夢と少年
夢を見た。
夢を見た、という意識あるのは
そこには亡きおばあちゃんがいたからだ。
そして、夢に出てきた私は小さかった。
おばあちゃんの横に出てくる私はいつでも小さいままだ。
「悪霊ってなぁに?」
小さい私は無邪気に問いかける。
大きい私はこの光景を
遠くから眺めているようだった。
おばあちゃんは
うーん、と小さく考えて
「厄介なものなんだよ」
と曖昧に答える。
大きい私は分からない。
小さい私も分からなかったのだろう。
続けて聞く。
「何で厄介なの?」
すると
おばあちゃんは困ったように
眉を八の字に曲げると答えた。
「この世にもあの世にも
最初から悪い人は存在しないんだ。
悪い気持ちが少しずつ積み重なっていくんだ」
「それで?」
「積み重なって爆発したとき悪霊は生まれる」
おばあちゃんは
小さい私の頭の上に手を置く。
「誰でも悪霊にはなるんだ。人間もね」
「じゃあ、おばあちゃんも咲子も悪霊になる?」
「なるよ。
咲子、悪霊になった人をどう救う?」
小さい私は考える。
大きい私も考えた。
「それが分かるようになったら
咲子は悪霊を救うことが出来るんだ」
目が覚めた。
いつの間に眠ってしまったんだろう。
布団も引かずに寝てしまったようで
畳の痕がひりひりと痛い。
眠たい瞼を頑張って持ち上げつつ
携帯を探す。
時刻は8時だった。
起き上がって伸びをして
机に散らばったレポートを見る。
なんとか完成して
そのまま力尽きたようだ。
そうだ、
蒼くんがいない。
窓を開ける。
きょろきょろと見渡すが
それらしき浮幽霊はいない。
仕方ない、
山本さんの家は私だけで行くか。