第10章【第6話:崩壊の観覧車】
第6話:崩壊の観覧車
黒い水面に覆われた園内。
観覧車のゴンドラが宙で揺れ、ジェットコースターの列車が空中にぶら下がる。
ナオとしおりは、その場から離れるため、観覧車とジェットコースターの交差する空間を抜けようとする。
長いコートの男──影の主──は、姿を低く沈め、黒い腕を次々と展開する。
腕は観覧車のゴンドラをつかみ、宙で揺らしながら二人を狙う。
ジェットコースターのレールからも触手が飛び出し、列車を破壊するように振るわれる。
「しおりちゃん、まだ走れるか!?」
「はいっ……大丈夫です!」
ナオが懐中電灯を高く掲げ、ゴンドラを狙って光を放つ。
光に触れたゴンドラの一部が蒸発し、観覧車がぐらりと傾く。
だが、影の主は攻撃パターンを変えてくる。
黒い腕を分裂させ、空中から粒状に飛ばして雨のように二人を狙う。
さらにジェットコースターの列車に触れると、列車は宙で回転し、二人のすぐ目の前を走って行く手を阻む。
ナオは観覧車の中心軸に光を集中させ、ゴンドラを落下させる。
落下するゴンドラは黒水面に衝突し、波紋が影の腕を押し返す。
だが影は学習し、次の瞬間にはゴンドラ同士を連結させて鎖のように振り回し、二人の方へ投げ飛ばそうとする。
ジェットコースターのレールも触手のようにうねり、まるで追いかける獣の脚のようだ。
二人は崩れかけのゴンドラを踏み台に跳躍。
ゴンドラの上で息を切らす。
黒い水面に波紋が広がり、影の腕がねじれ、園の建物が次々と崩れ落ちる。
「避けんので精一杯や……」
「こんなの……どうしたら……」
「なんか、なんか終わらせる方法があるはずなんや……」
長いコートの男──影の主──の気配が、二人の周囲の至るところから感じられる。
ナオは目を閉じ、呼吸を整えた。
胸の奥に、かすかな感覚──光の道筋が見える。
「……しおりちゃん、ちょっと待ってて。」
しおりが頷く。微かな希望の光が、二人の手元でちらりと反射した。
ナオは懐中電灯を握りしめ、次の瞬間、全てを賭ける決意を胸に秘める。
──まだ、終われない。
──光で、この影を消す方法が、きっとある。




