れているが、今にも枯れそうな水勢だ


 さらに小川の向こうは、林になっていて奥に向かって木の密度が濃くなっている

 その向こうは山脈が連なっていて、山頂には雪がかかっていた

 山脈はコの字になって草原方面以外は陸の孤島のようだ



  草草草草草山山山山山       北

  草草森草草林森森森山        |

  森草草草畑村林森森山    西ー+ー東

  草森草草草林森森森山      |

  草草草草草森森森森山      南

  草草草草森山山山山山



 見える範囲を大雑把にいうと、こうなっている



 外に出て少し歩くと、すぐに集落の反対側の端についた

 そこには、簡素な井戸があり、炊事の準備をしているおばちゃんが数人いた

 時刻はわからないが、陽が傾いてきているから夕飯の下準備だろう

「こんにちは」

 母ちゃんが挨拶するが、なんだかよそよそしい

 畑の方へ少し歩いていくと、おばちゃんたちはコソコソと話している

「‥‥‥」

 母ちゃんは一瞬、辛そうな顔をしたがすぐに笑顔になった。そして畑を指差して

「ほら、テル。あれが小麦。パンになるのよ」

 テルとは俺のこちらでの名前だ

 本名はテルーモー・クロノで通称テル

 自分では結構気に入っている


  (いい名前だわ、なんだか親近感がわくわ)

 ちなみにギャル神の名前はフレイ

 こんな見た目だが豊穣と大地を司る女神だ


  (それにしても、ひどいわねこの畑。充分に耕してない上に石がゴロゴロ落ちてる。肥料らしきものは多少あげてるみたいだけど、ちゃんと発酵させてないから効果も薄い。下手したら野菜が病気になっちゃうわよ)

 確かに、俺から見ても作物の生育状況は悪そうだ

(こんなの食べてたら、いつまでたっても母ちゃん痩せたまんまね)


 ギャル神ことフレイの愚痴を聞きながら、畑の縁を沿って散歩

 ぐるッと一周して家に向かうと、自宅のほうから一人のおっさんがやってきた

「おー、よかった。家に行ったら誰もいなくて心配してたんだよ」

 他の住民と違い、気さくに声をかけてくる

 母ちゃんも笑顔で答える

「こんにちは、ラルフさん。この子を初めての散歩に連れて行ってたの」

「そうかいそうかい、よかったなぁ坊主」

 ゴツい手で俺の頬を突つくおっさん

 汚い手で触るんじゃねぇ

「私に何かご用でしたか?」

「ご用ってか、えーと、ホラ、森でヤマドリの卵を見つけてね。ティールさんに元気つけてもらおうと思って、持ってきたんだよ」

 そういうとラルフのおっさんは、慌ててポシェットのような腰袋から、2個の茶色い卵を出してきた

「ええっ、そんな貴重な物いただけません」

「いいからいいから、食べてくれよ。ティールさんには栄養とってもらわないと坊主が困るもんな」

 そう言って、もう一度俺の頬を突っつく

 ふ、ふん。お礼なんて言わないかんね!でも、特別に頬っぺた突つくの許してあげる!特別だからね!

(何、言っちゃてんの、ちょとキモいんだけど)

 母ちゃんは笑顔で受け取った


 ラルフさんが言うには、俺が生まれてから母ちゃんがドンドン痩せていって心配だったそうだ

 ついでにと言って、腰袋から一羽のヤマドリを半身にした肉を母ちゃんに手渡して、ソソクサと自分の小屋に戻っていった


「いつも悪いわぁ。ラルフさんって本当にいい人ねぇ」

 うん、おっさんいい人だ。

(よかったわね。これで少しはお母ちゃんに栄養とってもらえるわ)

 うんうん、母ちゃんにはいっぱい食べてもらってオッパイ沢山作ってもらわないと

(オッパイもいいけど、アンタは帰ったら才能を調べないとね。あと魔力探知も覚えないとね。いくら卵や鳥肉食べたって、アンタの吸ってる魔力量半端ないんだから、またすぐに痩せ始めるわよ)

 あれぇ。魔力感知覚えたから魔力の垂れ流しなくなって、母ちゃんの負担が減るって言ってたじゃん

(垂れ流しがなくなったけれど自然と魔力って減るのよ。生きているだけでお腹って空くじゃない、それと同じ。ガソリン車からハイブリットカーに乗り換えたみたいなもんね、燃費が良くなったの。)

 そうなんだ。探知覚えたらもうちょっと燃費よくなる?

(探知は燃費と関係ないわ。探知って他の生物とかの魔力を見つけるだけなの。探知した魔力を吸収するのはまた次の段階ね)

 じゃあさ、才能調べるのは後回しにして魔力探知を教えて。母ちゃんまた痩せていくのやだよ

(そうね、才能調べるのも結構時間かかるから先に探知を覚えちゃいましょ)


 自宅に帰り着くと俺をベットに置いて、母ちゃんは台所にいったようだ

 さっそく、鳥と卵を調理するのだろう


(では、魔力探知をさっさと覚えてしまいましょう)

 はい、おねがいします

(原理は簡単、自分の魔力で外の魔力を触れればいいのよ。)

 魔力で魔力を触る?

(そう、まずは自分の魔力を感知してみて)

 言われたとおり、自分の魔力を感知して纏う。

(スムーズに出来たわね、そうしたら纏った魔力を広げていくの)

 小さい自分の体を包むようにある魔力を膨らましていく

(うーん、それだと魔力を増やしているだけだわ、増やすんじゃなくて密度を薄くして拡散させるの)

 むむむ、むずかしい


(イメージするの、薄く広がっていく魔力を)


 うーーんと、こうかな?

 粘度の高い水のイメージだった魔力をサラサラの水のイメージにに変えていく


(いいわよ少し広がった)


 サラサラの水は


 気化して


 水蒸気に……


 その途端、魔力が膨れ上がった


 一気に部屋中に充満する俺の魔力

(え、え、すごっ!アンタの才能ってこれかもよ!こんなに早く覚えれるなんて!しかも範囲が広いわ)

 おおすごい、壁を触ってる気がする

(うんうん、それは壁に含まれてる魔力を感じてるのよ。どう?空気中も何か感じない?)

 うん、空気を触ってるみたいというか、すごくサラサラの砂?水?を触ってる感じがする

(いいわよいいわよ、それじゃあそれを取り込むのよ)

 どうやって?

(物を取り込んだり、吸い込むイメージならどんなイメージでもいいわ、多分、自分に一番あったイメージを試すとしっくりくるはずよ)


 吸い込むイメージ……掃除機……しっくりこないなぁ

 オッパイを吸うように………って、ダメだ全然しっくりこない

 いけそうな気がしたんだけどなぁ


 台風……ダメ

 鳴門の大渦………見たことないし、やっぱりダメだ

 ブラックホール……むむ、お、なんだかいけそう

 あ、ダメだ吸い込んでも俺の中に魔力が入ってくるイメージ湧かない

 全部持ってかれる

 出来たらヤバイやつだ


 なんだか、違うなぁ

 取り込む、か。

 アメーバみたいに魔力を包み込んで、取り込んでみる

 ああ、いい感じだけどなんだか気持ち悪いなぁ


 (まぁ、すぐにはできないわよ。散歩して疲れてるから今日はもう寝ましょ)

 仕方ない、探知できただけでもできたから良かったかな

  (そうそう、ちょっと異常なスピードでマスターしてるもの。少しは休みなさい)

 うん、わかった


 休憩すると決めた途端、睡魔が襲ってきた

 身体はまだまだ、赤ちゃんだ




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