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新時代の最強英雄 ~支配されていた監禁令嬢、伝説の魔法〈秘奥義〉で無双する~  作者: 雪柳 澄
1章 監禁魔法からの脱走。

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第18話 久しぶりの外出

「やったぁぁぁあああああっ!!!!」


 久しぶりの自由な世界。


 自分の好きなように行動できる最高の時間の訪れに、レクセイナは大通りのド真ん中で大声で叫んだ。


 一気に、周囲の通行人の視線を集める。


 あっ。ついつい自由が嬉しすぎて声に出してしまった。

 だが、目立つ予定はなかったのだ。


 マントのフードを深く被り直して、私は人混みに紛れるようにその場を後にする。



 とうとう待ちわびた、冒険者としての外世界。


 今日はオルデンたちと、冒険者依頼を受ける約束をしていた。


 オルデンたちが使えるらしい高速で移動する魔法があれば、私1人では行くことが出来ない他の都市への依頼や、街から外れた場所での依頼に行くことができる。


 お父様とお母様が出掛けている日に、オルデンたちと冒険に行けるよう、侍女のレリアに事情を話してオルデンたちには事前に伝えていた。


 待ち合わせ場所は、前回オルデンたちと最後に別れた噴水広場だった。


「あっ、牛串っ!」


 歩いている途中で、前に教えてもらった牛串の屋台を見つける。今日も沢山お客さんがならんでいた。


「牛串、4つ下さい!」


 マジックバックの中から、あまり持っていない銀貨を取り出して払う。持っている硬貨は大半が金貨なのだ。逆に価値の低い銀貨や、銅貨の方がマジックバックにはない。


「おお、お嬢ちゃん。4つも持てるかな?」


「大丈夫ですっ! ありがとう御座いますっ!!」


 前回食べた時は2本食べたのだが、全っっっ然足りなかったのだ。


 注文が入ってから再度焼き直される、私の牛串。


 たっぷりとニンニクの香りが漂う熱々の牛車を器用に4本受け取ったレクセイナは、歩きながら口いっぱいに頬張る。


 国王様が準備してくれるスコーンよりも美味しい、と思ったのは秘密だ。たぶん、スコーンは美味しいのだけど、味に飽きているだけだと思う……。たぶん。


 滅茶苦茶美味しい牛串は、あっという間にレクセイナの胃袋の中へ消えた。




 ***




「オルデン~! ベル~~!」


 噴水の縁に腰掛けている2人の姿を見つける。


 手を振りながら通りを小走りでやってくるレクセイナに、すかさずオルデンが爽やかな笑顔で声を返す。


「おー! レクセイナ久しぶりだな!!」


「久しぶり、オルデンっ。あとベルも!」


「こんにちは。レクセイナ」


 合流したレクセイナに、ベルもニコリと返してくる。2人とも、今日も冒険者姿をしていた。剣を腰に差して、ベルは小さな鞄を持っている。


 だが今日、剣を差しているのは2人だけではない。


「じゃーんっ! どう?! 今日は買った冒険者のセットをつけて来ましたっ!」


 マントのフードを取ったレクセイナは、剣を腰に差した姿を見せるように、グルッと2人の前で一周回ってみる。


 上質な紺色マントの袖がフワリと広がって、レクセイナの長くて美しい黒髪と一緒に風にたなびく。


 一周回ったレクセイナは、腰に差してあったロングソードを楽しそうに抜いた。


「シャキーン!」


 快晴の青空に、太陽光に輝く剣先を向けてレクセイナが自分自身で効果音をつけた。


 超・ノリノリである。


「……ふっ。似合ってるぞ、レクセイナ」


 明らかにはしゃいでいる様子に、ベルが生温かい表情を送り、オルデンが苦笑交じりに伝えてくる。


「まあ、街中では武器をしまっておけ。森に着いたら、幾らでも剣を使う機会はある」


「はいっ!」


「事前に連絡していた通り、依頼はギルドで俺たちで取ってきたぞ。F級ランクのゴブリン討伐だ」


 オルデンが懐から取り出した紙を、ペラペラと振ってレクセイナに見せる。


「場所はニートヘイの森。ここから、少し離れた場所まで移動するぞ!」




 ***




 街の外に出ると、そこには城壁に囲まれていない一面の草原地帯が広がっていた。


 サァーッと、草木を揺らしながら風がレクセイナの横を通り過ぎていく。向こうの方には、緑に囲まれた山々が見えた。


「じゃあ、魔法を掛けるぞ!」


 オルデンの号令に、ベルの隣に立っていたレクセイナは頷く。


 ドキドキと高鳴る胸を抑え、高速で移動する魔法をかけてもらうのを待っているレクセイナに、オルデンがニヤッと笑って付け加えた。


「驚かないようにな。【木魔法・ソーーファンリ】!」


 緑色の光が、みんなの体から放たれた気がした。


 だけど、なんの変化も感じない。


「……?」


 頭を傾げていると、肩掛けの鞄を背負い直したベルがレクセイナを見た。


「レクセイナ、貴女が一番最初を走って下さい」


「ニートヘイの森は、あっちの方面だな。グッと力を入れて地面を蹴るように走ってみろ」


 オルデンが指差す先の遙か向こう側には、目を凝らすしてみると、地平線の辺りに森らしきものが広がっているのが見えた。


 運動には自信ないが、思いっ切り足に力を入れて走り出してみる。


 一歩蹴り出したと思ったら、たったの1歩で思いっ切り前に進んでいた。


「わっ??!」


「驚いただろー?」


「最初はオルデンも驚いていたのを、私は知ってますよ」


 レクセイナの隣に直ぐさま2人が、走って追いついてくる。


「このまま行きましょう!」


 いつもは堅い声のベルも、心なしか伸び伸びとしているような気がした。


「気持ちいい~っ!」


 マントをはためかせながら、草原を撫でるように吹いていく軽やかな風の中を気持ちよく突っ切って進む。


 一歩進むたびに、視界の景色が流れていく。


 窮屈な生活をしていて縮まってしまっていた様な肺の中に、新鮮な自由の空気が胸一杯に入ってくる。




 ***




 途中で追いかけっこをしたりしながら、解放感に身を任せて草原地帯を走ること、約30分。


「着いたぞ。ここがゴブリン討伐の森だ」


 レクセイナたち3人は、ニートヘイの森に到着した――――。

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