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承前

小気味良くギアが回り、自転車が夜風を切る。


ここ1年ほどの大型プロジェクトが終了し、明日からはしばらく勤務も楽になる。


最後の数ヶ月は地獄だった。休日出勤、徹夜など勤務時間が300時間を超える勢いだった(実際一月は超えた。しかし社畜自慢だと残業時間だけで300を超えないとデカイ顔を出来無いという日本の暗部だ)。

先日盛大に打ち上げが行われ、プロジェクトチームは解散し本日より通常業務へ……となったのだ。

あんまり気乗りのしない会社の打ち上げより一人で飲むほうが好きなので、本日は好きな酒とツマミを用意して豪華に晩酌である。大好きな高級ラム酒の封を切ると思うだけで心が踊る。酒をたしなんでも消費量が週に1~2度、お猪口一杯でで十分なので封を切るのはだいぶ久しぶりなのだ。


家路の足も自然と速まり、愛車のちょっといいクロスバイクがぐんぐん進む。

神社の鳥居の脇をすり抜け境内をショートカット。南門から入って東門の先の鎮守の森を抜けてちょっと行った先のアパートが自宅なのだ。

不敬にも見えるルートだがこの辺りじゃみんなこのルートなのであんまり気にはしていない。が、鳥居をくぐらないあたりがちょっとした配慮である。


鎮守の森を抜けて左折すれば突き当りにコンビニの明かりが見えて、手前のアパートでゴールイン。


しかし、この日は違った。


鎮守の森はいつまでも終わらなかった。


急に自転車が大きく揺れる。


鎮守の森の参道は木の根が飛び出したりしているところもあるがおおむね平らで走りやすい。なのに、まるで山道のように揺れつづける。

マウンテンバイクならともかく、クロスバイクやロードバイクにはちょっと厳しい。


先に目をやれば、見えるはずの街灯の明かりが見えない。


「あれ……?」


思わず口に出た。


そして気がついた。ポケットの中のスマホが鳴っている。メールだ。


『件名:転移者の皆様へ』


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