第54話 あれ・・・文化祭ってこんな感じなんだ
午前のシフトが終わった俺は、瀬戸川さんと一緒に回っていた。
なぜこうなったかというと・・・・
<1時間前>
「午前のシフトのみんなはこれから自由時間だからね」
「飯を買って食べるのもよし。体育館のイベントに行くのもよしだよ」
「何人かは・・・服を着替えずにそのまま行動してね」
「それがクラスの宣伝になるから」
「瀬戸川さんは絶対だよ」
「私は着替えたいのだけど・・・」
「瀬戸川さんがいるだけで人が来ていたからね」
「ナンパがなかったのはラッキーだったけど」
それはそうだな。ナンパがあったら、俺が行かないといけないからな。
「実際、このまま瀬戸川ちゃんを行かせたら・・・ナンパに会うんじゃない?」
「そこは・・・香田君の出番だよ」
「俺なんだ」
「香田君が一緒なら問題ないし、瀬戸川さんも香田君と一緒なら安心でしょ」
<現在>
という感じで、俺と瀬戸川さんは一緒に行動することになった。
簡単な話・・・ボディーガードだな。
「・・・瀬戸川さんは何か食べる?」
「そうね・・・焼きそばを食べたいわね」
「1年でやっているところは・・・・ここだな」
と瀬戸川さんは焼きそばを、俺はその隣のクラスでたこ焼きを買った。
「本当にごめんなさいね。私と一緒は楽しくないでしょ」
「別にそんなこと思っていないさ」
「そう・・・それならいいけど」
「しかし・・・高校の文化祭は中学と全然違うな」
「そうね・・・それにしても、ナンパが来なかったのはラッキーだと思ったわ」
「実際声をかけようとしていた輩はいたんだけどな」
「そうなの?」
「そう。けど・・・あまりにも繁盛しちゃったからかけずらそうにしてそのまま撤退していたな」
「忙しかったのがプラスに働いたのね」
「そうだと思う」
実際、瀬戸川さんや接客していた女子に声をかけようとしていた男子はいたんだが、
こっちがあまりにも忙しくてスルーしていたのを見ていたんだよね。
とぼとぼ帰っていった男子の背中には哀愁が漂っていたな。
「しかし・・・このクラスの出し物は」
「すごいな・・・休憩室って」
そう。今俺と瀬戸川さんがいるところはあるクラスの出し物で、
その名は「休憩室」とのこと。
このクラスの人に話を聞くと、
「ほかのクラスがいろいろ出し物しているから、うちぐらいはこんな感じでいいと思ってね」
「意外と繁盛しているんだよな・・・休憩室」
「ちなみに・・・お金は取らないから安心してね」
「けど、入室して40分以上は無理だからね」
とのこと。この発想は驚いたな。
「まさかの発想ね・・・モグ」
「俺もこの発想はすごいと思ったな・・・パク」
と飯を食べながら話していた。
「休憩室の発想はないな」
「思い出的にはどうかと思う」
「その分、楽しめるって思えばね」
「ある意味人任せって感じがするわ」
それは・・言わないのが吉だと思うけどな。
「これからどうする?」
「そうね・・・」
「体育館は・・・人が多そうなんだよな」
「絶対人に酔うわね」
なんか・・・文化祭でこんな会話をしているとは。
本当に文化祭なのかなって思っちゃうな。
今のところ・・・バイトしていた感じに近いな。
「私たち・・・文化祭なのに盛り下がる会話しかしてないわね」
「やっぱり?」
「一度体育館を覗くのもアリな気がするわ」
休憩室で休んだ俺と瀬戸川さんは体育館に向かうことにした。
その道中で。
「タツ。瀬戸川さん」
「マサ」
「宣伝ご苦労様」
「ありがとな」
宣伝しているマサに遭遇した。
宣伝は一番楽しくないと思っていたが・・・コイツ・・・めっちゃ楽しんでいるな。
それは瀬戸川さんも感じたらしい。
「佐島君は結構楽しんでいる感じね」
「そうか?」
「ポップコーンがポッケから見えているんだが?」
しかも、右手に宣伝の看板を。左手にから揚げを持っている。
俺と瀬戸川さんは忙しかったていうのに。
「本当にうらやましいわね」
「そうだな」
「あれ・・・2人とも顔が怖いぞ」
「私はずっと立ちっぱなしだったのに」
「俺はずっとクレープづくりで休憩なしだったんだぞ」
「・・・なんかスマン」
マサに八つ当たりをした俺と瀬戸川さんだったが、
そのマサから、
「体育館に行くなら・・・やめといたほうがいいと思うぞタツは」
「またどうして?」
「お前のお兄さんがバンドパフォーマンスをやっているからな」
「・・・あの人、何でもできるのね」
「練習して1週間ぐらいでピアノを熟練者並みにひける人だからな」
「・・・お前のお兄さんはバグなのか」
「それは俺も否定できないな」
「私の姉みたいな人なのね」
俺にとっては兄貴。瀬戸川さんにとっては姉。
どちらもでかい壁なんだよな。
乗り越えることもできる気がしない。
だから・・・あきらめることにしたほどだからな




