第42話 練習は嫉妬の視線とともに
そんなこんなで体育祭に向けての準備が始まった。
ちなみに・・・俺は青団ね。
兄貴は・・・赤団、本当によかったわぁ・・っと思ったんだがな。
「恭平の弟か・・・期待しているぞ」
「頑張ろうね!!弟君!!」
という言葉にどんどんテンションが下がる俺であった。
悪気がないのが本当に腹立つよね。
「・・・テンション低いなお前は」
「仕方ないだろ」
「本当に暗いわね」
「大丈夫?」
「委員長だけが俺のオアシスだよ」
「えぇ・・・」
「オアシスがドン引きしているぞ」
「・・・それぐらい参っているんだよ」
本当に心にくるものがある。
どうして・・・人は俺を恭平の弟としか見てくれないのだろうか?
「・・・重症すぎるな」
「・・・お兄さんと比べ続けるとここまで参るんだね」
「・・・気持ちはわかるわ。私も姉と比べられていたことがあるから」
「瀬戸川さんにもそんなときがあったんだね」
「・・・そうね」
凄い苦虫をかみしめた表情をしているな。
そんなに姉と比べられるのが嫌なんだな・・・って俺も一緒だから何も言えないな。
「・・・そろそろ練習するわよ」
「・・・そうでした」
ということで俺と瀬戸川さんは二人三脚の練習のため体操服に着替えてから、
グラウンドに出た。ほかに出場するメンバーも集まったみたいだな。
「結び方は分かっているの?」
「・・・なんとなくだけどね」
先輩が教えてくれた結び方をして、実際に走ってみることに。
「うわ!?」
「きゃぁ!?・・・合わせてよ!!」
「そっちが合わせろよ!!」
と他の同級生がうまくいかずこけたりして、喧嘩したりもしている中で、
俺と瀬戸川さんペアはというと・・・
「「はい・はい・はい・はい」」
「あれ・・・ヤバくね?」
「なんで・・・あんなに息ぴったりなの?」
と他の人たちから驚かれるほど俺たちはスムーズだった。
見ていた先輩たちも。
「・・・あの子たちヤバいな」
「・・・最初の練習であそこまで息ぴったりなのかよ」
「・・・彼らなら1位は余裕だな」
と俺達が独走するだろうという声がちらほら聞こえてきた。
「ふぅ・・・意外と何とかなるものね」
「瀬戸川さん凄いよ!!」
「どうしてあんなに息ぴったりなの?」
「それは・・・多分香田君のおかげね」
「それは・・どうして?」
「私はただ前に進もうとしているだけだもの・・それをうまく歩幅を合わせて香田君がサポートしてくれているからね」
「香田・・・お前凄いな」
「そうか?・・・瀬戸川さんが前にガンガン進むタイプだからな。合わせやすいんだよ」
「・・・お前のサポートヤバすぎるよ」
「・・・分かっていない人は瀬戸川さんを褒めているみたいだけどな」
「後・・瀬戸川さんと密着したお前に殺気の視線をぶつけているな」
「・・・勘弁してくれよ」
走っているときにもそれは気づいていたよ。
俺が瀬戸川さんと密着しているのが気に喰わないんだろうな。
・・・じゃんけんと足の速さで決まったんだから仕方ないだろう?
「しかし・・・どうやったら合わせれるんだ?」
「男子と女子の歩幅ってちょっと違うからな。俺たちが女子に合わせないとね」
「なるほどな・・・それが結構難しんだが?」
「声を出して、俺は最初に下を向いて瀬戸川さんの歩幅を確認しながら合わせたからな。・・・そっからは慣れだね」
「「・・・お前凄すぎ」」
と同クラスの男子に引かれる俺であった。
「「ふぅ・・・」」
「いろいろ迫られたわね」
「俺は若干引かれたがな」
「・・・あなたの合わせ方は私でも怖いわよ」
「そこまで言うかな!?」
「・・・変態」
「俺は変態じゃねえ!?」
マジでやめてほしい!!
俺は変態じゃない!!
変態という名の・・・紳士じゃねえな俺は。
「・・・けど、初回の練習でこれだけ合うなら問題ないかな」
「もっと突き詰めればもっと速くなれるわ」
「・・・そこまでやるの?」
「私は負けず嫌いよ。忘れたの?」
ということで、初回の練習で満足せずにもっと早くしようとする瀬戸川さんに合わせる俺なのであった。
・・・シンプルにきついよ。本当に。
「・・・ごめんなさいね」
「・・・いきなり謝らないでよ。怖いよ」
「・・・謝って怖がられるのは心外よ」
「それぐらい、瀬戸川さんが謝るのが珍しいからだよ」
「私だって・・・間違えるときは謝るわよ」
「それなら・・・男子の嫉妬の視線を何とかしてほしいかな」
「あの男誰だよ・・・」
「糞・・・瀬戸川さんにあんなに近づいて」
「二人三脚を恨むぞ・・・」
「・・・あれはどうしようもないわ私には」
「・・・デスヨネ」
これから二人三脚をする間は嫉妬の視線にさらされるだろうな。
これは・・・体育祭は地獄かな?




