第23話 夏休みに向けてと瀬戸川さんの憂鬱
球技大会も終わり、もうすぐ夏休みが近づいている。
「もうすぐ夏休みだな」
「その前に期末テストだけどな」
「そうだった・・・勉強かぁ」
「本当にマサは勉強したくないんだな・・・って俺もしたくはないけどな」
「赤点で夏休みの間、補習に行くのが嫌なんだよな」
「それは同感だ」
期末は中間より範囲が広いからな。めっちゃ大変なんだよな。
マサは特に理数系が苦手であり、中間ではギリギリ赤点を回避していたが、
期末は結構厳しいだろうな。
「来週さ。勉強会でもしねえか?」
「誰がくるんだよ」
「・・・僕も参加していい?」
「「委員長」」
「正直、高校で初めての期末だからね。予習はしっかりしたいんだよね」
「なるほど・・・さすがは委員長だな」
「マサは委員長を見習えよ」
「・・・はい」
と話していたんだが、ふと隣の方を見てみると、瀬戸川さんの雰囲気が何か・・・凄い落ち込んでいる感じだった。
俺は見て見ぬふりをしようかと思ったが・・・見たのがバレていたようだ。
「香田君はのぞき見が趣味なのかしら?」
「のぞきじゃねえし、ちらっと見ただけだからな」
「それって・・・覗きっていうよりはチラ見か」
「・・・そうだな」
「どっちでもいいわよ」
「よくないよくない。俺が変態みたいな扱いになるからね」
「それにしてもどうしたの瀬戸川さん」
「何がかしら?委員長」
「瀬戸川さんまで委員長呼びだなんて・・・」
「瀬戸川さんの雰囲気がめっちゃ暗かったから気になったんだよな」
「タツの言うとおり・・どうしたの?」
「・・・これを見ればわかるわよ」
と瀬戸川さんの机の上には・・・手紙の山が。
「球技大会の活躍で一気にラブレターが増えたんだよね」
「なるほど」
「それは・・・ご愁傷様です」
「・・・全然気持ちがこもってないわね」
「だって他人事だしな」
「・・・逆に佐島君や香田君も活躍したのに・・・貰っていないんだよね」
「俺は活躍したっていっても3位だしな」
「俺の場合、その上に兄貴がいるからな。兄貴の活躍の前には俺の頑張りやプレーは記憶から霧のように消えるんだよ」
だから俺は自分に対するラブレターを貰ったことは一度もないぞ。
バレンタインも兄貴のおまけとしてもらっていたからな。
本当にあれは惨めだったぞ。心がだんだん弱っていくからな。
この時だけは、俺をいじっていた連中も同情の目で見ていたんだよね。
「瀬戸川さんの場合、準優勝プラス無敗だからね」
「かっこかわいい女性を彼女にすることで自分のステータスにしたいっていう男もいるからね」
「カーストを気にする奴ならやってきそうだな」
「本当に最悪・・・私は男を上げる道具じゃないわ」
「それについては当り前」
「っていうよりカーストを気にしている奴らがアホなだけだからな」
中高はカーストで上下を決めようとする。
同じ生徒なんだから、上下もくそもないんだがな。
「毎日毎日告白されるだろうね」
「本当に嫌になるわ」
「・・・この場合、自分は彼氏を作るつもりはないって言っても意味はないのかな?」
「それでも、チャレンジや罰ゲームとかで面白がってやろうとするやつらが出てくる可能性があるだろうな・・・ソースは俺」
「・・・あったなそんなこと」
「どういうことよ?」
俺は中学時代に嘘告白みたいなことをされたのを話した。
「マジでふざけるなの一言だからな。俺にとっては初めてのラブレターでめっちゃ嬉しかったのを一気に落とされたからな」
「あれでお前が荒れて、喧嘩になったんだよな」
「最終的に教師が出てくるまでに至ったからな」
あの時はマジで荒れたよ本当に。
そんなに俺を傷つけて楽しいのかってよ。
「そこで、両親が知るんだよな。俺が兄貴や姉貴と学校で比べられていたことによ」
「普通に遅いわね。気づくもんじゃないの?」
「気づかないのよ。自分たちも比べていたからな」
「それで3年の時、進路相談でもめたんだよな」
「本当はこの高校じゃなくて、県外の高校にしたかったのを無理矢理止められたんだよな」
「そうなのね・・・」
「じゃあどうするの?・・・このままだと瀬戸川さんの心労は大変なことになりそうだけど」
「一番は・・・友達じゃないかな」
「防波堤になってくれる友達か・・・瀬戸川さんに?」
「それってどういう意味よ?・・友達はいるわ」
「「「・・・えっ?」」」
ここで3人の気持ちは1つに。
(((瀬戸川さんに友達・・・嘘だろ!?)))
「あなたたち・・・私に友達なんていないだろうと思っているわよね」
「そそんなこと思ってないよ。なっマサ」
「ああぁ、本当に思ってないよ。そうだろ委員長」
「う・・うん、そんなこと一切考えてないからね」
「ふ~~~ん」
めっちゃ疑われているんだが。
けど実際誰でも思いそうじゃないかな?




