愛はいつまでも
ミトラが目を見開いて素早く上を見た。
城の天井は装飾で眩い光を反射していた。
それでも彼女はある存在を見ていた。
彼女の目線の先には、淡い光を纏いながらゆっくりと浮きながら降りてくる人がいた。
その場にいる誰もが息を飲んだ。
長い銀髪を漂わせて、それは着地をしようと片足を伸ばした。それはゆっくりと瞼を開く。アロである。
▽
意識を失っていたのか数秒の記憶がなかった。
目を開けると部屋の眩しさに目が痛くなった。
目の前には、玉座に座るエルフの王と彼を守るように前に立ったミトラだった。
彼女はセレーナを優しく床に寝かせた。
「ミトラ?」
俺なんでここに居るんだ?空間魔法が発動したのか?
とりあえず今すべき事は、ミトラとセレーナを正気に戻して!いや、エルフの王をどうにかするのが先か?
どうにかするってどうやって?
ダメだ情報が処理できない。
「アロ!避けろ!」
その時ララエルが叫んだ。ミトラが指先から高エネルギーの魔法を俺に放とうとしていたからだ。
認識できるのは良いが人間の体は思考と同時には動けない。
反射的に体を動かしたが、ミトラの魔法に片腕が持っていかれた。鮮血が溢れる。
おかしいのは俺の服が腕と共に破れた事である。
さっき衛兵と戦った時、傷さえ付けられなかったのにこの事態である。これが意味することはミトラ、相手が明らかな格上であるという事だろう。
「アロ!」
ララエルが駆け寄って来て回復魔法をかけようとしたが、ミトラが次の攻撃を俺達に放とうとしていた。
まずいな。これだと周りを巻き込む事になる。
空間魔法を使ってミトラだけを転移させるか?
しかし空間魔法が発動したからといって次出来るかなんて確信もないし、ミトラだけを転移させたところでミトラが正気に戻っていない事実は変わらない。
あれ?何故俺こんな考え事をしているのにさっきから周りは変わっていないんだ?
その時、感じる。
『思考加速』
思考加速?俺の思考に周りが追いついていないだけ?
なにそれ?俺いつそんな能力を手に入れたの!?
さっきから、空間魔法とか思考加速とか使えるし
いやあの怪しい図書館の本が原因か?
詳しく考えるのはやめよう。今すべき事は分かりきっている。
「だめじゃ!回復が間に合わない!」
ララエルが青ざめて叫ぶ。
彼女の膨大な魔力ですらミトラの魔法に対しての収集がつかないのだ。
ミトラの魔法が俺とララエルに向けて放たれた。
咄嗟にララエルをユリウスの方に向けて押した。
ユリウスが優しくララエルをキャッチした。
俺とララエルの間の隙間をミトラが放った高エネルギーの魔法の塊が高速で通り過ぎる。そしてプセーマの後ろで壁に衝突した。
ユリウスと目が合う。何を感じたのか分からないが、彼は力強く俺に頷いた。何だよ。
「ララエル様。貴方が力を使い切ってどうするんですか」「妾はそんな病弱ではないぞ!」
見るからにララエルは憔悴していた。プセーマはユリウスを援護するように戦闘態勢に入っている。
まだ状況が理解できないが今1番危険なのはミトラだ。
仕方ない。ミトラと俺だけをどこかに転移させるしか手ないか。といっても、俺に何ができるのかって話だけどさ!
『空間魔法』
俺とミトラを中心に包み込むように白く輝く魔法陣が展開される。実に豪華な演出である。
視界が光で溢れて見えなくなった。




