王家
「ヴァルナ?」
知らない名前が出てきたのでミトラに聞き返す。
彼女は顎に手を置き、悩んでいるようだ。
「知らないのか?私と同じヴェールを被った赤髪の彼を」
「クソ赤髪?!」
俺が思わず奴につけていたあだ名を言うとミトラは豪快に笑った。
「っーはははっ!クソ赤髪か!ヴァルナの奴め不憫だね」
ミトラはくすくすと口を手で抑えた。
「そうか。彼はまだ...」
彼女が何かを言いかけたその時コツコツと此方へ向かってくる足音が聞こえた。誰か来る。しかし俺は不法侵入者。
バレて捕まったら終わりである。
ミトラが足音を聞いて、微笑んでいた顔を険しくさせる。
「...きたか」
彼女が俺に向かって手を差し出した。そして小さく呟いた。
「終極風魔法 スキル浮遊」
その動作は素早く、俺が何か言葉を発す間もなく彼女によって、部屋の天井に体を浮かばせられた。
「ーー?!」
驚いて叫ぶとこだったが声が出ない。
どうやらミトラによって魔法をかけられたようである。準備周到かよ。
ミトラの部屋はこの城のどこかの最上階のようで
天井は三角錐のようになっていた。
俺が天井近くまであげられたのを確認した彼女は部屋のソファに座り込んだ。
「アロ。待っていてくれ」
俺の目線からは彼女の表情は見えなかった。
足音がこの部屋の豪華な扉の前で止まった。
扉が開けられるとそこには柴染色の茶髪をした金色の瞳を持つエルフがいた。ララエルとミトラの瞳と似ているが2人ほど輝かしくはない。白衣のようなものを着ている。彼はミトラに話しかけた。
「ミトラ様行きますよ」
「...ふん」
「ちっ...またか『来い』」
すると突然ミトラが胸を抑えた。
「くそ!厄介な!」
ゲホゲホと咳をしているがその足は彼の方へ向かっている。彼女は首を横にふるたびに彼女の首枷が大きく音を立てた。
彼はミトラを連れて部屋を出た。
俺はミトラを追いかけようと身をよじったが何も意味をなしていないようだ。
やがて彼らの足音が聞こえなくなるとミトラの魔法が解けたのか俺は地に叩きつけられた。
「っ、くそ」
ミトラがどうゆう存在なのか俺は知らないから
詳しい推測は立てられない。
何もするわけには行かないので
俺は立ち上がり部屋の扉を開けた。
廊下に顔を出して周囲を見渡す。
とりあえずの目的はユリウスをミトラに治して貰う事だがララエルフ達とはぐれたので彼らとも合流をしたいのが本音だ。
廊下に誰もいないのを確認して俺はミトラの部屋を出た。廊下の空気はひんやりと冷たく灯りも付いていない。ミトラの部屋から溢れる照明の光が床に俺の影を作っていた。
ミトラの部屋から推測したように、やはりこの階層は最上階だったようで行く道は下に向かう事にした。
渦巻き状の階段を降りると下の階は明るかった。
廊下をエルフの衛兵が巡回していた。
なぜミトラの部屋の階層には衛兵が誰一人もいなかったんだろう。
下の階に降りたものの行く宛が分からなくて途方にくれそうだ。
いやこうゆう時にパッとワープできたり出来ないのかな。異世界なんだからそうゆう魔法ないの〜?
そこで思い出した。あれ俺って時空間魔法が使えるみたいな話、クソ赤髪...いやヴァルナとしたな。




