表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

少年と咲子さん


「でも、すぐに帰されると思うよ」


松田さんの家からの帰り道

私は蒼くんに言った。


「なんで?」


「山本さんの家に行ったの。

 蒼くんへお焼香もあげたわ」


「・・・」


「お母さん元気だったの。

 それに、全部過去形だった」


「過去形?」


「そう、ノイローゼだった、とか。

 毎日神社に通っていた、とか」


「それって」


「反省した山本さんの様子を見て

 松田さんは連絡を入れたんじゃないかな」


「なるほど」


「優衣ちゃんは5年間の神隠しから戻ってくる」


「うん・・・」



蒼くんは空を見上げていた。


優衣ちゃんのいるところに

思いを飛ばしているのかもしれない。


すごく安堵した顔だった。

















「お世話になりました」



こうして

私の2泊3日の旅は終わった。


浮幽霊に振り回されっぱなしだったが

蒼くんは男前だしもういいだろう。


駅のホームで

電車を待ってる間

すこし思い出に浸っていた。


すごく濃い毎日だったな。


音がなる。

電車が来たのを知らせる音だ。


よし、

とボストンバッグを肩から掛け直すと

ベンチから立ち上がった。


すると

人がいた。


ホームではなく、線路に。


馬鹿な。

もうすぐ電車が来るのに。


自殺?


電車はすぐそこまで迫っている。



「あ、危ないっ!!」



















「咲子さん、顔色悪いね」



「線路に人がいたのよ。

 引かれそうだったの」


「え、死んじゃったの?」


「死なないわよ」


「どうして?」


私を見る意地悪そうな目をした

少年に溜息交じりに言う。





「もう、死んでたのよ」





「性質の悪いイタズラだね、そりゃ」


「まぁね、重度のシスコンで

 妹のせいで悪霊に変わるような浮幽霊だからね」


「お、言うね」


「何で、着いてきたのよ?

 ていうか、憑いてきたの?」


「なんでだろうね」


「妹に会いに行くとか?」


「いや、もう優衣が無事なのは分かったからさ」


「ん?」


蒼くんが

私に一歩詰め寄る。


うっ、

もうやめてよ。


体温が上がる。


「咲子さんに婚約者が現れるまでは

 ちょっと心配だなー、て」


にこりと笑う。


誰かこの

性悪な浮幽霊を退治してくれないかしら。


「とかいって

 まんざらでもないんでしょ」


「ちょ、何も言ってな・・

 え、声に出てたの?」


「咲子さん」


「な、何よ」












「好きだよ、だから死んでくれない?」














だ、誰か・・・、

この性悪な浮幽霊を・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ