クソチートが!
地下牢を出たユリウスは転移したセレーナとミトラを探そうとした。
【鑑定】を持つ彼に人探しは難しいことでは無い。
魔力を辿れば良いのだから。
しかしこれが遠距離、ましてや障害物が重なるとなると、膨大な魔力の持ち主しか察知不可能である。
今回は良いターゲットが居た。ミトラである。
彼の鋭い感覚は、かすかにミトラの膨大な魔力を察知した。
「面倒臭くなってきたし早く終わらすか。」
本来ならアロの魔力も察知可能である。
しかし遠すぎたのだと彼は考えた。
ユリウスが斜め上を向き、彼にしか見えない壁越しの目的に剣先を向けた。
魔力回路が封じられているユリウスに魔法は使えない。これは彼の剣技である。
ユリウスが息を吐き、壁に剣先をついた。
そして剣を振った。
彼のエネルギー体が一直線に城の壁を何枚も破壊した。衝撃で散らばった破片が彼に降り注いだが素早く剣で全てを弾き返した。
壁に空いた穴から遠くを覗いた彼は
目標を見つけた。
▽
凄まじい音が聞こえて王は眉をしかめて目を見開いた。
城が自分より斜め右から、何者かによって破壊され跡形もないほどに綺麗に欠けたからである。
壁穴に何者かの手が捕まったと思えば、穴から上がって来たのは、勇者ユリウスであった。
「貴様何故ここに!そして魔力回路を塞いだはずだ!」
声を震わせ叫んだ王の目的は、プセーマとララエルを自身の手で葬る事である。未だララエルを殺したとプセーマからの報告がない王は、1人のエルフを調査に出した。
するとそこにはララエルとプセーマが仲良くいたのだ。
憤怒した王はララエルとプセーマを殺すのに、最大の防壁となる勇者ユリウスの魔力回路を無力化させた。
そして心優しいララエルはユリウスを治すために、我が国に向かうだろう。
そこで確実に仕留める。そう考えていた。
しかし突然目の前に現れた獲物二人に歓喜する間もなく、無力化したと考えていた勇者が壁を破壊し乗り込んで来たのである。
魔法さえ封じれば勇者であれど、そこまで脅威ではないと考えていた。
魔法と1番近い存在であるエルフの彼は魔法を過信しすぎたのだ。
近づいて来る勇者を見て王は幼稚に叫んだ。
「なんなんだ!なんなのだ貴様は!
どいつもこいつもクソチートめが!」
「僕はさっさとアロさんを探さないと行けないんです。だから死んで下さい」
剣を構えたユリウスをララエルが切羽詰まった声で引き止めた。
「やめろユリウス!兄上が死んだら、この国は!」
「...そもそも貴方が王になるはずなんですよ。
ララエルさんこいつは王なんかに相応しくない」
その時ミトラが王を庇うように前に出た。




