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ANOTHER RAIN(アナザレイン) - テレビコメンテーター失踪事件 -  作者: 志村けんじ


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2/8

失踪事件の裏側①

 東京都内・某出版社・週刊weekly JAPAN編集部


「ちょっと、どーしたんですか、宮下さん!? そんなに興奮して!?」


 ちょうどこのテレビ番組を編集部内のテレビで見ていた宮下結子は、非常に憤っていた。


「大体、なんにもわかってないのよ、この人たちは!?」


「だから、さっきからなんのことを言ってるんですか宮下さん!?」


「あのね。あのコメンテーターの二人が言っていることも、わからなくはないよー。でもね、それは違うんじゃないかって思うの」


「だからなんのことなんですか」


「いい? 小林君。そもそも失踪したにしろ、何者かに誘拐されたにしろ。足取りが全然掴めないってことは、いずれにしろ誰か手引きした人間がいたってことでしょ」


「まぁ、そうでしょうね。でもそれはもう警察が捜査してるんじゃないですか?」


「でもね。ただの失踪と誘拐じゃ、捜査方法は全然違うの」


「失踪だったら、単なる行方不明者の捜索で終わる可能性もあるし、二人はどちらもスマートフォンが失踪場所に置いたままだったから、GPSでの追跡は不可能」


「いくら名前も顔も知れた有名人で、一人は元政治家とはいえどこまでの捜査人員を割いてくれるかどうかわからない」


「もし、これが誘拐事件だったとしても、その為の証拠がなければなにも始まらない」


「なるほど、ですね」


「現状でいえば、これだと誘拐捜査の可能性は低いってことよ」



  磯部誠・失踪時


 磯部誠は失踪日の夜に、ホテルの部屋で逢瀬の行為を楽しんだあと、その彼女の方から誘われて、外に食事に出かけた。


 ホテルを出る際には、少し変装してぱっと見は磯部誠とはわからないようにした。


 食事をしたレストランでも、彼女がごく普通の落ち着いた服装をしていて、ふたりの関係を匂わせるような素振りも一切していなかったので、ふたりの関係が誰かに疑われるようなこともなかった。


 普通に食事して、彼女をタクシーに乗せて返したあと、傘をさして歩いていると、まだ二十代前半ぐらいの眼鏡をかけた男に声を掛けられた。


「あの、すみません。ちょっと道を教えてほしいんですけど」


「えっ? そんなのスマホで調べたら一発でしょ」


「すみません。そのスマホの充電も切れちゃって。何分にも今日東京に来たばっかりで、お願いします」


「しょうがないなぁ、どこ行きたいの?」


 そう言うと、背後から、中国語で「不许动(動くな)!」と言われた。


 言葉の意味はわからなかったが、背中に当たる銃口の感触で、これが何なのかすべてわかった。


「安心してください、磯部さん。あなたに危害を加えるつもりはありません。この車に乗ってください」

 と、横に停まった黒色のワンボックスのバンの後部座席に乗せられた。


 そのバンの中で、目隠しをされて後ろ手に手錠をされて、最後に耳栓としてイヤーカフをさせられて、最後にボディーチェックをされて持っていたスマートフォンを取り上げられた。



 そこからどれぐらいの長い時間が経っただろうか、車は目的地に着いたのか停車してエンジンが切られ、後部座席のスライドドアが開いて車から降ろされた。


 この何時間の間、彼ら……おそらく3人と何かを話すことはなかった。


 その間にイヤーカフの外からも、彼らが会話していた様子はなかった。


给我走(歩け)!」

 また中国語で、何かを命令された。


「大丈夫です、磯部さん。あなたに危害を加えるつもりはありませんから」

 最初に声を掛けてきた男が、優しくそう言った。


 後ろから2人の男の手が、磯部の体を押す。


 磯部が拉致されてからここまで何も騒がなかったのは、単純に「騒いだら殺される」と思ったからだ。


 そうされる心当たりが無いわけでもない。


 建物の中に入って椅子に座らされ、イヤーカフ、目隠し、拘束されていた手錠が外された。


 ここに連れてこられるまでずっと目隠しをされていた為、目隠しを外されて最初は照明の眩しさに目を奪われた目の前には、色の濃いサングラスで目を隠して、顔全体をマスクで覆った男が囲うように3人が立っている。


 部屋の中は8畳ほどの広さでエアコンも付いている。窓はすべて外側から板で塞がれていて、壁もドアも全部が白い。

 

 部屋の真ん中に置かれた白いテーブルとその組の白い椅子に座らされていた。


 その前にはテレビとラジオあるが、台はなくただ置かれている。他にわかることは部屋のドアは2つ。それだけだ。


「あなたにはしばらくの間、ここで生活していただきます」

 先ほどまでの生の肉声とは違って、今度はボイスチェンジャーで声色が変えられている。


「あのドアの先は、トイレと洗面所です。残念ながらお風呂はありませんが、お湯は出るので、用意してあるタオルで体を拭いてください」


「あと、間違っても、ここから逃げようだなんて思わないでください。そんなことをされると、それに対処せざるを得ません。時が来たら、無事に解放いたします」

 そう言われた。


「あの……一つだけ質問いいでしょうか?」

 恐るおそる聞いた。


「なんですか?」


「あなたたちの目的はなんですか?」


「それは……その時が来たらわかります」



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