13
次の日は弓の特訓
その次の日は森の探索
獲物が取れた日は解体の練習
夜は魔法の修練と魔物狩り
狩人の訓練と夜の魔法の修練で、毎日が充実。というかヘトヘトだった
そういった生活が続いたある日
「今日は弓の試験と、狩りの実践をしてもらう」
ラルフさんが急に切り出してきた
「なかなか上達してきたからな、そろそろ次の段階に移ってもいいだろう」
確かに自分でも驚くほどの速さで弓の腕前は上達している
魔力操作で誤差修正しているから、当たり前なんだけどな
正直、『土矢』射出したほうが命中も威力も上だ
しかし、魔法のことは秘密にしておかないと母ちゃんと一緒にいれなくなっちゃうし、体力つける訓練だと思って真面目にやっている
「まずは、弓の試験だな。的に10本打って全て枠内に刺さったら合格だ」
刺さったらってことは届いて当たったとしても、威力がない矢はダメってことか
小弓の射程距離の7割ほどの距離から的に向かって撃つ
魔力操作で修正しつつ、威力も補助してやる
上手く的に当たるようにするには
コツは気持ち雑にすること
そうでないと全ての矢はど真ん中に突き刺さってしまう
てきとうに散らすのだ
5本撃って的に5本、少し真ん中に寄ってるな
もうちょい外し気味に当てていく
「よし!全て枠内だな、合格だ!」
ふぅ、こんなもんだろ
後半はうまいこと枠ギリギリに当てることができた
「いや〜〜、まさか全部当てるとはな。テル、お前やっぱり才能あるぜ」
「当てなきゃ不合格だったんですよね?」
「いやいや、お前を奮い立たせようと思ってな。半分冗談だったんだがな〜。まさか本当に全部当てるとは」
先に言ってくれよ
「俺だって、全部当てろって言われても難しいな。3回に1回できたら調子いいほうかな」
「そうなんですか、外れたら不合格だって言われたから。内心かなり焦ってたんですよ。練習じゃちょくちょく外してますし」
言い訳しておかないと
「ふむ、たまたまだとしても立派だよ、テル」
いつもより強めに俺の頭を叩くラルフさん
ちょ、痛いですよ
場所を森に移し、狩りの実践だ
「なんでもいい、獲物を一匹、捕まえてこい」
「はい」
これまた、雑な試験だな
「安心していいぞ。一応、離れてみてるからな」
安心した体を装い質問する
「どのくらい離れているんですか?」
「近くにいると油断するだろうから、俺がギリギリ確認できるくらい離れる。急に魔物が出てきても、すぐに助けに入るのは難しい距離だな。最悪でも最初の一撃はかわすんだぞ」
それって安心していいのか
「時間は無制限。ただし、獲物が捕れなくても夜になるまえに帰ってくること」
「わかりました。行ってきます」
ラルフさんはうなずき、俺を見送る
森に入ってすぐに探知を発動させる
まっすぐ奥の方に普通のウサギ
西の方には大きめな蛇ぽい反応、魔力が感じられるから魔物化してるな
蛇の近くに牙猪が2頭いる
他にも何匹かの反応はあるが、大きめの昆虫だったり、リスやノネズミといった食べがいのない獲物ばかり
無難にウサギを狩ろう
蛇も猪も獲っていったら大騒ぎになってしまう
ウサギに狙いを定めて、慎重に森を進んでいく
『浮遊』をつかうと直線で行けるのだが、森の中を進むにはそうはいかない
ヤブや崖のような段差、沼地などを突破しなれければいけない
鉈を使って切り開いたり、登ったり迂回したり
途中、休憩する時のためにあの甘い竹をゲットしたり、食べれそうなキノコを収穫しておく
探知の範囲にはしっかりとラルフさんの反応がある
離れすぎないように道草くったり、休憩したりして距離を調整する
ゆっくり慎重な演技をしつつ、ウサギに近づいていく
探知の反応で気になることが一つ
蛇と牙猪のうちの一頭がかち合った
通常、蛇は猪から見たらちょっとしたご馳走だ
お互い魔物化してるとはいえ蛇が捕食されるのが当たり前なんだが、その関係が崩れたようだ
魔物化した蛇は大蛇といってもいいサイズだったし、牙猪は比較的小さかった
そのせいか蛇が牙猪に絡みつき圧死させ、丸呑みし始めた
さすがにすぐには飲み込めないようで時間がかかっている
きになったので蛇にマーカーつけておこう
そんなこんなでウサギを弓の射程範囲内に入れることができた
風下から身を隠しながら近づいて、弓をかまえる
間には木があって視界は悪いが、射線は確保しているから当たるだろう
息を吸い込み集中
弓を引き絞り
放つ!
ドッ
しっかりと胴体を貫いて矢が刺さっている
いつもならばあたまを撃ち抜くのだが、的の大きい胴体を狙って撃った
すかさず駆け寄り、未だ息のあるウサギにとどめをさす
首を鉈で裂き、手頃な木に吊るす
血抜きが終わるまで近くの草を探り、臭み消しのハーブをいくつか摘んでおく
血抜きが終わったので持ち帰る準備だと
今日は解体をしないで持ち帰るので、大きめのの葉っぱを4枚使って包む
そのあと蔦でしっかり縛ったら、腰のベルトに通して携帯する
さぁ帰るか
帰りは来た道をただ引き返すだけなんで楽だな
帰りにもう一度、蛇を確認してみたら猪を胴体まで飲み込んでいた
まだまだ飲み込み終わるまで時間かかりそうだけど、生き物ってすげーわ
村に着くと先についていたラルフさんが待っていた
「無事帰ってこれたな。お疲れさん、合格だ」
「運良くウサギを仕留められました。コレです」
ラルフさんに見せると、確認して返してきた
「こいつはお祝いにティールさんと食べるといい。村長にも許可はもらってある」
「いいんですか?他の皆さんには分けないとマズイんじゃないですか?」
「大丈夫だ。その代わり今度からたくさん獲ってきて食わせてやれ。明日からは開拓も参加してもらうからな」
「ありがとうございます。……ラルフさんも一緒にいかがです?解体も見てもらいたいし」
「お、俺も一緒にか?ティールさんが迷惑じゃなければ、お願いしたいくらいだぜ!」
急にソワソワし始めたラルフさんと一緒に、畑で作業をしているだろう母ちゃんを迎えに行く
今日はウサギ肉か
母ちゃん喜ぶな
母ちゃんの喜ぶ顔を思い浮かべながら畑への道を歩いていく




