第13話 憂鬱だ・・・サボりたい
「・・・・・・・」ズゥ~~~~~ン
「何で隣の人はここまで落ち込んでいるのかしら?」
「あぁ~~~」
瀬戸川さんの叔父さんが経営する喫茶店で初バイトの次の日の昼休み、
俺は机の上で突っ伏していた。その理由は・・・・・
「球技大会でサッカーをやるなんて」
これに尽きるんだよな。
この学校は球技大会を6月下旬に行われる。
今年の球技大会は男子がサッカーとバスケ。女子がバレーとテニスだ。
朝に先生からどっちかに必ず参加することを言われ、俺は最初はバスケをエントリーしていたが、
「サッカーをする人が少なかった結果、経験者として参加させられるとは」
「そんなにイヤなのね」
「イヤ!!」
「まぁ、タツの場合、お兄さんと比べられる未来が見えるからだろ」
「・・・そういうことね」
そうなんだよ。兄貴は絶対サッカーに参加するだろうし、勝手に
「兄弟対決だ!!」とか言われて勝手に盛り上がるんだよ。
中学時代にもあったんだよ。球技大会で兄貴と勝負することになって惨敗したことと、馬鹿にされまくったことを。
今となっては気にしていないけど、これで勝負になって負けてみろ。
「会長の弟さんは大したことないね」とか「もっとできると思っていたんだけどなぁ」とか陰口を1週間は確実に言われるんだよな。(中学時代はガチ目に1週間は言われてコケにされた)
「マジで勘弁してほしい」
「決まったことを嘆いても仕方ないだろ?」
「マサはバスケか?」
「おぅ」
「裏切者」
「・・・そこまで言うか」
俺にはお前が裏切り者にしか見えないんだよ。
マジで・・・経験者だからという理由で入らされるとは、本当にイヤだったのに。
「・・・当日サボっちゃダメかな?」
「ダメだろそれは」
「それに・・・「勝てないから休んだ」と憶測で言われる可能性があるのよ。」
「八方塞がりじゃねえか」
「サボるのは諦めたほうがいいな。だから今のうちに祈っとけ」
「祈る?」
「兄貴と当たりませんようにってな」
「・・・確かにな」
そう祈るしかないのかもな。ちなみに、球技大会はクラスが全体で33クラスあるため、トーナメント形式で行われるらしい。トーナメントのくじが来週の6月16日(水)で本番が6月25日(木)になる。
「トーナメントのくじで当たらないことと、目立たないプレーをすれば問題ないのかな?」
「それは無理と思うわよ」
「どうしてだよ?瀬戸川さん」
「完璧な生徒会長の弟ってだけで色んな噂が流されているのよあなたの場合」
「確かにな。俺のところにも中学時代のお前のことを聞きたいっていう人が度々来るからな」
「だから、あなたは勝手に期待を背負わされて勝手に失望されることになるかもしれないわ」
「中学が同じ奴は知っているけど、知らない人にはお前も優秀だろうと思われているだろうからな」
・・・・・・地獄でしかないじゃねえか。
「やっぱりサボっていいかな?」
「ダメだ」「ダメよ」
「・・・」
前世で俺はなんか悪いことをしましたかね!?
「これからどうしよう?」
「もう開き直るしかないと思うけどな」
「・・・それもそうか」
俺のことを勝手に期待して、失望する人は必ず現れるだろうし。
そんなことを気にしない程度に頑張ればいいかな?
ただなぁ。
「球技大会って優勝したら何かもらえるのかね?」
「優勝と準優勝には表彰状と景品がもらえるみたいだぜ」
「ふぅ~~~ん、それってお菓子か?」
「だと思うが、それがどうしたんだ?」
兄貴は甘いものが好きでお菓子は特に大好きなんだよね。
スナック系から和菓子と幅が広いんだよ。絶対気合入ってそう。
「兄貴が張り切りそうだよなぁと思ってな」
「あなたのお兄さんは行事に全力なの?」
「あの人は手を抜くことが嫌いだからな」
だから、去年喧嘩したんだよ。俺が手を抜いていることがバレて。
その時の喧嘩で言ったんだよな。
『あんたにどんなに頑張っても勝てなくて、ずっと比べられ続けて否定されてきた俺の気持ちなんて分かるかよ!!』
この言葉が兄貴と咎めようとした母さんとの関係に一気にひびが入ることになるとは思わなかったよ。
その後、母さんが父さんに報告したみたいで家族会議になったんだよね。
「ほどほどに頑張ろう。もしくは途中で怪我したって言って休もう」
「それでいいのかお前は?」
「それが一番、自分が傷つかずに済む方法だと思うからね」
兄弟対決だけはマジで勘弁してほしいかな?




