第21話 龍也VS恭平
「いきなりあんたが相手になるんかい」
「行くぞ龍也」
といきなりボールを奪いに体を入れようをした兄を躱しつつ、俺は
「あんた本気で戦わないんじゃなかったのかよ!?」
「お前との勝負で手を抜くわけにはいかないだろ!?」
「・・・本当に止めてほしいんだが・・・ここは」
と後ろの方にパスを出そうと考えたが・・・うわ~~~マジか。
「ちぃ!!パスを出させない気かよ!?」
「お前なら、俺との勝負は避けるのは・・・嫌でもわかるからな」
「俺のほうが嫌なんだけども!?」
どうするべきか・・・ここでパスを出したら絶対に奪われる可能性が高い。
かといって、俺がこの人を抜ける可能性はゼロだ。
・・・この人は勝負事で実際手を抜く人じゃないことは分かっていたさ。
だけど・・・1年相手にちょっと大人げないんじゃないかな!?
「くそ・・・」
「どうした?俺を抜かないのか?」
「・・・」
抜くか・・・今まであんたを抜くことを考えて、それが無理で諦めたんだ。
そんな今の俺が抜けるわけがない。
「頑張れ!!2組」
「3年生に勝って!!」
「恭平先輩に勝て!!」
とクラスメートが応援してくれている。
それとは別に。
「兄弟のどっちが勝つんだろうな?」
「やっぱ恭平先輩だろうよ」
「あの弟君が勝つってことは?」
「万に一つもないんじゃないか?だって、今も抜けないであたふたしている感じだし」
と俺をバカにしている声も聞こえてくる。
中学時代の球技大会でもそんなこと言われたっけ・・・
「頑張りなさい!!香田君」
とまさかの瀬戸川さんから応援を貰った。
いつの間に来ていたんだ?
周りの同級生があたふたしているんだが・・・腕を組んでじっと見てくるんだが。
それと同時に顔で「ここで勝って証明しなさいよ。自分は兄貴の付属品じゃないってところを」って語っているような気がする。
彼女にそこまで言われた(気がする)ら、やるしかないよな?
「・・・俺にとってあんたは憧れであり絶望だった」
「・・・龍也?」
「ずっとあんたの隣に立ちたくて頑張ってきたのに、1度も隣どころか追いつくことも超えることもできず、無理だと分かったときには頑張ることを諦めたよ」
「・・・それは」
「それでも・・・一度くらいは泡吹かせたくて頑張った技を見せてやるよ」
「なに?」
と俺はシュートモーションの構えを取った。
まさか俺がシュートすると思った兄貴は驚いた顔をしていた。
そして
ドン!!
と同時に俺が蹴ったボールがゴールネットから少し外れていくのを見たメンツは
「苦し紛れか」
「これは外れるな」
と誰もが確信している中で、俺はそのボールを蹴った瞬間に合わせて走った。
それに兄貴も気づいたみたいだが遅い!!
カ~~~ン
と俺が蹴ったボールはゴールネットに行かずポストに当たった。
それに俺は追いついて、もう1度シュートを撃とうとした。
「何?」
「これを狙っていたんだ!!」
「させるか!?」
と兄貴が俺のシュートを止めようとしたのを確認して、フェイントを入れた。
まさかのフェイントに驚いた兄貴の顔を見つつ、
「あんたの驚いた顔・・・初めて見たや」
ドン!!
パサッ!!
と俺が蹴ったボールは見事、ゴールのネットを揺らすのだった。
「・・・スゲーーー!!」
「かっこいいぞ香田!!」
「今のは凄いよ!!」
とゴールを決めた俺にクラスメートが駆け寄ってめっちゃ褒めてくる。
これは・・・最高に嬉しい気分だ。
「龍也」
「・・・何?」
「これは・・・練習したのか?」
「まぁね。あんたと同じフォワードやらされていた時、フリーキックが蹴りたくて実はずっと練習を隠れてやっていたんだよ」
そう、フリーキックが蹴りたくて練習したけど、見せることは一切なかったし、監督に行っても全く聞いてもらえなかったからな。高校の球技大会で結果を出せるとは思ってもみなかったな。
「ってことは・・・ポストに当てたのも・・・もしかして」
「狙った」
「「「「香田さん。まじかっけーーーっす」」」」
「何で敬語?それなのに何でギャルっぽい感じなんだ?」
初めてじゃないかな?兄貴を出し抜けたのって。
これはめっちゃ嬉しいし、瀬戸川さんもそれでいいのよって感じで頷いている。
マサも、やればできるじゃねえかよって顔なんだが?
「このまま勝てる・・・わけないよな」
「香田がミラクルシュートで勢いづかせてくれたんだ。ここは頑張るぞ」
と同時に試合が再開されるのだった。




