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新時代の最強英雄 ~支配されていた監禁令嬢、伝説の魔法〈秘奥義〉で無双する~  作者: 雪柳 澄
1章 監禁魔法からの脱走。

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第40話 第一王子

「お嬢様は17歳だから、……これで成長途中?」


「「「ふむーっ…………」」」


 侍女たちは顎に手を当てながら、レクセイナが大人になった時のことを想像する。


 今の状態でも、充分。言葉に出来ないほど素晴らしいのだ。


 胸のサイズに合ったドレスやコルセットを着れば、もっと綺麗な谷間ができる。触れれば手が吸いつきそうな胸が、宝石よりも美しく輝いて、誰もが視線を離せなくなるだろう。


 そんな豊満な胸を持ちながら、ウエストは女性のしなやかさを体現するかのように、細いなんて、もう文句の付け所がない。


 超一品の最高級ドレスが、逆にレクセイナの美貌が輝く足を引っ張らないかどうかの方が心配なぐらいだ。


 部屋にいる中で、一番位の高い侍女が全員を代表して言った。


「少なくとも、春のドレスは全て新調した方が良さそうですね」


「また大変になりますねぇ……」


 レリアの侍女としての立場は、そこまで特別に強くない。それでも侍女の中でレクセイナの性格を最も熟知しているのはレリアであり、苦笑を漏らした風を装いながらも、嬉しそうに頷いた。


「ねえ、レリアっ……。ドレスは一着さえあれば、もう要らない。着ていくところなんて、無いじゃん!」


 また沢山のドレスを着させられる予感がして、慌てて侍女たちの会話に乱入する。


 だが、美貌を持て余そうとしているレクセイナの抗議は、誰にも最後まで聞き入れてもらえなかった。




 ***




 新しく新調するドレスの方向性を定めるために、結局レクセイナは中々ドレスを脱がして貰えなかった。


 解放されたのは、レクセイナと違ってドレスに闘志を燃やす侍女たちが全員満足した結論を出した後。だいぶ時間が経ってからのことだった。


「ふぁぁ……」


 やっと一人になって、部屋が静かになった。


 座り心地のいいソファーで、思わず脱力しながら寝転ぶ。


 普段着ている薄ピンクのワンピース風ドレスに、着替え直した。解放的で豪華すぎない服。もう、これだけでいい。ドレスなんて知らないっ。


 秘密裏に冒険者として外出する際に使う服装の方が、ずっと好きだ。ソファーに寝転びながら、ベットの床下に視線を向ける。


 床下に隠している冒険者セットに思いを馳せつつ、レクセイナは一人呟いた。


「オルデンたちは、どうしているかなぁ……?」



 ――――アレノダス城外。その一角。


 建物は貸し切られている。

 他の誰も居ない部屋の中で、まともな灯りもつけずにオルデンとベルは座っていた。


 年季が入って表面が痛んでいるテーブルを挟んで、今日の冒険者活動が終わった二人は静かに会話をしていた。


「オルデン。やっぱり勘は的中しましたね」


「……そうだな。というか、どう考えてもおかしいだろ? あの魔法」


「その通りです」


 オルデンとベルが、街を歩いていた初心者丸出しのレクセイナと冒険者活動するようになってから、早数ヶ月。


 最初は単なる親切心と、自分の信念に従っただけで、特段と彼女が特別だとはオルデンも考えていなかった。


 ……いや、どう考えてもお忍びなのは直ぐに分かった。


 金銭感覚が無さ過ぎる。皆無過ぎた。


 普通の庶民は、たった1本で1年は余裕で暮らしていけるような金額の、最高級ポーションなんて、効果も分からないまま気軽に買わない。


 どこぞの商人の娘か、高ランク冒険者の娘か、それともあるいは貴族の娘だろうか?


 いや。貴族の娘という線は無いと考えている。


 実際に冒険者依頼は受けたことが無かったのに、高威力の魔法を難なくと行使できてしまう技量。


 高ランク冒険者の親バカに、鍛錬だけは仕込まれていながらも、実践には「まだ速い!」と言われて、経験させてもらえなかったタイプだろう。時々、そういった奴はいる。


 それでも、あの魔法。


 レクセイナが魔物のボスにトドメを刺すために演唱したという魔法は、ハッキリ言って異常だった。


 立場の都合上、オルデンとベルは本気で戦うことはできない。


 なので、レクセイナには村人たちを守ると言い訳をして、本格的に激しそうな村の防衛戦には参加しなかったのだが。


 戦いの終盤。村の中心部から、本気を出しているフリをしながら村人を守っている時に、見えた魔法は、表情を取り繕うのを一瞬忘れたくらいだ。


 見かけ上は、ただの上級魔法に見える竜巻の魔法。


 だが、魔法団長が善意で見せてくれた上級魔法の中に、あの魔法と同じ効果を発生させる魔法はなかった。


 そして、余波でこちらまで流れてきた風によって感じた謎の魔力。


 人類が使える5つの属性、火・水・木・光・闇の中で、どの属性にも属していない魔力だった。


 ベルがオルデンの様子を窺うように、尋ねる。


「本格的に、目をつけるつもりですか?」


「ああ」


 まだ誰にも知られていない未知の属性か。それとも、彼女は人間ではないのか。それは今はまだ分からない。


 それでも数日経って、専門の魔法学者による確認がとれた以上、放置しておくことは出来なかった。


「この国の王は、第一王子アノブールが一体何を企んでいるのか知っていると思うか?」


「どうでしょう? まあまあ優秀な王であるはずですが」


 オルデンが頭の中を整理するかのように呟く言葉に、ベルは静かに回答する。昔からオルデンは集中すると、そういった会話を始める性質があった。


「第一王子の方が、今の国王よりも一枚上手だ。……国王は多分、気がついていたならアノブールをすでに止めている」


 それからオルデンは少し考えるように、間を置いた。


「ベル。レクセイナの正体を突き止めろ。アノブールに彼女が取り込まれる前に、こちらの陣営に引きずり入れる」


 灯りの少ない部屋の中、感情の温度を感じさせない淡々とした声音で続けて言う。


「これは、私の命令である」


 空気が糸のように張りつめた。


 向かい側の椅子から音もなく立ち上がったベルは、引き締めた表情でオルデンの脇まで移動すると、床に膝をつく。


 命令に、従者は粛々と頭を下げた。


「承知いたしました」



 全ての感情を忘れてしまったかのようにドス黒く冷たい瞳が、頭を下げているベルを見ていた。


「――――セレ王国、第一王子フィオルデン様」

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