第7話 『厄介な龍』
私はギルドに戻り、討伐対象だったドラゴンを従えたことを報告した。
「なるほど……。討伐ではなく、城から退かせた、という扱いになりますね。その場合、報酬は本来より減額されますが……こちら、1000マーラになります」
私は報酬を受け取り、ギルドの外へ出た。
討伐なら1万マーラだったけど……1000マーラでも、1か月は十分暮らせる。
ま、いっか。
ギルド前には、戦闘で気絶したまま目を覚まさないルークと、契約した龍アクリスを待たせていた。
当然、通りすがりの人たちから好奇の視線を浴びまくっている。
そのとき、アクリスが静かに問いかけてきた。
「あおい。行かぬのか?おぬしの探す者たちを見つける旅は……?」
「それはまだ早いのよ……。私自身まだまだだし、こんな足手まといもいるし……」
私は気絶したルークを冷たい目で見つめながらそう言った。
「そうか……だが、善は急げとも言う。心に留めておくがよい」
アクリスの言葉を背中で聞き流しながら、私はルークを引きずって、いつもの宿へ戻った。
宿に入った瞬間、女将さんの視線が私たちに突き刺さる。
「ここは、ペット禁止だよ!!こんなドラゴンなんかペットにしちゃって!」
私がどう返答しようかと迷っていると、
「我はペットではない。このものと契約を結んだ龍である、アクリスである」
アクリスが大家さんに鋭い視線を向けた。
すると、アクリスの視線を受けた大家さんは恐怖で顔色を失い、その場に腰を抜かして倒れ、大声で叫んだ。
「ひぃぃ!!この人達に脅されたぁ…」
「えっアクリス。やめて!!」
止める私の声も虚しく、アクリスは低く唸る。
「我の契約者の邪魔をするなど許さぬ…」
怒って言った。
私は何度もアクリスにやめてといったが一向に聞こうとしない。
もうやめてよ...…。
すると、大声を聞きつけた騎士団が宿になだれ込んできた。
「大丈夫ですかぁ!?ド、ドラゴンだ!!至急、増援を呼べ!!」
その騎士の一声で多くの兵が私たちの周りを完全に包囲してきた。
「おい。観念しろ!お前らは、完全に囲まれているぞ!!」
「ど、どうしよ…。アクリス…」
気絶したままのルークを見て、血の気が引く。
そのとき、アクリスが静かに言った。
「ここやむを得えん。逃げるぞ。我に捕まれ」
「えっ?ここからどうやって逃げるの?」
私は気絶したルークをアクリスの体に縛り付け、アクリスに掴まった。
アクリスは私の問いかけを無視して巨大な水をまといはじめた。
「聖なる流れよ、我が呼び声に応えよ。その雫、雲の隙間を越えて在るべき場所へ『聖水移動』」
その瞬間私たちの周りに大量の水をまとった。
「行くぞ」
その瞬間、私たちは宿の屋根を突き破り空高く飛んで行った。
眩い水の膜に包まれ、体がフワリと浮くような感覚と共に、周囲の景色が高速で流れていく。
風を切る音も、兵士たちの叫び声も、一瞬で遠ざかった。
「一体、どこへ行くのよ、アクリス!」
私はアクリスの鱗にしっかりとしがみつきながら叫んだ。
アクリスは私を背に乗せたまま、雲よりも高い空を一直線に飛んでいく。
やがて、アクリスは地上にある深い森を目指して急降下していった。
ドゴォォン!
激しい音を立てて、私たちは巨大な木の根元に着地した。
テレポートの衝撃で、アクリスの背中に縛り付けていたルークは、ますますぐったりとしている。
「はぁ。はぁ。どういうつもりなの!?アクリス!」
私はアクリスに怒鳴った。
するとアクリスもすこししょんぼりした様子で話した。
「すまぬ……。人間の感情は我にはよく分からぬのだ……」
「……ここはどこなの?」
「ここの森は深く、街からは離れておるから、そう簡単には見つからんだろう。ひとまずここにいよう」
はぁ。やっぱり契約なんてするんじゃなかった。
私って本当に仲間運ないな…。
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