第33話 美晴ちゃんとの会話は重い
遊園地からの帰り道に、俺を待っていたという美晴ちゃんと公園で話をすることに。
「そこまで時間は取りません」
「というか取らないほうがいいでしょ?」
「まだいけますよ?」
「そうなの?」
「はい。私たちの中学って10時が門限なので」
「そうか・・・って今はまだ8時だから大丈夫ってことね」
「はい」
という感じの会話から入り、飲み物を美晴ちゃんに渡した。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます。お金を」
「いいよ。バイトもしているからね」
「風花から聞きましたよ」
美晴ちゃんは妹の風花とめっちゃ仲がいいからな。
知ってて当然か。
「・・・龍也兄さんは」
「うん?」
「いまでも、家族とは仲が悪いんですか?」
「仲が悪いか・・・」
それは違う気がするよ。
「仲が悪いんじゃないよ」
「そうなんですか?風花が今でも龍也兄さんとはまともに会話ができないって」
「それだと・・・俺が問題児みたいな感じだな」
マジでそんな会話なら、俺は怒ってもいいよな。
家族と俺との距離が遠いだけだし、多分家族としては終わっているかもしれん。
「俺と家族との関係が終わっているんだよな」
「終わっているんですか?」
「うん。終わっている」
俺と家族との間には多分修復できないぐらいの距離感がある。
「俺と家族との関係って、ほぼ他人に等しいんだよ」
「他人・・・ですか?」
「そう。誰も俺のことなんて見ていなかったからね」
「そんなことは」
「あったんだよ。君のお母さんは知っている」
「私のお母さんがですか?」
そう。俺が体調が悪いって倒れた時に、たまたま姉が試合があって、
俺は美晴ちゃんのお母さんに看病してもらったからな。
兄貴が風邪の時とかは看病していたのに、俺は看病してもらった記憶がないぞ
「そうだったんですね」
「だから、家族との仲は無理なんだよな。偶に言われたりしたんだよ。
意地張るなよって」
「そうなんですか?」
「そう。意地じゃないんだよ。俺と家族との間には絆がないってだけだ」
うん、本当にそれだけの話なんだよ。
だから、俺が学校で何言われているかも知ろうともしなかったからな。
兄貴も姉も。風花は知らなくて当然なんだけども、俺と家族との関係を見て、
自分が何とかしない取って動いていたみたいなんだけど。
「・・・もう一つ、教えてほしいことが」
「・・・君のお姉さんとのことかな?」
「っ!?・・・はい」
美晴ちゃんの姉・・・美優とのことか。
「最近聞きました。お姉ちゃんのことを名字呼びしたんですよね」
「そうだね」
「・・・今でも姉のことを許せませんか?」
美晴ちゃんは俺と美優に何があったのかを知っている。
美優が隠れて俺を傷つけたことを。
それで何と2人は喧嘩をしたという話も。
「許すとかの問題じゃないんだと思う。」
「ってことは・・・」
「俺は・・・美優を信じることができないんだよ」
「それは・・・」
「表では仲が良かったんだけど、裏では俺のことを馬鹿にしているんじゃあ・・って思ってしまうからな。だから距離を取りたかったんだよ」
「・・そうだったんですね」
そう。一番はそこなんだよね。
俺はあいつのことを信じることができないし、信用することもない。
そして、幼馴染からどうでもいい存在になり下がったのだ。
「向うは俺と前の関係に戻りたそうだったけど」
「はい。それは姉からも聞いてます」
「俺はね。前の関係には戻れないと思う。絶対に」
「・・・・・」
「ごめんね」
「いいえ。私も姉が悪いのは分かっているので」
という感じで美晴ちゃんと学校での会話をした後、そのまま家に帰るのであった。
近所だからね。そのままね。・・・年下の幼馴染に手を出す最低な行為はしないからね?
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<美晴>
龍也兄さんはやっぱり優しい人だった。
そんな状況でも家族を憎しむことはないのと、お姉ちゃんについても文句を言うことはしないみたいだ。
私にとって龍也兄さんはあこがれだった。
年の近い優しいお兄さんだったから。
いつも風花を羨ましがっていたんだけど、龍也兄さんの周りの環境は最悪に等しかったのをお母さんから聞いたとき、絶句した。
あんなにも優しい人なのに、なんで報われていないんだろうって。
それでも、あの時はお姉ちゃんが支えていたから、ちょっとうらやましい気持ちもあったけど、本当に龍也兄さんは優しい人だった。
あんな事件が起きるまでは・・・それから、私は申し訳ない気持ちでいっぱいで
話すことができなくなった。・・・お姉ちゃんのせいで。
「けど・・・久しぶりに話したけど優しかったな」
だから、私は龍也兄さんを支えたい。
あのバカ姉のせいで傷つけたのもあるけれど一番は・・・
私が龍也兄さんを・・・1人の異性として大好きなのだから。




