第20話 準決勝の相手がまさかの・・・
準決勝にコマを進めることができた俺たち1年2組なのだが、
俺の心は雨模様だった。
「本当に大丈夫かい?」
「大丈夫だ。こういうのに慣れてはいるからな」
「それは・・慣れちゃいけないと思うけど」
「小学生の時から言われ続けているからな。否応にもなれるもんだぜ委員長」
「そうなんだ・・・地獄じゃなかったかい?学校が」
「地獄だったし、誰も自分のことを見ていないことに絶望していたからな。
今はもうどうでもいいと思ってはいる」
「どうでもいいって割には顔が怖かったよ」
「・・・どうでもいいと思ってはいるけど体は正直みたいだな」
心と体は別なんだろうな。
言われ続けているから慣れているもんだと思っていたし、心ではどうでもいいと思っている。けど顔の表情が怖いと客観的に言われたってことは、反応しているんだろうな。・・・本当に嫌になる。
どうやったら、「香田恭平の弟」という呪いの言葉から抜け出せれるんだろうな。
いつの間にかこの言葉は俺にとっては呪いになっちゃったんだよね。
「とにかく、次の試合に切り替えよう」
「・・その次の相手クラスがね」
「うん?」
と委員長から聞いた次の対戦相手。
それはまさかまさかの・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まさか準決勝の相手が龍也のクラスだとはな」
「・・・神なんていないんだな」
準決勝の相手は兄貴がいる3年1組だったのだ。
・・・サッカー部は参加しないんじゃなかったのか?
「ヤバくね?相手が3年でしかもサッカー部が5人って」
「しかも、相手が香田恭平先輩のクラスって・・・終わった」
「俺たちは頑張ったほうだよ本当に」
とクラスメートは諦めムードだ。その気持ちは分かる。
俺たちは頑張ったほうだろうな。
1年で唯一の準決勝進出だし、相手が兄貴のクラスなら負けても文句は言われないと思う。けどな・・・
「兄貴を含むサッカー部は本気でやらないだろうな」
「どうしてだ?」
「1週間前に全国の切符を手に入れているんだぞ。怪我とかさせないために全力ではやらないと思う」
「・・・確かにそうかも」
「けど、それでもここまできてるのはヤバすぎるだろ!?」
「それは・・・相手が兄貴たちだから委縮してるからだろ?」
と俺は1つの持論を立てた。
「相手が兄貴がいるチームだから勝てないだろうって諦めているんだよ。どこのクラスも」
「そうなのかな?」
「さっき聞こえてきたけど、兄貴は今日シュートをしていないと聞いたからな」
一個上の先輩たちが話していたのを聞いていたのだ。
「勝算があるならそこしかないと思う」
「向こうが本気じゃないから、全力で挑めば勝てるかもってことか?」
「・・・やろうぜ」
「新堂」
「負けて当然なんだ。失うものも何もないしここは開き直って香田の言うとおり全力で俺たちはプレーしようぜ」
という新堂の言葉で全員覚悟を決めた。
「そうだな。新堂の言うとおりだ」
「負けて当然だからな。これで勝ったらジャイアントキリングもんだろ」
「よ~~~し、やってやろうぜ!!」
「委員長掛け声」
「分かった・・・全力で頑張ろう!!」
「「「おぅ!!」」」
と全員が覚悟を決めて3年1組に挑む。
「それじゃあ、準決勝・・・開始!!」
ピィィィィ!!
という体育顧問の笛の元、試合がスタートした。
ボールは前半は3年スタートだ。
「うわ~~~パス回しが全然違うね」
「そりゃあ、2年の先輩たちは奪いに来ないでしょって感じで舐めていたけど、これは奪うのは難しいな」
パス回しが結構速い。テンポもそうだし、上手く追ってきているフォワードの2人を躱している。
「・・・そろそろかもな」
と俺はイヤな感じがしたため、相手の周りを確認して、次にどこにパスを出すかを考えた。そして・・・
「っ!!」ドン!!
と先輩の1人が大きいロングパスを出すのと同時に1人が前線に走っているのを確認し、ディフェンスに指示を出した。さすがに素人でも2対1の数の有利でごり押してほしい。・・・だけど3年は冷静だな。ちらっと見て後ろから走ってきたもう1人の先輩がフリーなのを確認してパスを出した。
「よし!!」
「何!?」
それを俺がカットした。絶対こういうシチュエーションにはなるだろうなと思っていたからな。この人の後ろに隠れていたんだよ。
「このまま・・・は無理だな。ドリブル嫌だな」
と思いながら前線上がるのだが、・・・最悪だ。
「行かせないぞ。龍也」
「最悪なマッチアップだぜ。兄貴」
俺としては一番の佳境かな?
まさかの兄貴と1対1で対峙するのだった。
俺・・・一度も兄貴を抜いた例がないんだがどうすればいいかな?




