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少年と捜査経過



「なんか結構分かりやすく共通点はあるわね」



私は

部屋に備えてあるお茶をすすりながら

真正面に律義に正座している蒼くんに言う。




「共通点?」



「3人とも共通してんのが、

 親にとって子供がいなくなってほしい、ていうこと」



「あぁ、そうだね」



崩れかけの家のお母さんに関しては

今は反省しているようだし、


山本さんには話を聞いてないから

今はどうなのかは知らないけど、


3人とも当時は

子供がいなくなってほしい状況だっただろう。



「あと、もしかしたらだけど」



「うん」



「神社で神隠しに遭ったんじゃ、ないんじゃない?」



「なんで?」



「だって、神社に子供の遺品があっただけじゃん」



「誰かが別の場所で神隠しを行って

 子供が神社で神隠しに遭ったように見せかけた?」



「その可能性、あるね」



靴下とシャツ・・・山本さんは分からないが。


どうしてそんな

落としにくい「いかにも」な証拠品があるのか。


靴下なんて

靴を脱がないとあれだし


シャツに関しても

わざわざ脱がないといけない。


某有名な日本アニメで

妹は靴を落としていた。


それをお姉ちゃんが発見して

あの巨大な怪獣に頼みに行くのだ。


靴なら分かる。

脱げてしまうから。


靴下とシャツなんて

「わざわざ」脱がないといけない。



「そうだねー。

 それじゃあ、悪霊が神社にいないわけだよ」



蒼くんは

正座の恰好に飽きたのか

空中に宙ぶらりんに逆さまになった。


宇宙か、ここは。



私はなんとなく

気になることを蒼に聞いてみる。



「蒼くんはどう思ってんの?」



蒼くんは

ちょっと考えたような顔をして

私の方にふらふらと寄ってくると

顔を目と鼻の先まで近づけて言った。






「俺は綺麗だと思うよ、咲子さん」






顔が熱くなる。


私ってば

浮幽霊相手に何を・・・っ!



動揺しまくってる私相手に

蒼くんは吹き出した。



「咲子さん、よっぽど欲求不満なんだね。

 俺でよかったらいつでもどうぞ」



「・・・っ!」



くっくっ、と腹を抱えて笑う浮幽霊に実体があるなら

蹴りの2・3発は食らわせてやりたい。


何を本気に動揺したんだ、私は。



「ん、ごめん。で、何が?」



「・・・」



「拗ねないでよ、主語のない咲子さんも悪いぜ」



「悪霊のせいかどうかっつってんのよ」



「そりゃ、悪霊なんじゃないの」



「その根拠は」



「5年たっても1人も出てこないなんて

 人間の為せる技とは思えないっていうかさ」



「まぁ、確かに」



「だろ」



「でも、5年たっても

 悪霊の姿は見たことないんでしょ?」



「あー、そこなんだよね。

 今回のことで神社に限らないとは分かったけどね」



どこにいるんだアイツ、

蒼くんは友人のように呟いた。



悪霊ね。



うーん、

どうなんだろうか。



5年間で3人も。

忽然と消して見せた悪霊か。



「なんで悪霊は消したんだと思う?」



私は

投げやりに蒼くんに尋ねた。



「そりゃ、可哀想だったんじゃない?

 親から消えて欲しいって思われた子供が」



「悪霊なのに?」



「ヤンキーほど根は優しいもんなんじゃないの」



「適当だなぁ・・・」



「咲子さんだって、根は純粋じゃん」



「また、からかうつもり?」



「違うよ、だって俺の頼みだけで

 仕事サボってこんなに頑張るんだよ?」



「・・・」



蒼くんは

にこにこ笑っている。


いや、

にやにやに近い。





「仕事してなあああい!!!」





慌ててバッグの中から

白紙のレポート用紙を出す。



「蒼くん、気が散るから。

 ちょっと外行ってて」



「はあーい」



こんの性悪浮幽霊め。






















そういえば。



考えたこともなかったけど

なんで蒼くんは神隠しに関して

こんなに必死なんだろうか?


ただの興味本位や好奇心とは

違う気がするんだけどな・・・。




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