過ぎ去りしもの 1
閉じている瞼に眩しさを、顔にくすぐったさを感じた。目を細めながら開ける。
酷く眩しい。太陽の光が俺の目を突き刺した。
あお向けに寝そべっていたようで体を起こす。
「うっ」
体のあちこちに、まだ真新しい切り傷のようなものがある。なんでこんなに俺は怪我ばかりしているんだ?
辺りを見渡すと、地平線先まで広がる青空と生い茂る美しい草花があった。
見蕩れていると、その情景の中に2人の人物がいることに気づいた。顔まで隠れるレースのヴェールを被った亜麻色の髪をした綺麗なエルフの女と、同じく深赫の髪をした男。
遥か彼方まで目を凝らして見ても、豊かな自然と地平線ばかりで、建造物などはなく、彼ら以外の気配はない。
記憶が曖昧である。
ふらりと立ち上がり、その2人の元へ向かう。
歩く度傷が痛む。服も破れており血で汚れ見るに堪えない。
数歩先まで近づくとエルフの女が振り向いた。
「ファアルなのか...?」
「俺...は」
ファアルって誰?俺は誰だっけ。
エルフの女は俺をジロジロと見て考えはじめる。
深赫の男がチラリと横目で俺を見た。そして向き合って眉をしかめて話す。
「おいミトラ、こいつから俺とお前の魔力がする。
しかもこの傷、お前がやったみたいだぜ?」
「ふむ。たしかに。ヴァアル、この子の肉体は君が創ったのか?」
彼らは顔を見合わせた。
「「しかし何故ここに我々以外の生物が居る」」
ミトラ、ヴァアル、どこかで聞いた事がある。
あれ、俺って死んだんじゃなかったのか?
そうだ!俺ミトラに殺されそうになって、空間魔法でギリギリ生き延びたのかな。でもなら何故ミトラとヴァアルが目の前に居る?疑問だらけだ。
「お前らエルフの王国とか、あ、クソ赤髪は脱獄できたのか?」
俺の質問に2人は更に困惑した。
互いに目を見合せて後、またアロを見て少しの時間沈黙する。口を開いたのはミトラだった。
「未来からきたみたいだね。」
彼女のヴェールが大きく風に揺られその顔の全貌がハッキリと見えそうだった。太陽に反射してさらに輝くように見えるミトラの黄金の瞳に見透かされたように俺は固まった。




