勇者
目覚めるとベッドの上に寝ていた。
隣でユリウスと知らない人の声が聞こえる。
両手に何か腕輪がつけられてるみたいで
少しヒリヒリとした痛みを感じた。
自由を奪われたような感じがして不快だ
制限がかけられたような...
ユリウス達の話を聞きたいから
このまま寝たふりで盗み聞きをしようと思って
ほんの少し目を開けて彼らをチラ見する
フードで顔を隠した黒ローブの人とユリウス。
ローブのやつは明らか魔術師っぽい見た目してる
これ、俺が結界に入れなかったから話し合いとかになったパターンだな。
とりあえず死んでなくてよかったぁ〜
このまま二度目の死とか冗談じゃねえ!
「ユリウスさん!師匠!」
部屋の扉が勢いよく開けられて
薄緑髪の伊達メガネをした少女が飛び込んできた。
そのままそいつは半目を開けてチラ見をしていた
俺と目があった。
「ぎゃああああ!!!!
ちょっと師匠!起きてますよそいつ!」
失礼な。まるで俺が化け物みたいな反応しやがって。
俺は今度はベッドから起き上がる。
「えーあの「師匠こいつ今までいなかった初めての種族ですよ!」え」
俺の挨拶が伊達メガネに遮られた。
なに俺って種族単位で別の生き物だったの?
せめて人間に転生したかったんだけど。
師匠と呼ばれた黒ローブが俺を見た。
「私の結界に異常が検知されたと思っていましたが
やはりユニークでしたか。
やはり殺しておきましょう。何が起きるかわからないですから」
黒ローブがどこからかデカイ杖を出現させた。
「え」
俺のひきつった顔を見て...顔を逸らしたぞこいつ!
人の心ないのか?
そして黒ローブはAIみたいな声をしていた。
袖からのぞいた手をみると人形のような関節があるのに気づいた。
人間じゃないな。ロボットか?
ユリウスが庇うように混乱している俺の前に出た。
「聖魔様。ですがこの子はまだ子供にみえますし仲間とはぐれたと聞きました。
意思疎通も問題ないですし
俺が監視をします、だから殺すのは!」
聖魔様か。そういえば結界はったとか言ってたな。
伊達メガネの少女は聖魔の弟子だったのか。
ふと少女を見ると跳ね返ったように聖魔様の後ろに隠れた。師匠を盾にするなよな。
そのとき聖魔様がため息をついた。
「今回の事例は私が生きていて初めての事ですし
判断が難しい。しかし私の感知にもあなたは
普通の魔生と違い人並の知性があるととれる。
そもそも貴方が何なのかわかりませんが...」
間をおいて聖魔様が仕切り直した。
「本来なら貴方を土に還すべきですが____」
聖魔様が俺を見る。そして再度ため息をついて
こちらに手を向けた。
俺につけられてた腕輪が強く光る。
パチンと音がして割れたようだ。
すると先程までの不自由感が消えて楽になった。
「__勇者ユリウスが監視につくなら...良いでしょう」
そして色々ユリウスに
何かあったらすぐ連絡をしろとか
ユリウスの判断で処分しろとか
物騒な事を念入りに注意してから気がすんだのか
聖魔様の足元が光り魔法陣が出現した。
軽くユリウスに会釈をしそして弟子と共に消えた。
俺の命は助かったようでなによりである。
それより気になることがある。
「ゆ、勇者?!」
俺の命がとんとん拍子にユリウスによって助けられてとても助かったが、まさかの勇者って...さあ。
ユリウスくん恵まれすぎない?
俺も【異世界転生したら勇者だったので...】みたいな感じに人生を送りたかったんだけど。
するとユリウスが説明をつけるように
腰の剣に触れながら答えた。
「この剣は前代の勇者によるもので行方不明だったものです。それが俺の元に出現したんです」
ぽつりぽつりとユリウスが昔話をするかのように話し初めていた。
聖魔様の弟子は
聖魔見習いとして日々聖魔様のお手伝いを頑張っています