閑話 ユリウス・エレクレトス2 《ユリウスside》
* ユリウスside
森をさまよっている間ユリウスは考えていた。
ユリウス・エレクレトスは非常に恵まれた男だった。幼い頃から彼は周りより頭一つ抜けて優秀だった。周りより早く魔法を覚え、その数々の魔法は非常に高度なものだった。周りよりはやく剣を習得し、その剣の美しさは数多の人々を見惚れさせた。
ユリウスは見た目も麗しく王国の王女は彼を強く欲していた。
ユリウスは生まれた時から目に不思議な力をやどしていた。彼の瞳色は濃い紫色をしており、その色は大変珍しく血を分けた兄弟にも、親にもいなかった。彼特有の色だった。
彼の目は魔力の色を見極めることが出来た。
人の魔力はそれぞれ適性によって色が違った。
彼の強さはその『鑑定』の力によるものでもあった。
相手の適性により、使う魔法や攻撃を変えていたのだ。
ユリウスにとって世界は自分中心にまわっているのも至極当然であり、彼は心奥底で、繰り返される退屈な日々を覆す何かを待っていた。
やがて彼は冒険者になった。
世界を冒険し自分を楽しませるものを探しに出た。
月日が流れるにつれ彼の冒険者ランクはA級となっておりもうすぐS級にたどり着かんとしていた。
しかし世界をまわっても
自分と同等に強い人は居ても彼より圧倒的に強い人はほぼ居ないに等しかった。
それほどユリウスは強かった。
彼が神剣を手にし、勇者となった事でさえ
やはり自分は特別なのだと自分自身を心酔させ、
当たり前のように感じられた。
森をさまよっていると
一人の美しい長い銀髪の人間がいた。
その人の魔力は7色に輝き暖かく強かな光をまとっていた。初めてみる魔力と珍しい髪色はユリウスを強く引き付けた。
思わずその人を木影から見ていたところ
自分を追いかけていた民衆の1人がその人に向けて
矢を放たんとしていた。
その人を観察しているユリウスをみて
仲間だとでも勘違いしたのだろうか。
ユリウスは思わず飛び出し、その人を突き飛ばした。
大丈夫かと聞きながらチラリと顔を見た。
とても麗しかった。まるで創造神のような神秘さと
美貌をまとっていた。その人は燃えるような真紅の瞳をしていた。
まるで、あの男の燃え盛る赤い赤い髪みたいであった。ユリウスはふと、とある男を思い出したが
すぐにその考えを消した。この麗しい人とその男を関連させるのは少し恐ろしく思えたからだ。
性別は分からなかった。しかし一人称は俺だった為
男なのだろうか。小さく細身な彼は幼く見えた。
しかし更に驚いたのはその膨大な魔力と恐ろしい数の適性だった。
ユリウスは民衆から彼を守るため抱えて逃げた。
必死だった。彼の存在が気になって仕方なかった。
彼が自分ユリウスに新しい刺激と冒険を、この退屈な日々から自分を救い出してくれると信じて疑わなかったのだ。
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