第34話 兄の応援と家族との距離感
遊園地で遊んだ日から1週間後、
俺は家族とともに、福島に来ていた。
なぜ福島なのかというと
言っていなかったから言うけども、俺の出身県は神奈川のため遠い。
最初は俺は費用のことも考えて断ったけども・・・親父から、
『兄の晴れ姿を家族みんなで応援するぞ』
と言われて両親と姉の葵に俺の4人で来ていた。
風花は8月中旬の全国大会に向けての練習があるため欠席だ。
「恭平はフォワードだっけ?」
「そうだけど・・それが?」
「いや・・・パンフレットにね」
と各都道府県の代表高校ごとの紹介のパンフにキャプテンの兄がコメントしていた。
・・・読む限り優等生らしい会話だな。
「あんたもフォワードやらされたのよね」
「そうだな・・・ミッドフィルダーをやりたかったのにな」
「監督に文句言わなかったの?」
「文句言っても無駄だったからな」
そう。中学の時フォワードをやらされた。
俺はミッドフィルダーをやりたかったし、兄と同じポジションだと比べられるからやりたくなかったのに、弟であることがばれた結果、兄と同じポジションがいいだろうということでフォワードをやらされたのだ。
何度も断ったのにもかかわらず、監督がまだお前ができないかどうかわからないだろう?もうちょい頑張れって感じが1年続いた結果・・・言うことを諦めたのだ。
「だからサッカーは絶対にしない」
「他のスポーツも?」
「あぁ。絶対比べられるからな」
という会話をしていたんだが、前の運転していた父が苦い顔をしていて、母が悲しそうな顔をしていたことに俺は気づかないのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「競技場は広いわね」
「席はどこだっけ?」
「こっちよ」
と競技場についた俺たち家族一行は応援席のほうに着いた。
「あの青いユニフォームよね」
「で、あそこでエンジン組んで少し前にいるのが兄だな」
「あれね・・・なんか意外なのよね」
「何が?」
「恭平って誰かを引っ張るのには向いていないイメージがあったから」
「それは過去の話だと思うよ。櫻島っていう先輩がサポートしているんだって」
何でも、櫻島先輩は俺を何度もサッカーに誘っているのだが・・・どうも俺のパス能力の高さから欲しがっているみたいで、兄貴からも聞いていたらしい。
しかも・・・この人、明るい元気キャラに見せかけた参謀キャラなんだよな。
この2人のコンビネーションで、予選を勝ち抜いたともいう。
・・・・すべての得点にこの2人が絡んでいるみたいだ。
「ふ~~~ん、であんたは断っていると」
「だって・・・兄貴と比べられる未来しかないからな」
「それでも、好きなんじゃないの?」
「好きだったってのが正しいかもな。今はバイトが楽しいし」
「そうね・・・あんなに笑顔でやっていたものね」
「別に心から笑っているわけじゃないからな?」
と話していたら、
「葵。龍也のバイト先知っているの?」
「たまたま、友達と寄ろうとした喫茶店にいたんだよね」
「結局・・・俺と由梨奈はまだ知らないからな」
「教えたら来るのが嫌だからだ」
「けど・・・恭平は知っているのよね」
「高校で生徒会の仕事とかを喫茶店でやっていたみたいで、
その喫茶店の娘さん曰く、常連さんだったらしい」
「あいつがね~~~コーヒー苦手なのに」
と話していたら、笛の合図が。
「試合が始まるな」
「そうね・・・恭平は大丈夫かしら」
「大丈夫・・・って言えないのよね」
「全国大会で相手も優勝を目指している以上、ラフプレイは必ずあるし、
兄貴は狙われる対象だろうね」
と会話をしつつ、試合が始まった。
って、さすがは全国だな。ピリピリとした試合運びだな。
「結構危ないわね」
「攻撃だけなら全国でもトップクラスだろうけど、守備面には不安があるんだって」
「なるほどね・・・ボールを奪った」
味方ディフェンダーがボールを奪い、櫻島先輩に渡した。
その櫻島先輩がドリブルだけで、相手のチェックしてきた選手を2人抜いて前線に上がる。
そこからクロスを上げたのだが、誰もいないような・・・ってマジか?
「何今の」
「これは凄いな」
「・・・あれって出来るもんなの?」
「普通でできるわけないだろ」
あげたボールが曲がりながら、後ろから走ってきた兄貴のところに行って、
そのままダイレクトシュート。
先制点をゲットした。
「これは・・・相手が気の毒だなぁ」
「またどうして?」
「向うは兄貴と櫻島先輩を徹底的にマークしていたんだよね。多分予選のデータ的にこの2人を止めれば勝てるって」
「うんうん」
「けど・・・それでも止めれなかった。これは・・・心にクルね」
そのあと、繊細を欠いた相手チームに猛攻をかけて、
結果は4-0で勝つのだった。
その間、母さんと姉は応援をして、俺と父さんは見守るのであった。




