死術士魔法研究サークル(島)
ABCDEは気にせず流れで読んで。
(一応整合性は取れてるハズだけど)
死術士A「我々、死体を雑に扱いすぎじゃない?」
死術士B「いや、それが死術士ってモンだろ。」
死術士C「いみわかんねー。」
死術士D「意図はわかる。戦争が終わってから死体が減った。」
死術士E「……」(黙々と絵を描いている)
A「我々、何度も死霊術士試験落ちてるじゃん?」
C「おい、それ言うなってば。」
B「死術士ってだけですごいんだけどな。」
D「……高みに到達するにはどうすればいいと思う?」
E「……(カキカキ)」
C「あーあ、召喚士の基礎魔法が難しすぎんだよ!」
D「わかる。すっげーわかる。」
A「なので、我々は死術士魔法を極めようと思います。」
B「死霊術士は諦めるのか?」
D「……そこはしっかり最初にはっきりさせてくれ。」
A「死術士魔法を極めれば、死霊術士にも繋がるのでは?」
C「無駄じゃね?」
D「いや言わんとしてることはわかる。」
B「うーん、闇雲に勉強してもダメだったしな……」
E「……(スラスラ)」
A「……というわけで、死術士魔法研究サークルを立ち上げる!」
C「唐突だな!リーダーはお前でいいか?」
B「当然いいだしっぺがやるんだよな?」
D「面白い。やろうぜ。死術士魔法研究サークル。」
E「……(ヌリヌリ)」
D「で、具体的に何をするんだこのサークルは。」
A「……薄い本を出します。」
B「ありきたりだな!」
C「ありきたりだな!」
D「ありきたりだな!」
E「……(カキカキ)」
A「ただの薄い本じゃない……魔法研究論文です。」
B「それもありきたりじゃないか?」
C「ありきたりだな。」
D「もっとこう……なんかないか?パンチの利いた……」
E「……(ヌリヌリ)」
C「E、お前さっきから何を……うおっこの絵の子かわいい!」
D「どれどれ……幻想的だな……」
B「まるで絵本だな……」
E「……(照れている)」
A「アイデア降りてきた!絵本をつくろう!」
C「いいじゃん!」
D「魔法研究論文と絵本の融合か……」
B「理論はまかせろ!」
A「本のタイトルはどうする?」
B「思いつかねえよ……」
C「わからん。パス。」
D「論文かつ絵本……難しいな。」
E「……アンデッドとともだちになろう。」
ABCD『お前しゃべれたのか!?』
A「なるほど。死体を雑に扱わないコンセプトとも一致しますね。」
C「むしろ仲良くなるのか?」
B「いやでも死体は雑に扱ってナンボだろ……」
D「逆に死体を大事にする死術士がいたら面白くね?賛成だわ。」
E「……(小さくうなずく)」
A「収録魔法はどうする?」
B「魔力譲渡。」
C「魔力譲渡。」
D「魔力譲渡。」
E「……魔力譲渡。」
A「流石に最初のひとつめは魔力譲渡でいいですね。」
B「わかってて聞くなよ。」
D「普段しゃべらないEも答えるレベルの愚問だな。」
C「他の魔法はどうするんだ?」
B「死体爆破は無理だろうか?」
D「コンセプト違反すぎる。基礎魔法だがその本に収録は無理だ。」
B「死体強化。これを習得しなかったら死術士じゃないよな?」
D「死体を強化して……戦わせるのか?ともだちを?」
C「ともだちってどのレベルの友達だ?」
A「絵本に出るニュアンスの友達なら戦わせるのはNGでしょう。」
B「死体爆破も死体強化も無い死術士本とか価値あんのか?」
C「ないな。」
D「ない。」
A「他にどんな魔法あった?」
B「躯身分割。」
D「……ともだちを増やしてどうする?」
B「ダメか?」
C「ダメだろ。」
A「……我々は、死術士魔法を知らなすぎる。」
C「まあ授業で習っただけだしな……」
B「どうする?この訳わからんプロジェクトを進めるのか?」
D「んん?どうするんだ?」
E「……(カキカキ)」
A「いったん読書タイム。死術士のマニアックな魔法を調べまくろう。」
D「時間がかかりそうだが……」
A「では1か月後に再集合だ!」
B「はあ、課題と平行か……ダルいわ。」
C「ちょっとテンション上がってるわ。」
D「俺も。実用魔法しか知らねえからな。」
E「……(ヌリヌリ)」
――ひと月経過――
A「よし、誰一人欠けることなく集まったね!」
B「Bです。」
C「Cです。」
D「Dだ。」
E「……(カキカキ)」
A「わたしの持ってきた魔法はすごいぞー!」
BCD『お前のが一番楽しみなんだよ!』
A「まず、火葬昇華。」
C「あ、それは俺も見つけた。」
D「同じく。」
B「俺はそれないわ。」
A「ええと、死者を正しく送る魔法とあります。」
D「アンデッドを人間として扱うなら、当然の魔法だな。」
C「むしろなんでこれが教科書にのってねえんだ?」
B「必要ないからだろ。」
A「次に……言語付与を見つけたよ。」
BCD『うわーいい魔法だなー!!!』
C「確かに友達とは会話しないとな!?」
D「確かに。死霊の声ってあれ言語が違うだけなんだ。」
B「オオオオン、オオオオンってあれ別の言語で喋ってんだ!」
C「盲点だったー!」
D「あれ、なんか喋ってたんだな!」
E「……(涙を一粒こぼす)」
A「わたしの見つけた魔法は以上だー!」
C「言語付与は凄くね?」
D「言語付与強すぎだろ。」
B「悔しいが言語付与はMVPだな……次は俺か。」
ACD『はよ!はよ!』
B「まあ課題と並行してやったから……肉体修復の魔法だけだ。」
CD『だいぶ手抜いたな!?』
B「すまん。俺の調査能力ではこれが限界だ。反省している。」
C「いや、お前は乗り気じゃなかったし。」
D「探してくれたってだけで尊い。」
B「ええとアンデッドの肉体を修復する。それだけ。」
D「まあ友達がケガしてたら、治すよな。」
C「ダチとして当然だろ。」
B「で、CもDもこれは見つけたと。」
C「ああ。」
D「見つけた。」
B「あっぶね、成果なしになるとこだったわ。二番目で良かった。」
C「じゃあ俺の番だなー!」
ABD『ぶちかませー!』
C「火葬昇華、肉体修復だけだ。」
ABD『ああー!!!!』
C「成果なしだったわ、めんごめんご。」
D「いや火葬昇華は見つけるの大変だったろ?」
C「大変だったわ!」
A「……火葬昇華を見つけてくれただけで私はもう充分なのです。」
E「……(腕を組み大きくうなずく)」
D「じゃあ俺の番だ!火葬昇華、肉体修復!以上!」
ABC『ああー!!!!』
B「なんか……ごめんな、二人とも。」
C「そもそも別々に調べさせたAが悪い。」
A「私は深く反省してます。」
D「収録魔法は魔力譲渡、言語付与、肉体修復、火葬昇華か……」
B「まあそれで問題なさそうだが……」
C「どうせなら5つにしたいよな……」
A「5つにしたい!4つはなんかイヤだ!」
C「……待て!Eの発表がまだだ!」
ABD『…………!』
E「……(メモ紙を見せる)」
D「空腹促進。」
B「空腹促進。」
C「空腹促進。」
A「空腹促進。」
C「空腹促進って……何をする魔法なんだ……?」
D「わからん……空腹ってバッドステータスじゃね……?」
A「ちょっと理解がおっつかない。」
B「……友達に使う魔法か?これ……?」
E「……(メモ紙の続きをAに見せる)」
A「ええと、一緒にご飯を食べる魔法。だそうです。」
BCD『うわーーーーーー!!!!!』
E「……(ピースサイン)」
C「そうか!アンデッドって食欲ないから!」
D「空腹促進でおなかを減らして!」
B「その後一緒にご飯を食べる!」
BCD『天才かよ!?』
A「えー、エモいです。最高にエモいですね。」
B「流れとしては、まず魔力譲渡で死体をアンデッド化。」
C「その後言語付与で友達になる。」
D「怪我とかがあれば肉体修復で治してあげる。」
A「で空腹促進で一緒にご飯を食べたところで……」
ABCD『火葬昇華で正しく送る!』
A「ダメ……尊い……死ぬ……」
C「ダメだ……これはヤバすぎる……」
D「涙が……とまらねえ……」
B「みんなに一言いいたい……ありがとう……」
E「……(ヌリヌリ)」
A「では皆さん。収録魔法はこの5つでいいですか?」
BCD『異議なし!』
A「じゃあこれらの魔法の理論体系を絵本レベルに落とし込みます。」
B「いやー、それが一番の難所だわ。」
C「幼児にも説明できる魔法理論……」
D「無理じゃね?」
E「……(やるしかない。と書かれたメモ書きを全員に見せる)」
ABCD『うおおおおおやるぞおおおおおお!!!!!!』
デンデンデドドドン
デンデンデドドドン
デンデンデドドドン
デンデンデドドドン
――プロジェクト……B……!――
その作業は過酷を極めた
限られた語彙
限られた人員
魔法体系を絵本レベルに落とし込む……
幾度かの挫折
数回目の発狂
しかし彼らは諦めなかった……
アンデッドとともだちになる死術士……
その理想を立ち上げるために……
――五年の歳月を経て――
A「やりました!完成です!」
BCD「(瀕死)」
E「……(カキカキ)」
A「いやー、アカデミー卒業後も協力してくれてありがとう!」
C「いや、楽しかったよ。」
D「危うく死体になるところだったな。」
B「そしたらアンデッドにしてやるよ。」
A「挿絵を担当してくれたEにも感謝!」
ABCD『(盛大な拍手)』
E「……(照れてる)」
C「じゃあ次のマジックマーケットで頒布するん?」
A「そうですね、次のマジケで。」
D「ついにか……!」
B「涙出てきた……」
A「問題はですね……何部刷る?」
B「10部。」
C「30部。」
D「50部。」
E「……(首を横に振る)」
B「いやそんな売れないだろ。10部でいい。」
C「30部は行けるってー。」
D「マジケは初参加だが50部売れるポテンシャルはある。」
B「いやこの本、戦術的価値ねえからな!?そこわかってる!?」
C「わかったうえで30部って言ってんだよ!」
D「わかったうえで50部と言っている。」
C「流石に50はやりすぎだろ!?」
D「いーや最低で50だね。最低で50。」
A「意見が分かれましたね……じゃあこうしましょう。」
B「名案でもあるん?」
A「我々のおこづかいを全部合わせて、何部刷るか決めましょう。」
C「予算で決めるのか。妥当だな。」
D「異議なし。」
B「まあここまできたら。」
E「……(お財布を出す)」
――マジックマーケット本番――
A「結局50部刷りました。」
C「まあそんなもんか。」
B「いやー売れないだろー。」
D「50部は最低保証だろ……」
B「あれ?Eは来てない?」
A「Eは人混みが苦手なので不参加です。」
C「あー、そっちの問題があったか。」
A「では!時間!開始!」
……
………………
B「さ、最初の一時間で完売……だと……?」
D「ほーら言っただろ?50部は最低保証なんだって。」
C「まあ、作るの超大変だったからな……」
A「我々の努力が報われましたね!」
C「死霊術士試験は?俺は落ちた。」
D「落ちた。」
B「落ちた。」
A「落ちました。Eも落ちたみたいです。」
ABCD『当然だよね……』
今回も、マジックマーケットはつつがなく終わった
彼らの絵本は、黒魔法使いの間でジョークとして語られることとなる
今連載中の作品の外伝的な物語になります。
ちょっとお蔵入りがもったいないと判断したので短編として投稿します。
黒魔法だいすき
余談:死術士Aと死術士Eは女性です




