少年の考え
児童福祉課に行くと
松田さんは有給だそうだ。
個人情報が、とか渋る職員に
「命の危機が」と急かしたてた。
あながち間違いではない。
もしかしたら殺されてしまう。
住所を聞いた私は
松田さんの家まで走りながら
今回の神隠しについて振り返る。
当時、子供たちはそれぞれ
家庭環境や状況は異なっていたが
親からひどい仕打ちを受けていた。
そして、家から必要とされていなかった。
そして次に考えるべきは
「わざわざ」用意したような物。
ヘアゴムなんて切れない限り
自分でとらないと外れないものだ。
昨日の時点でも
薄々は勘づいてはいたが
もっと早くに「それだ」と思わなくてはならかった。
この神隠しは
誰かによって意図的に行われたものだ。
そして神隠しの動機は
蒼くんの言うとおり「可哀想だ」と考えたから。
家に、親に必要とされていない子供が可哀想だったから。
でも
それはどうにも出来なかった。
どの親も犯罪には当たらないものだから
どの子供も保護の対象にはならない。
保護の対象には入らない、
そう言っていたのは松田さんだ。
わざわざ神隠しを利用したのはこの点だ。
超常現象ともなれば警察は動けない、と。
いいことに
街ではちゃんと神隠しという説が根付いている。
では、
子供だ。
この小さい街で
3人もかくまってバレないわけがない。
蒼くんは考えたはずだ。
松田さんは
「可哀想な」子供を一思いに殺したのでは、と。
このまま
ずっと必要とされず明るい未来がない。
そんな
子供たちは松田さんによってどう映っただろう。
辛かったはずだ。
保護が出来ないから。
その考えが
松田さんに歪んだ発想をもたらした。
人間だって、悪霊になる。
蒼くんは
松田さんの家にいるはずだ。




